GOOD CLEAN VIOLENCE

NFLのバイオレンス

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2011年3月号より転載)

 不安定な労使交渉が続くNFLだが、2011年度のフィールドをより安全により充実させるための取り組みは、もう仕上げの段階に入っている。
 3月の春季オーナー会議で検討する、競技委員会(リッチ・マッケイ委員長=ファルコンズ社長)のルール改正案がまとまった。
 最大の関心事は、選手の安全。とくに、昨年LBジェームズ・ハリソン(スティーラース)が7万5千ドル、CBドウンタ・ロビンソン(ファルコンズ)とSブランドン・メリウエザー(ペイトリオッツ)が各5万ドルの罰金をリーグから課せられた、イリガル・ヒット(不正な打撃)への厳しい規制が焦点となっている。選手生命に影響を及ぼす過激な打撃は排除しなければならない。委員会は「目に余るイリガル・ヒットの繰り返しは、出場停止処分となる可能性がある」。騒がれた去年ですら、イリガル・ヒットによる出場停止処分はなかった。しかし来期は、ディフェンスレス(無警戒の)選手への、頭部および首部へのヒットには厳罰で対応していく姿勢を出した。出場停止の判断の鍵をにぎる『目に余る』と『繰り返し』の定義付けは委員会では慎重に作業中という。
 ディフェンスレスな選手とは、スローイング行為中のQB、パスを捕球しようとしているレシーバー、タックルされ前方への動きを止めているランナー、パントまたはキックオフで出場しているプレーヤー、キック中のキッカーまたはパンター、ボールの所有が変更になった後のQB、ブラインドサイドブロックを受けているレシーバー、すでにグラウンドに倒れているプレーヤー。

 競技委員会は、キックオフを35ヤードラインに上げ、タッチバックを25ヤードラインにする提案も検討している。ただしキックオフ以外のタッチバックは従来通り20ヤードラインとなる。さらに、キックオフ時には、キッカー以外のキックチームのプレーヤーはボールの5ヤード以内にいなければならず、リターンチームによるブロッキング・ウエッジをすべて禁止する。「キックオフでの高い負傷発生率は、重大な関心事です」(マッケイ委員長)。

 TV画面のレビューによる判定確認はいまやあらゆるスポーツにも大きな影響を与えているが、NFLでは来期よりすべての得点プレーにリプレー・オフィシアルによるレビューを導入する提案を行う。コーチのチャレンジは必要ない。前後半の終了2分前または延長戦と相似しており、米国カレッジと同じシステムである。この提案と組み合わせて、2回チャレンジ成功後の、3回目のチャレンジ権は廃止となる。
 また昨年カルビン・ジョンソン・ルールとして話題となった、パスキャッチの定義が明確となった。「70年間以上あった競技規則で、キャッチには3つの要素があることを確認した。1つ目は両手で危険なく確実にボールを持つ、2つは両足か体の一部が地面についた時にもコントロールを維持している、3つ目はその後も試合でパフォーマンス出来るようにボールをコントロールしなければならない」(マッケイ委員長)
 フットボールが誕生して141年、その力の部分は『グッド・クリーン・バイオレンス』と表現されてきた。正しく・正当な・激しさを、今新ためて確認したい。

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