NFL史上最高の手

往年の名&好WRが選ぶ
Best  hands  in  NFL

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2009年5月発売号より転載)

 今年のドラフト1巡でも大量6人が指名されたが、NFLで最もエキサイトさせるポジションといえば、やはりWR(ワイドレシーバー)でしょうか。TOがビルズに移籍したり、ジョンソンがオチョシンコに改名したり、オフフィールドでも目立つ動きが多いのも、このポジションの伝統でしょう。
 でも、刹那に掛ける、いなせな動きは男心をくすぐります。
 第42回のヘルメット・キャッチ、第43回でRAC55ヤードを22歩で走りきったフィッツのストライド、そしてホームズのサイドライン・キャッチと最近のスーパーボウルでも勝負を左右したのは、WRの繊細かつ爆発的な集中力でした。
 
 かってWRといえば、DBと並ぶ自分勝手なお気楽マン揃いが定説だったのですが、じっくり記憶に残る選手を振り返れば、マイペースはマイペースでも、信念に従った名人気質の選手が揃います。
 往年の好&名WR23人集まって、現在のパスシーンを評価する米誌の記事から気になる部分をピックアップします。現役選手には言えない、本音つまり適正な評価と判断出来ます。
 出席WRは、1955〜2003年に活躍した23人。ダニー・アブラモウィック、フリッパー・アンダーソン、レイモンド・ベリー、クリス・バーフォード、ケン・バロー、クリス・キャロウエー、ロジャー・カー、マーク・キャリア、ゲイリー・コリンズ、ローレンス・ドーシー、ボイド・ドウラー、クイン・アーリー、ビル・グロウマン、ジェシー・へスター、ドリュー・ヒル、フェア・フッカー、ジョン・ジェファーソン、ティム・マギー、エリック・モールズ、ブレット・ぺリマン、アンドレ・リード、アル・ツーン、ポーター・ウォリック。全員の記憶があるシニアは筋金入りの“アラ・セブ”でしょう。

質問1、試合でパスを捕球してみたい、現役のQBは誰ですか。
 (カウントアップ方式)0・5票、イーライ・マニング。1票、マット・ライアン、カート・ワーナー。4票、トム・ブレイディ。17・5票、ペイトン・マニング。
 「ペイトン・マニングのWRが激しいヒットを受けるシーンがない。彼が絶妙なタイミングのセンスがあるからだ」(F・アンダーソン)。「ペイトン・マニングのタイミングはダン・ファウツと似ている」(J・ジェファーソン)。「彼の父親のパスを受けたので、ぜひ息子のペイトンとイーライからのボールも受けてみたい」(D・アブラモウィック)。
 捕球しやすいとは、タイミング、コントロール、ボールの質の3点に影響される。たとえば、WRが5ヤードで90度ターンするドラッグルートを走った場合(通常はセカンドオプション)、キャッチする位置へボールが届くまでの時間を3秒間とすると、意思決定までの時間が2秒の場合と、1秒5の場合では、投げられるボールの精度と速度と質が大きく違ってくる。極端に要約してしまえば、QBの(正しい)意思決定が早ければ早いほど、WRの捕球がしやすくなる。WRとして微妙な質感も大事にしているのだろう。

質問2、現在のNFLで、最も優れたWRは誰ですか。
 1票、アンクワン・ボールディング(カージナルス)、マービン・ハリソン(コルツ)、カルビン・ジョンソン(ライオンズ)、テレル・オーエンス(ビルズ)。2票、ハインズ・ワード(スティーラーズ)。2・25票、スティーブ・スミス(パンサーズ)。3・25票、ランディ・モス(ペイトリオッツ)。4・25票、アンドレ・ジョンソン(テキサンズ)。8・25票、ラリー・フィッツジェラルド(カージナルス)。
 「サイズ、スピード、そしてボールを捕ろうとする闘争心を持つフィッツジェラルド。誰もが最後にはヒットを受けるが、そこでも強さを発揮しなければならない。彼はそこでも傑出している」(バーフォード)
 「フィッツジェラルドは信じなれないほどのバランスとハンドーアイ・コーディネーション(目と手の連動性)がある。傑出した爆発力と頑強さもあり、彼の闘争心も好きだ」(カー)。
 「モスは良いブロッカーではないが、しかし、彼をカバレッジから放すことは危険すぎる。注意を払わねば、彼はクイック6プレイヤー(直ちにタッチダウンを稼ぐ選手)になる。これはブロックより重要な要素だ」(ジェファーソン)。
 「NFLのOB組織が、WR経験者に対して同じ質問をしたが、アンドレ・ジョンソンが文句なくトップだった」(グロスマン)
 「ハインズ・ウォードは、最大でも、最強でも、最速でもないが、彼は大きく、強く、速くすべてを持っている、究極のプロだ」(アーリー)
 「スティーブ・スミスはトータルパッケージ(完璧な選手)です。ベスト選手の条件の一つであるサイズを欠いていますが、彼はチームスポーツでコーチが求めるすべてをフィールドで実践することが出来ます」(バロー)。
 現在は大型WRの時代。スピード、機動性に加え、圧倒的な優位性となる高さを持ったWRが主力となっている。昨08年度のNFLレシーブ記録(距離)の上位3人は、アンドレ・ジョンソン、フィッツジェラルド、スミス。
 OB投票の上位3人も、フィッツジェラルド、カルビン・ジョンソンの191センチ、モスは193センチと大型が揃った。アンドレ・ジョンソンも191センチある。4位のスミスは175センチだが、傑出した敏捷性と集中力がある。
 従来主力だった、機動性を持つ中肉中背型、183センチ(6フィート)のハリソン、ウォードなどは、パスカバレッジを守備の第一任務とする現在に動向では記録は伸ばしにくいだろう。

質問3、不当に高い評価を受けているWRは?(答えにくい設問に10人が解答を拒否した)
  (1票は省略)2票、ウェス・ウェルカー、ロイ・ウイリアムズ。3票、チャド・オチョシンコ(前ジョンソン)。

質問4、最も優れた捕球力(良い手)をもつ選手は?
  1票、エド・ベネット、ミルト・モーリン、ジェリー・ライス、ライオネル・テイラー、ビリー・ウイルソン。2票、ラリー・フィッツジェラルド、スティーブ・ラージェント。2・5票、レイモンド・ベリー。11・5票、クリス・カーター。
 「クリス・カーターは驚異的な手をしていた。リーチの届くすべてをキャッチした」(リード)。
 「1年目以降は、ジェリー・ライスが落球したのを見たことがない」(ペリマン)。

 昨年の記録を含まない、08年まで生涯通産レシーブ記録(距離)の第1位はジェリー・ライス(49ナース、レイダース、シーホークス)、2位はティム・ブラウン(レイダース、バッカニアーズ)、3位はアイザック・ブルース(ラムス、ライオンズ)。往年の23人がこの3人に、それほど良い評価を与えなかったのも、このポジションが持つ自尊心の高さを反映した結果なのでしょう。

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