335守備の狙い

マニングを抑えた“ハイスクール”戦術

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2010年4月発売号より転載)

33守備の狙い
  史上に残るだろう、エキサイティングな展開だった、第44回スーパーボウルが終了して3ヶ月。史2010年度の第一陣である大学ドラフトが始まる時期だが、まだまだ44回にこだわる人も少なくない。話題とする幾つかのうち、最も気にしているのが、セインツが展開し、強力なコルツ攻撃を僅か17点に抑えた33守備。あれはなんだっただろうと、気にしている読者に、かんたんに33守備のアウトラインを書いておこう。

 335守備は、その字面のように、3人のダウンラインマン、3人のラインバッカー、そして5人のディフェンシブバックで構成する守備配置。一般的にこの配置は、攻撃に多様なブリッツによるプレッシャーを加えることにより、攻撃を混乱させることを狙って使用している。しかし、ご存知のように、この体型はNFLでは珍しい。どちらかというと、応用技術が未熟で、練習時間を限られている、米国高校で多く採用されている体型。とくに、スプレッドオフェンスに対する、カウンターアタックとしてこの守備を展開して、攻撃の自滅を誘い出している。カレッジでは、ボイズ州立大、TCU(テキサスクリスチャン大)がこの体型を使用して成功している。チャレンジ精神で現代攻撃戦術を駆使するシーン・ペイトン・セインツHCらしい、後半開始のオンサイドキックに通じる大胆な発想だった。
 一般的に335を使用するチームは、対戦相手より動きは速いがサイズは小さいチームが、攻撃のブロッキング・アサインメントに課題を与えることを狙っている。3人のランバッカーの誰がブリッツするのか、その対応はどうするかなど、攻撃は複雑な仕掛けへの準備と対応に時間をとられて。全体の密度を欠くことになる。マイアミ・スーパーボウルでのコルツは、攻撃型であるセインツのペイトン・ヘッドコーチへ対応に力を割き、大胆な守備戦法の変更まで想定しなかったのかもしれない。
 また、ルックス(外観)が大きく違うが、335体型はおなじスタート選手で容易に43体型、34体型、または44体型に修正できることが特徴で、セインツは33とも43ともとれる変形を展開して、コルツを混乱させていた。
 効果的に335を展開するには、フロント8がフィジカルでタフでなければならない。とくに3人のOLは、ランニングレーンのコントロール、パスラッシュ、そしてLBのプレーを可能にするためにOLをひきつける役割をこなさねばならない、重要な役割がある。
 セカンダリーとして重要なポジションはフリーセーフティで、プレーに応じて、QBにプレッシャーをかけ、カバレッジにドロップするだけでなく、34体型にスイッチした場合には、MLBの役割をプレーしなければならない。この53体型では一般的にフリーセーフティはベスト・プレーメーカーであり、守備で最も知性的なアスリートが担当する。
 セインツの場合、フリーセーフティは名手ダレン・シャパーだったのは、ご存知のとおり。

図、33守備(対スプレッド体型)

NFLコーナーバック・ベスト10
 カウントダウン方式で、今注目しているコーナーバックを紹介しましょう。
 守備のWRとも表現したい、すこし破滅的だが、魅力的なキャラクターと才能の持ち主が揃っている。

10位、ジャバり・グリアー(NO)パスを許すことは稀、マンカバーもゾーンでも対応できる万能型CB。09年(以下同じ)2インターセプト。
9位、レオン・ホール(CIN)マイク・ジマーマン守備Cが積極的守備をとれるのは、彼の存在があるから。6インターセプト。
8位、ダンタ・ロビンソン(ATL)インターセプション数は多くないが、パス成功を許す数も少ない。0インターセプト。
7位、ドミニク・トジャーズークロマティ(ARI)プロ3年目だが、リビスと同じようにまかせられきったアサインメントをこなした。6インターセプト。
6位、チャンプ・ベイリー(DEN)難攻不落ではないが、毎週対戦相手のベストレシーバーにマッチアップするに十分な能力がある。3インターセプト。
5位、アサンテ・サミュエル(PHI)リーグでの出色のオフカバレッジ・ディフェンダーで、いつもたくみにQBのパスを誘い出してインターする。9インターセプト。
4位、コートランド・フィネガン(TEN)フィッシャーHC直伝の守備センス、完全な基本能力がある。ビッグピレーと攻撃的な態度で、シャットダウン才能をつくりあげた。5インターセプト。
3位、ナムディ・アソムーア(OAK) 傑出した才能があり、セーフティの助けなく、純粋なマンカバーを完璧にこなす。QBが避けるCB。1インターセプト。
2位、チャールス・ウッドソン(GB)年齢と共にレベルアップする全てに通じた警備隊長、 9インターセプト。
1位、ダレル・リービス(JET)、好感の天才CB。ゾーンしながらマンの技術も応用出来る。6インターセプト。

次点(選外)
○アントニオ・クロマティ(JET)ゾーンカバレッジ不安定、ラン守備未熟、技術的に今一歩。
○コーリー・ウエブスター(GIA)TOP10の実力はあるが、9または10位。
○アントニオ・ウインフィールド(バイキングス)もう若くないが、09年は下降線。1インターセプト。
○ディアンジェロ・ホールズ(WAS)もらい過ぎ、騒がれすぎ、タックルはみたことがない。4インターセプト。
○クエンティン・ジャマー(SD)スターターとしては合格。3インターセプト。

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