最強の鉄人

OBが選ぶ最も強いスティーラーズ
STEEL DYNASTY

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2009年4月発売号より転載)

最強の鉄人を探せ
 史上最多の6回目のNFL優勝をとげたピッツバーグ・スティーラーズ、当然ながら関係者ファンは史上最強のチームと胸を張るが、そうなると小さな内紛が起こるのも世の常人の習いです。
 テリブルタオルを振り回して、鉄人たちが競い合うのは、ベストオブベスト、最強の中の最強は誰でどの時代かという、内輪もめというか痴話げんかに近い話です。
 最近の米誌が、その争いに結論をだすべく、スティーラーズ選手OB20人を集めて、6項目につき、アンケートしています。日本でも筋金入りのファンが多いと思います。
 誌上参加してみたらどうでしょう。
 最初の質問は、フランコ・ハリスの奇跡の捕球(1972年AFCプレーオフ、対オークランド戦、終了22秒前、自陣40ヤード第4ダウン10ヤードで、QBブラッドショーの投げたパスがオークランドのCBテータムに当り、約10ヤード跳ね返ったボールがRBハリスの前へ、地上2インチでキャッチしたハリスはそのまま走って12対7で逆転TDとしたプレー、NFLフィルムが史上最も偉大なプレーに選出した)と、43回スーパーボウルでのWRサントニオ・ホームズのTDキャッチと、どちらが好プレーかという比較の難しい設問でした。
 結果は、予想通りにハリス15票、ホームズ4票、判定できないが1票です。OBの主張をいくつか紹介します。「奇跡のキャッチはスティーラーズ王朝の開始を象徴するプレーでしょう」(ゲーリー・アンダーソン)。「サントニオのプレーはスキル・プレー、ハリスのプレーはラッキー・プレー」(チャド・ブラウン)。「私だってホームズより難しいキャッチをしているつもりだし、もっと難しいキャッチはいくつも見ているよ」(ロイ・ジェファーソン)。思い出は心の中においておくと、自然とより純粋に昇華するものなのでしょう。

 第2問は、チームメイトとして欲しい最近の選手は誰ですか、これにはけっこう渋い名前が挙がった。ハインズ・ウォード 8・75票、トロイ・ポラマール 3・25票、ベン・ロスリスバーガー 2・5票。その他、ジェームズ・ファリア、ジェームズ・ハリソン、ウィリー・パーカー、エーロン・スミスの名が上がった。
 「ウォードは、我々70年代のタフでフィジカルなチームにぴったりだ」(L.C.グリーンウッド)。「彼は本当にブロックが上手な数少ないWRだ」(アンディ・ラッセル)。

 続いて、最も憎い対戦相手では、クリーブランド 8・5票、ヒューストン 5票、ダラス3票。その他に、バッファロー、アリゾナ、ボルティモア。
 「ブラウンが嫌い。ファンや、古く汚いスタジアムも好きじゃない」(チャド・ブラウンズ)。「オイラース、とくにジェリー・グランビルがコーチしたオイラース」(タンチ・イルキン)。「ビルズ、いろいろな屑を投げつけられた」(マット・バー)。

 そろそろ、メインの質問。スーパーボウルチームの中でベストのスティーラーズは、何時のチームですか。
 74年(SBMVP=RBハリス) 6票、75年(WRスワン) 4票、78年(QBブラッドショー) 4票、79年(QBブラッドショー) 3票、05年(WRウォード) 2票、すべての70年代チーム 1票。
 「74年のチーム、なぜならばスーパー初出場がなければ、その後のすべてがなかったから」(アンディ・ラッセル)。
 「78年のチームは才能と精神力があったが、これが現在のスティーラーズの礎になっている」(ジェラルド・ウイリアムス)。

 本拠スタジアムは、スリー・リバース・スタジアムか、ハインズ・フィールドか。
 スルーリバースタジアム 10票、ハインズ・フィールド 8票、どっちともいえない 2票。
 「昔のスリーリバースの芝は恐ろしいほどだし、そしてハインズのフィールドターフも負けずに酷い」(リッチ・イレンバーグ)。

 最後の質問、「最も偉大なスティーラーズ選手は誰ですか」は選手同士の評価だけに気になります。私ですか。リン・スワンもいいですが、最強の鉄人となると、OBの1位と同じ答えです。当時、スティーラーズの夏合宿に2週間ほど泊り込み、文字通り起居を同じくしました。日本人が珍しい、大分前の話ですので、選手の方も気を使ってくれて、楽しい取材でした。一際大きな身体でしたが、昼食時に自分でとってきたポテトを隣の私の皿にぽいと入れて、「ここは暑いから、しっかり食べないとね」と声をかけてきました。練習でも、大選手にもかかわらず、コンタクト練習では一番長く残って、若手を励ましていました。選手としてTVCFで演技したのも彼が初めてで大人気でした。
 答えは、ミーン・ジョー・グリーン 10票。メル・ブラント 2票、アート・ルーニー 2票。その他に、テリー・ブラッドシュー、ジャック・ハム、グレッグ・ロイド、ベン・ロスリスバーガー、リン・スワン、ロッド・ウッドソン、ファンの皆さん。
 「70年代のチームでジョー・グリーンよりチームに貢献した選手はいない。彼は1人で勝利をあげられる傑出した選手だった」(アンディ・ラッセル)。
 「メル・ブラントはフィールドの内外で選手を励まし、試合の流れを変えられた。チームメイトとしても、チームの宣伝役としても一流だった」(リック・ウッド)。
 「リーグのすべての選手が愛し、尊敬したのが、オーナーのルーニーだった。もし他の都市でフランチャイズを持ったとしても、たぶんピッツバーグと同じ成功をおさめたと思う」(ロン・ジョンソン)。
 「ジャック・ハムほど完璧で、欠点のない選手を見たことがない」(ディック・ヘイリー)。
 今から20年ぐらい前に、リン・スワン、アンディ・ラッセル、ポール・マンスフィールドの3人を呼んで、駒沢競技場でちびっ子100人のフットボール教室を開きました。あの時の子供たちは今や部長さんクラスのはず、きっと筋金入りのピッツファンになっているはず。彼らの評価も聞いてみたいものです。

スティーラーズは誰をドラフトしたいのか
 昨年度のスーパーボウルでは守備力を核とする総合力での勝利でしたが、黄金時代を目指すにはスティーラーズはどこを補強すべきでしょう。最近5年間では41人を指名していますが、その中から4人が看板選手、9人がスターターとなっており、ドラフト能力はきわめて高いといえます。ポジションに関係なく、最も評価の高い選手を指名する傾向を感じます。高齢となってきたDE、B・マクファデンを失いCBも補強したいとこです。続くのはGの補強です。惜しくも準優勝に終わったアリゾナ・カージナルスですが、弱点となったのが、ボールキープ出来ないRB、そして最後の逆転を許したパスラッシュ能力。RB、OLB(またはDE)の指名は間違いないはずです。過去5年間で33人を指名しましたが、看板選手に育ったのは2人、スターターは11人。評価としてはB。スティラース仕込のワイゼンハントの手腕を楽しみにしましょう。ニューイングランドが誰を控えQBに指名するかにも興味がある。
 

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