タイタンズ連勝ストップ
NFL2008年度第12週

 

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2008年11月発売号より転載)

 今スーパーボウルがあれば、タイタンズ対ジャイアンツだろう。ジェッツに人気RBデュオのサンダー&ライトニングが合計45ヤードに止められ、10連勝で止まったタイタンズだが、今後の日程は第16、17週を除き、楽である。1敗を守るジィアンツには難敵が待ち受けているが、接戦をものにする地力がある。

不沈?タイタニック
 早くも第12週を迎えた。2月1日(日)タンパで開催される第43回スーパーボウルへの出場候補が絞られて来た。(11月24日は除く、第12週終了時)
 AFCで地区優勝に近いのが、東地区ではNYジェッツ(8勝3敗)、タイタンズの連勝をストップ、残る日程も難敵は少ない。RBトーマス・ジョーンズ、QBファーブと攻撃の核が安定、守備もリーグ5位とすっかりリズムが出来上がった。北地区はスティーラース(8勝3敗)、南地区はタイタンズ(10勝1敗)、西地区は低いレベルでの争いとなったがブロンコス(6勝5敗)だろう。ワイルドカード争いに残るのは東のペイトリオッツ(7勝4敗)、ドルフィンズ(6勝5敗)、北のレイブンズ(7勝4敗)、南のコルツ(7勝4敗)だろう。
 AFC東地区は、QBカッセルがWRモスを生かすディープパスを向上させた、ペイトリオッツの6年連続地区優勝の可能性もゼロではない。この地区は地区外対戦チームが、戦力の劣るAFC西とNFC西と恵まれた日程もあり、第12週終了時で負け越しチームなしである。
 一方NFCでは、東地区はジャイアンツ(10勝1敗)、北地区はベアーズ(6勝5敗)、南地区はバッカニアーズ(8勝3敗)、西地区ではカージナルズ(7勝4敗)が地区優勝に近い。しかし、ワールドカード争いは大激戦、NFC西との地区外対戦で勝利を稼いだ、東地区のレッドスキンズ、カウボーイズ(以上7勝4敗)の2チーム。パンサーズ(8勝3敗)、ファルコンズ(7勝4敗)の南地区勢も、AFC西地区相手に勝率を上げて、プレーオフを狙っている。
 現時点の戦力では、AFC選手権はペイトリオッツ@タイタンズ、NFCはパンサーズ@ジャイアンツ、スーパーボウルは、タイタンズ対ジャイアンツだろう。

シナリオが描けないー多発した主力の負傷
 予想でよく現時点の戦力ではと注釈を書くのは潔くないと自分でも心苦しいが、このスポーツにとって負傷は競技の一部であるのを理解していただきたい。それにしても、2008年は、シーズン直前から有力選手の負傷が多発して、勢力分布が劇的に変化した。ジェッツのFBトニー・リチャードソンがコメントした「有力選手を中心にしてチーム作りをするが、不幸なことに負傷はわれわれのゲームの一部である」は真実である。
 シーズン序盤から有力選手の負傷が続出した。プレシーズンにジィアンツDEウメニオーラの半月板損傷、開幕週にNFLの象徴であるペイトリオッツQBブレイディが僅か7分33秒で左膝前十字靭帯負傷して、シーズンを終了した。これでタブーが取り除かれたようにNFLフィールドはハードヒットが連続した。チャージャースLBのS・メリマンが膝靭帯断裂で負傷者リストへ、ペイトリオッツSのR・ハリソンが右大腿四頭筋断裂でシーズン終了。ベンガルズのQBパルマーが右肘で5試合、コルツSのサンダースが足首捻挫で5試合、スティーラースRBパーカーが膝捻挫で4試合、カウボーイズQBロモが右小指負傷で3試合、イーグルスRBウエストブルックが足首と肋骨で2試合、セインツRBブッシュが半月板断裂で2試合、レイブンズRBマクゲイヒーが膝と足首で2試合、コルツRBアダイがハムストリングで2試合、大物がそれぞれ欠場した。コルツQBペイトン・マニングはブドウ球菌感染症、チャージャースRBトムリンソンはターフトーに悩みながら出場した。

レギュラーシーズン18週増、選手数は?
 サラリーキャップのために優秀控え選手を揃えることが難しい現在、ジェッツのマンジーニ・コーチは、「キャップの大部分を占める主力選手を失うと困難な状態になる、現金は戻ってこない」と頭をかかえる。
 「負傷に備え、厚みのある選手層が造らねばならない。しかし、ブレイディのような重要な選手を失うことに備えるのは事実上出来ないことだ」はテキサンズのキュービアック・コーチ。
  NFLは現在、来期以降の試合日程の大幅な変更を検討中だ。プレシーズンを2週に減らし、レギュラーシーズンを18週に増やす案がもっとも有力といわれているが、負傷対策としての選手枠の増加、およびサラリーキャップの変更に対する発言は、今のところない。

攻守ボスウエイ選手
 負傷多発によるやせた選手層の影響で、同一選手が攻守のスターターとなる、最近のNFLでは珍しいスローバックなシーンが起こった。第11週、対ファルコンズ戦でブロンコスが新人のスペンサー・ラーセンを攻撃のFBと守備のMLBに先発で起用した。ドラフト7巡指名のラーセンはアリゾナ大出身、本職はLB。LBとバックの両ポジションの負傷多発に
悩むブロンコスの苦渋の選択、試合ではLBではチーム3位の7タックル、ボールキャリーはなかったが、リードブロックも無難にこなし、シーズン開始時の本職であるキッキングシーンにも登場する、1人三役を嬉々としてこなし、24対20の大接戦での勝利に大きく貢献した。

なんでもあり、多彩な戦術
 08年前半戦は、従来のNFLから考えればトリッキーとしかいえない大胆な戦術が数多く展開された。ドルフィンズがペイトリオッツを奇襲して以来、現在は7チームが使用してNFLでもお馴染みとなったワイルドキャップ(アーカンソー大)体型。QBがSEに移動してショートスナップを受けたRBが走り投げる、コンセプトはシングルウイングそのもの。
 負傷多発の影響ではないだろうが、守備選手をワンポイントで攻撃に起用する戦術も目立った。とくに、攻撃体型の片側に守備選手をエキストラのラインとして起用するアンバランスラインが多かった。

NFC東の本音トーク
 ブレイディの負傷で大きく分布図が変わった今年のNFL、誰も認める中核となったNFC東地区。レッドスキンズのCBスプリングス、カウボーイズのLBジェームズ、ジャイアンツのCBマディソン、イーグルスのRBウエストブルックが、この地区を代表する選手を話し合った、米国メディアの本音トークを抜粋して紹介しよう。

○ この地区で最もタフな選手をあげて下さい。
スプリングス「イーグルスのSドーキンスも凄いが、1人だけとすれば、ジャイアンツのDTジャスティン・タック」
ジェームズ「(健康だとしたら)、イーグルスのCショーン・アンドリュース。彼にはつねにおびえている」
マディソン「ウエストブルックだと思う。これだけ多くボールにタッチできる選手はいない。WRがいなくても、ウエストブルックとマクナブがいれば、攻撃のすべてが出来るので、勝てない」

○ NFC東のベスト選手は?
スプリングス「難しいな。多すぎる。WRバレス、RBポーティス、QBマクナブ、QBロモ、LBウエア・・・」
ジェームズ「ウエストブルックだろう。なんでも出来る。ボールに触るたびに、距離を稼ぐから」
マディソン「私は、イーライとバレスだ」
ウエストブルック「ダラスのLBウエア。彼はNFLで最高の守備選手の一人だろう。運動能力も高いし、速く、どの攻撃選手も対応に手をやいている」

○ 誰が一番大口を叩きますか?
スプリングス「たぶん、バレス」
ジェームズ「ブランドン・ジェーコブス。彼の得意は、おしゃべりだけ」
マディソン「私はその称号を、レッドスキンズのWRランドールエルに贈るよ。試合中でも、最初からタイムアップまで、喋り続けて、しかもいつも笑顔だ」
ウエストブルック「レッドスキンズのチーム全体だね。すべてのダウンで、どうでもいいことや、ほめ言葉を連発している」

○ それでは失礼な選手は?
スプリングス「私はジャイアンツとやるのが大嫌いだし、イヤになるのはジェイコブス。大きくて強い、頭から当ってくる」
ジェームズ「俺もジェイコブス、RBなのだが、やっぱりやりたくない選手」
マディソン「ご存知、TO、オーエンスだろう。彼はボールを持っていなくても、凄いブロックをしてくる」
ウエストブルック「特別にいない、すべての選手に公平に注意を払っている」

○ 最もプレーしにくいスタジアムは?
スプリングス「ホームでやると、ジャイアンツはまったく違ったチームになる」
ジェームズ「フィラデルフィア、観客が喧嘩好きで、うるさい。カウボーイのジャージの着用を認められていない」
マディソン「フィラデルフィア。マイアミで9年プレーしたが、フィラデルフィアは見ざましコール、全員が心の底から叫んでいる」
ウエストブルック「ダラス」

○ 対戦したくないコーチ?
スプリングス「守備のサイドから言えば、イーグルスのジム・ジョンソン。外見、カバレッジを変えて、執拗にプレッシャーをかけてくる。攻撃からいえば、アンディー・リード。つまりイーグルスは優秀なスタッフに恵まれているということ」
ジェームズ「俺も、リード」
マディソン「絶対に、カウボーイズのOCジェイソン・ギャレット。マイアミで一緒だったので、良く知っている。とにかく、鋭い」

2008年前半戦の攻撃ラインベスト5
 チームの魂はクォーターバック、パワーは攻撃ラインにあり。そう見切って、シーズン中盤までのNFL攻撃ライン・ベスト5をランク付けしてみた。第3〜5位は中盤の巻き返しで地区上位に上がってきたチームとなった(記録は第11週終了時です)。

第1位 ジャイアンツ(N東1位、9勝1敗)200ヤード以上のラッシュを3試合連続で記録、ラッシュ平均も5・3ヤードでリーグ1位。QBイーライ・マニングも8試合で僅か被サック12。(左から)ディール、サイバート、オハラ、スニー、マケンジーのオフェンスラインは、スーパーボウルの逆転勝利で、チームプレーとしてのブロックを完成させた。

第2位 タイタンズ(A南1位、10勝) NFL唯一の全勝を誇るタイタンズの原動力、タックルのルース、D・スチュアートのリードするパスプロテクションは完璧で、NFL最少の6被サック。中心部にいるCマワエは、15年目の大ベテランだが守備タックルをぶっ飛ばしている。

第3位 ニュヨーク・ジェッツ(A東1位、7勝3敗) 高給でサインしたGファニーカは十分に値した。若いOTファーガソン、Gマンゴールドと共に、17位だった平均ラッシングを4・4ヤードと9位まで上げた。

第4位 パンサーズ(N南1位、8勝2敗) 好不調の波が大きいパンサーズだが、8勝2敗を支えるのは6位のラッシング。Tグロス、ワートン、Gビンセント、新人オウタが、交代出場するCのハンガートーナーとカリルをカバーしている。

第5位 カージナルズ(N西1位、7勝3敗) シーズンの前評判は悪かった攻撃ラインだが、パス多投の攻撃にもかかわらず、わずか18被サックしか許さず評価を上げてきた。ラッシングはまだ平均3・4ヤードと元気がないが、TのL・ブラウン、Gラトゥイを中心に終盤の正念場に臨む。

NFL地区別順位(11月23日、第11週終了時点=24日は除く)
AFC
東部                      勝 負 分
ニューヨーク・ジェッツ            8−3−0
ニューイングランド・ペイトリオッツ    7−4−0
マイアミ・ドルフィンズ            6−5−0
バファロー・ビルズ              6−5−0

北部
ピッツバーグ・スティーラーズ       8−3−0
ボルティモア・レイブンズ          7−4−0
クリーヴランド・ブラウンズ         4−7−0
シンシナティ・ベンガルズ          1−9−1

南部
テネシー・タイタンズ             10−1−0
インディアナポリス・コルツ         7−4−0
ジャクソンヴィル・ジャガーズ       4−7−0
ヒューストン・テキサンズ          4−7−0

西部
デンバー・ブロンコス            6−5−0
サンディエゴ・チャージャーズ       4−7−0
オークランド・レイダース          3−8−0
カンザスシティ・チーフス          1−10−0

NFC
東部
ニューヨーク・ジャイアンツ        10−1−0
ワシントン・レッドスキンズ         7−4−0
ダラス・カウボーイズ            7−4−0
フィラデルフィア・イーグルス       5−5−1

北部
シカゴ・ベアーズ               6−5−0
グミネソタ・ヴァイキングス         6−5−0
リーンベイ・パッカーズ           5−5−0
デトロイト・ライオンズ            0−11−0

南部
タンパベイ・バッカニアーズ         8−3−0
カロライナ・パンサーズ           8−3−0
アトランタ・ファルコンズ           7−4−0
ニューオーリンズ・セインツ         5−5−0

西部
アリゾナ・カーディナルス          7−4−0
サンフランシスコ・49ers          3−6−0
セントルイス・ラムズ             2−9−0
シアトル・シーホークス           2−9−0

以上

 

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