AIR SUPER

第44回スーパーボウル=華麗なる狙撃戦

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2010年1月発売号より転載)

 ニューオーリンズ・セインツ(NFC南地区)が、チーム創設以来初のスーパーボウル出場を決めた、その30分後に、米国ラスベガス公式賭博場の一つが、対戦相手のインディアナポリス・コルツ(AFC南地区)が4・5点差で優位と発表した。夢の初出場を果たしたセインツに、夢の続きはあるのだろうか。
 第44回スーパーボウルは、2月8日(日本時間9日午前)、米国フロリダ州マイアミのサンライフ・スタジアムで開催される。

インディアナポリス  “ペイトン”コルツ
 今年も、スーパーは予想外の顔合わせとなった。
 AFC優勝のコルツはダンジーからコールドウエルへとHC(ヘッドコーチ)が変わった1年目、シーズン直前にダンジーと共に引退したはずのOC(攻撃コーディネーター)ムーアを急きょ呼び戻すドタバタもあり、再建1年目と理解していた。それが接戦をチームワークでものにするうちに、ニュー・コルツとも呼ぶべき、選手スタッフが同位一体となったチームが出来上がってきた。中核になったのは、リーグ史上ベストの1人と定評のあるQBペイトン・マニング(プロ12年目)。3年前の優勝時にも、相手守備を読んで直前にプレーを変える高い戦術感と精密なパスコントロールでチームの先頭に立ったが、今年は若手を育てチーム作りを担う、ヘッドコーチ格でチーム力を大きくレベルアップさせた。AFC選手権ジェッツ戦で活躍したWRガルコン(母国はハイチ)、コーリーなどはペイトンズ・チルドレンと呼ばれる。スーパーを意識したのは、宿敵ペイトリオッツを35対34で下した第10週あたりだろう。プレーオフ本拠開催権を獲得した15周以降は、全勝記録をあっさり捨てて、主力を温存、プレーオフへ備えた。チームとしては、全勝でスーパーに乗り込む意識だろう。ジェッツと対戦したAFC選手権は30対17のスコア通り、完勝だった。
 記録的(レギュラーシーズン)には、攻撃9位、守備18位だが、これも勝利優先の結果に過ぎない。主力WRウエイン、TEクラークはほぼ完ぺきなパフォーマンス、RBアダイを含めた攻撃に不安なく、ボールコントロールは33分56秒。Cサタデーを中心の攻撃ラインも被サック10と不安なし。今季34サックをあげ、要所では点を許さない守備もチームに安定感を与える。13・5サックのフリーニー、9・5サックのマシスのDEコンビは強い。
 前半終盤、そして後半に集中して、相手弱点をつくゲームプランも心憎い。

初めて聖者がやってくる
 5年前の台風被害(本拠球場損壊)を乗り越えたセインツは、開幕から13連勝、こちらも11週にペイトリオッツを破り、チームの地力を確認して、初のスーパーボウル出場を果たした。前年度8勝8敗から番狂わせスーパー出場するのは、ジャイアンツ、カーディナルスに続き3年連続である。
 セインツの立役者は、文句なくQBジェフ・ブリーズだろう。5年前に移籍入団してから、攻撃の天才HCであるショーン・ペイトンと組んで、強いセインツを作り上げた。190センチ以上と大型が常識となったプロQBで、183センチと小柄な彼が出色の成績を残すのは、NFLで最も精確といわれるスローイングメカニズムと卓越した意思決定力、そして、それを支える頭脳がある。パデュー大時代には、全米450大学の学業最優秀選抜チーム(アカデミック・オールアメリカン)に選ばれている。カトリーナ台風の被害から立ち直る住民の心にうたれ、QBながら試合開始前のペップトークでチームに檄を送る、熱血漢である。
 WRコルストン、ミーチェム、RBブッシュなど後輩を一流に育て、問題児のTEショッキーをチームプレヤーに変身させた。パッサーレーティングは109・6。ペイトン99・9を上回る。ペイトンと共に11人の選手にTDパスを投げ分ける多彩なパス攻撃を完成させた。NFC選手権では負傷で出場機会がなかったショッキー、ミーチェムもスーパーでは戻ってくる。得点1位、攻撃1位と爆発的な攻撃、相手攻撃の分析対応に優れた守備は26インターセプト、中核は9インターセプトのベテランSシャーパー(13年目)、守備のリーダーはMLBビルマ。ファーブ率いるバイキングスを延長で31対28と破ったNFC選手権では、地の利、グッドラックもあったが、5ターンオーバーを奪った守備の貢献が大きかった。
 スーパーサイズと表現したい猛烈な攻め合い、点のとりあいの攻撃戦が予想される。両チームともにドームが本拠で、オープンエアのマイアミが悪天候となると、予想外の展開も起こりうる。順当ならば、コルツ優位だが、守備やキッキングの奮闘を期待して、6点差のセインツ初優勝を期待しておこう。

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