Follow THE Cowboys!
10月篇(第6週終了)

(TOUCHDOWN PRO 12月号=10月末発売号から転載)

2004年12月3日
 

本命パッツ、対抗イーグルス、大穴コルツ&ブロンコス?
  開幕前の予想が生きる10月、9月の旋風ジェッツ、スティーラーズ、ジャガーズ、ジャイアンツ、ファルコンズ、ラムズは生き残れるのか。
  今月もG推薦10チームの動向を通じて、NFLの動きを追う。(後藤完夫)

 ニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC東1位、5−0)は公式戦19連勝の記録を達成、現代NFLの王道を驀進中。
  ウエストコースト攻撃の理想形、過去13試合は必ず先制(=全勝)。相手の焦りを利用して、34(攻撃的)守備でテイクオーバー。第1Q終了時に2本差をつけるのが彼らの定位置、方程式。
  モンタナ二世の異名もあるQBブレイディは、複数の主力WRを負傷で欠きながら、投げ分けてパサー・レイティング93・5はリーグ9位。58・7%の成功率だが、要

  所では微塵の不安もない。(記録は第6週終了時点)
  パッツ唯一つの不安は、決して高くはないレッドゾーンのTD率と判断していた。昨年はKヴィナティエリに頼りすぎ、TD率はわずか44%、スーパーボウルにも不安があった。しかし、第2Q後半のブレイディのスクランブルが覇気を呼び、ダイブアクションのクイックスラントパスが完成した。今年は、新加入RBディロンのランとランに増幅されたQSパスの精度向上で一転、レッドゾーン攻守(相手TD率37・5%)は絶好調となった。平均27得点はリーグ7位、16・6失点は6位と攻守バランスも絶妙だ。
  そのパッツと第6週に全勝対決する、同東地区のニュヨーク・ジェッツ(AFC東地区、5−0)は、相手に恵まれリズムを創った。攻撃8位、守備11位で好均衡。衰退を 噂されたRBマーティンが平均4・6ヤードの確実なラン(合計613ヤード)、QBペニントンの短い
  が確実なパス(平均7・6ヤードを70・4%)で、ボールコントロール攻撃(33分09秒)が完成。守備はブリッツを織り込む積極守備に変身、ターンオーバーレシオは+9でリーグ3位、穏やかなエドワーズ・へッドコーチが勝負に徹する姿勢を強調した。地力の点ではパッツに劣るが、レシーバーが育ち長距離パスが可能になれば、プレーオフ出場は間違いない。
 確実なラン攻撃とハードな守備、タフなNFLの象徴になるはずのボルティモア・レイヴンズ(AFC北地区、3−2)が調子に乗れない。
辛抱強く成長を待つQBボウラーが3インターセプトと大崩れしたレッドスキンズ戦で10-17と2敗目を喫した。 攻撃30位、守備6位の跛行性はぬぐえないが、最近2試合でパントリターンTD2のサムズは、出場禁止のRBルイス、負傷のTEヒープの不在をカバーする勢いはある。(少なくともディオンより期待できる)
  それにしてもLBレイ・ルイスの
 

ダンスやハドルには痺れる迫力がある。
ピッツバーグ・スティーラーズ(AFC北、4−1)はQBに新人ロスリスバーガー起用で再建方針決定、RBステイリーが走りベティスがTDの、ラン主力攻撃パターンも順調。パスを中心にプラス5、サック17の守備は安定しているが、中盤から強敵相手だ。
  インディアナポリス・コルツ(AFC南、4−1)はこれで良いのか。QBマニング兄は驚異のパッサーレイト116(成功率66%、TD率8・9%))で攻撃は2位と頑張るが、パスカバーがリーグ最下位で、守備は31位。トーナメント戦に備えて守備を建て直せ。
  テネシー・タイタンズ(AFC南、2−4)は、平均22失点、22位の守備がアキレス腱となった。ジョージの後に入ったRBクリス・ブラウンは平均5・1ヤードの好走で608ヤードは2位。ただし、(負傷勝ちの)QBマクネアのパスターゲットがいない。

 

  デンバー・ブロンコス(AFC西地区、4−1)は、良い感じで、守備のチームへ変身した。攻撃5位、守備1位。QBプラマーのパスに不安定さは残るが(87・4)、弾力走のグリフィン(2年目)に、オープン快足のドラウンズ(5年目)が加わったRB陣のラッシュはリーグ1位。移籍のCBベイリー、SSリンチ、指名1位のLB・DJウイリアムズが守備の柱と華になった。
  カンザスシティ・チーフス(AFC西、1−4)も、ラン守備全壊から立ち直れない。QBグリーンのパス成績もワンランクダウンで、ヴァミールが取り組む新ボールコントロール攻撃で新たな糸口を探る。
 ダラス・カウボーイズ(NFC東、2−4)には、パーセルズヘッドコーチ仕込みの規律とロイヤリティを期待したのだが、現在は大はずれ。反則や失策の多発での自滅が続く。シーズン直前の旧ジェッツ勢の大量雇用が、乱れを誘ったのだろうか。攻撃では最小の138ヤード(21回)だが守備では267ヤード(29回)を反則で失っている。

  QBテスタヴァーディは83・0で19位。2試合残るイーグルズ戦での復活を期待したい。
  フィラデルフィア・イーグルス(NFC東、5−0)は、攻撃6位、守備17位のバランスで予想通りに全勝。しかし、最近2試合はQBマクネアのパスが急降下(それでも103・5の高レイトなのは、僅か2インターセプトの正確性から)、相手の貧攻に救われた。ただし地区優勝は既定の成績で、課題はポストシーズン。やはり序盤のショートパス攻撃の復活が必要。
  ニューヨーク・ジャイアンツ(NFC東、4−1)にはコフリン新コーチの丁寧なチーム作りが実を結んでいる。第6週終了時点で被インターセプト1、ファンブルロスト3は、コーチの指導力の証明だろう。
  グリーンベイ・パッカーズ(NFC北、2−4)は、リーグワースト3位になった平均25・3失点の守備の弱体が致命的。QBファーヴは11TDを投げ、パス攻撃はリーグ3位に頑張る。
 

 ミネソタ・ヴァイキングス(NFC北、4−1)は、QBカルペパーが絶好調、パッサーレイト127は従来の記録、ヤングの112・8(94年)を破る勢い。72%、TD率9・6%、INT率1・6%は凄い。ただ31位のパスを含め30位の守備はプレーオフに向けての大きな課題。
  アトランタ・ファルコンズ(NFC南、4−1)の好調は、すなわち、NFL切っての人気選手であるQBマイケル・ヴィックの好調の証明。QBながら『NFLで最も速い』といわれるヴィックは平均6・1ヤード(NFL最高)で286ヤードをラッシュで稼ぎ、ファルコンズはラッシュ攻撃1位。左腕からのパスレイトは82・2とまずまず。しかし、原動力は対ラッシュ1位の守備、さすがモーラ新ヘッドの指導力、DEカーニーはサック7、LBブルキングはタックル42でチームリーダー。
  キャロライナ・パンサーズ(NFC南、1−4)は、昨年救世主となったスティーヴン・デーヴィズ(膝)を筆頭に、フォスター(肩)、スマート(足首)と全主力バックスが負

 

傷、守備主力の負傷欠場も多く、『強く守り堅実に攻める』必勝パターンが吹き飛んだ。攻撃18位、守備10位だと、いくらナナが応援しても、せいぜい勝ち越し狙いになる。
  シアトル・シーホークス(NFC西、3−2)は、攻撃、守備共に9位。好バランスなのだが、3連勝の後にミスで崩れた。強豪の仕掛けに対応できる奥深さが育っているのか。WRライスをレイダーズから獲得した、ホルムグレンの親心に好影響が期待できる。

 

 

 

 

 

 

   
 

 

 

  ルイスはチームの組織を固め、規律とプロフェッショナリズムを徹底、細部にこだわり、選手の能力すべてをフィールドで発揮させた。ラッシュを止め、パスラッシュを強調、ターンオーバーを奪う、ルイス哲学を稼動させた。
  といっても、昨年はほとんどのゲームが乱戦だった。平均得点21・6得点(13位)、平均24失点(28位)。  修羅場をリードしたのはQBキトナだったが、今年は控えに回り、攻撃は2年目のカールソン・パーマー中心に一新する。強肩、投球フォーム、ラン・パス、リーダーシップ、視野、忍耐、そして状況を察知する能力、これら一流QBの身体条件はすべて持つパーマーだが、実戦のエースになるかは未知数だ。スター選手は、昨年のAFCリーディングレシーバーのWRチャド・ジョンソン、LGスタインバック、RTアンダーソン。ディロンが抜けたRBは小型ドラム缶のルディ・ジョンソン、新人のペリーが埋める。守備には無名の好選手が多いが、ルイスHCがレイ・ルイス役を期待しているのはILBウェブスター、確かにハードヒッターだ。
  ピッツバーグ・スティーラーズ
(8勝8敗、03年6勝10敗)
  常勝の座から、一気に6勝10敗へ。しかし、過去6年では4回目のプレイオフ不出場を考慮すると、さしもの名門も今年は大幅再建着手の年になる。古手大物を放出、そして24年ぶりに第1巡でQBを指名した。結局OC、DC共に入れ替わり、ワイゼンハントと往年の『ブリッツバーグ』の達人ルボウが新任した。2人が着手したのが、31位のラッシュ攻撃と11位のパス守備、20位のテイクアウエー。
  ラッシュの核に強く速いドゥース・ステイリーを獲得、Cハーティングス、LGファニーカを核に攻撃ライン再生が、今年の狙い。1位指名のQBロスリスバーガーは見習いとして、今年1年はマドックスからチームの得点源であるWRワード、バレス、エルに投げるのを研修する。
  ルボウは悩めるギルドン(ギルドンをトルツメ)ポーター、ベルのLB陣に『ゾーンブリッツ』で自信を回復、若手DB陣を育成する役割がある
 

。エルがリターンするキッキングが、最もエキサイティングというのでは寂しい。

クリーヴランド・ブラウンズ
(4勝12敗、03年5勝11敗)
  9勝から5勝へ、上昇気配から一気に逆戻り。下降の原因は、負傷と不安定QB争い、そしてエースRBウィリアム・グリーンの私生活(アルコール)問題だった。
  JJ黄金期のカウボーイズDCだったブッチ・デイヴィズHCは、教育とモチベーションを重視する大学での指導が永い。このスタイルはベテランには敬遠されるが、新人プロや若年層には有効だ。オーナーは推すが、4年目のデイヴィズは正念場を迎えた。
若手カウチをパッカーズに放出、49ナーズからJ・ガルシアを迎え、QB問題に決着をつけた。もう一つの今年の目玉は、1位指名のTEケレン・ウインズロー。エアコリエル時代のチャージャーズ名TEのジュニアである。RACを恐れてTEをダブルカバーするプロでは珍しいシーンが見られるかもしれない。

 

  ロビンスキーOCのラン優先戦法が再度確立できれば、ガルシアーウインズローのコンビが生きる。しかし、攻撃ラインで頼れるのはRTラッカーだけ。デイヴィズとキャンポDCの技術でカバーする守備にMLBアンドレイ・デイヴィズに続く中核が出来れば、プレイオフ再登場も可能だが。

AFC

インディアナポリス・コルツ
(10勝6敗、03年12勝4敗)
  コルツ対イーグルズのスーパーボウル対決を予想する米国メディアも少なくない。
雪のフォックスボロで14対24と敗れたが、あと一歩、AFC選手権まで上り詰めた。99年QBペイトン・マニングが入団して以来、攻撃がリーグ12位以下にランクされたことはない。課題は守備。今年オフには、大きな戦力喪失もあった。NFL守備の、中興の祖であるT・ダンジーの真価が問われる年を迎えた。

    ダンジーは穏やかで、我慢強く、現場責任者の意思を尊重する。準備は緻密で、奥深く、彼を知る誰もが敬愛される、HCの一つの理想像だろう。
  攻撃はタレント揃い。マニング、RBジェイムズ、WRハリソン、ウェイン、TEポラード、クラークから最大の能力を引き出し、最上の状態にミックスすることで、それがOCムーアの役割である。2TEから3WRまで、自在にアライメントを使いこなす。昨年のQBマニングは成功率67%、被インターセプト10とほぼ理想だが、まだまだひたすら完全を目指し修行中。課題は負傷、そしてバックアップとのある過ぎる差。
 課題の守備。DCミークスが選手の能力の適したマンカバレッジを多用した『カバー2』で、パス守備はマズマズの成績を残せた。しかし、今年は、相方だったブラツキーが衰退により解雇され、守備の要であるDEフリーニーのパスラッシュも制限されそうだ。一番の障害は20位と低いラッシング守備。
 

オフに3人のスターターが抜けたが、トレードなどでのベテラン補充はゼロ。建て直しは手持ち若手とドラフト新人という大胆なスタンスだ。1位のSサンダーズを含めドラフト上位5人中4人が守備選手だが、ダンジーは自前調達に自信があるのか。バッカニアーズの二の舞にならぬ忍耐力が、オーナーのアイアゼイにあるのか。
  キッキングは優秀。41回連続FG成功中で、キャリア成功率87・9%のリーグ記録更新中のKヴァンダージャットは文句なし。Pには、距離より結果を求め、20ヤードライン以内に46回蹴り、タッチバックはわずか12回、頼れるハンター・スミスがいる。キックリターンには、昨季中盤まではリーグ1位(28・6ヤード)だったピアットが負傷から復帰する。

テネシー・タイタンズ
(9勝7敗、03年12勝4敗)
  RBジョージ(カウボーイズ)が抜け、DEカース(イーグルズ)が抜け、TEワイチェック(引退)がいないなら、もうタイタンズと呼べないだろう、

  硬派なマニアならこうぼやきそうだ。
 しかし、現実。タイタンズの時計は、一気に回転を早め、午後を迎えた。過去5年間でプレイオフ出場4回、AFCのエリートチームが、一つの時代にけりをつける年。
  精神的な支柱は去ったが、得点5位、失点13位のチーム力は残った。カウワーに次ぐ長寿HCになったジェフ・フィッシャーの闘争心とリーグで最も安定したQBの一人となったS・マクネアが先頭に立つ。
  ハイマーディンガーOCは、RBブラウンには中央部のラッシュだけを託し、徹底したパス攻撃(とクラッチでのスクランブル)をマクネアに托すようだ。マキャラインズは去ったが、機敏なWRダイソン、長身のベネット、そして俊足のカリーコ、ヒルを4WRセット、キニーと第1指名(2巡)のトロープの2TEとマルチセットを使い分けるのだろう。LTホプキンスを中心とする攻撃ラインの実力はある。
 

  守備は記録じゃない、要所での気力だと、フィッシャーHCが最も得意とする守備の殴り合いに持ち込めば、ワンゲームワンゲームの結果がシーズンに積み重なる。OLBバロック、サーモンとCBロウル、SSウィリアムズを組ませた3−4守備からのパスラッシュ守備と、南地区に多い4ワイドチームに対応するニッケル守備が主力になるだろう。
  キッキングはアキレス腱をいためたKネドニーが復帰、コントロールの良いPヘントリックは『ナックルキック』で急降下ボールを蹴り、ミスキャッチを誘う悪魔のキックがある。リターナーには快足新人ワデルを起用する予定。

ジャクソンヴィル・ジャガーズ
(8勝8敗、03年5勝11敗)
  飛躍の年となる。
  2年目を迎えるジャック・デルリオHCは、次代を担う華がある。レイヴンズの3年間でLBルイスを最強に育て、パンサーズでDCを1年、40歳(グルーデンに次ぐ若さで)でジャックスのヘッドに抜擢された。しかし、初年度前半は任せるタイプのコーチングで落胆の2勝6敗。

  ここで人気LB時代の『熱情と積極性』で現場の先頭に戻り、チームが生まれ変わった。守備はローテーションでフレッシュさを保ち、ランナーに群がり引きずり倒した。激しいタイタンズを指導するフィッシャーが「やつらは汚い守備」と激高するほどの執念が育った。ラッシュ守備はリーグ2位、総合守備でも6位、攻撃もひきずられて12位。
  将来性の高い若手がいる。1位指名の、大型QBのレフトウィッチは強肩、守備の読み、冷静な判断・リーダーシップがある。脚力・モビリティは並以下、ボールの保持が低くファンブルが多い欠点は修正が可能だ。抜群のスピードを持つRBテイラーは健在、(ドラッグ問題があったが)35歳のスミスが核のWR陣は課題として残る。攻撃ラインはCミースターを核に中央部が主力。
  守備は生きが良い。DTストラウドがいる守備ライン、デルリオが分身と信頼するMLBピーターソンのいるLB、今オフ重点強化したDBはボウルデン、マシスが核になりそうだ。
 

  課題は、キッキング。攻撃力に比して得点力がないのは不安定なキックのせいもある。Pハンセンが負傷から復帰することも、今年の躍進の鍵の一つ。
  こうチーム作りを客観すると、デルリオの理想に、選手として在籍したJJ黄金時代のカウボーイズが浮かぶ。ポケットで冷静なQBエイクマン、頼れるRBスミス、スピード豊かな大型守備ライン、そして、堅固なセカンダリー陣……。どうだろう。

ヒューストン・テキサンズ
(7勝9敗、03年5勝11敗)
  新加盟3年目、テキサンズがいい感じで仕上がってきた。昨年も5勝だが内容は良い。NFCチャンピオンのパンサーズを破り、ペイトリオッツは延長戦へ、3試合は合計わずか9点差での敗戦、チーム力は確実に上がってきた。高レベルの南地区上位争いに食い込む体制は整った。
  新加盟チームの育成をパンサーズで経験済みのドム・ケイパーズHCは、新加盟に多い初経験の新人の教育係としてOCパルマーとDCファンジオを選び、2人はその期待に応えた。

 

  ケイパーズの哲学は、まずラン、そしてプレイアクションパス。02年ドラフト1位指名のQBカーは、強肩とリーダーシップで、着実に成長中。しかし、負傷にも悩み、成功率56・6%、インターセプト率4%と効率からみればまだ一人前とはいえない。
  攻撃31位、守備31位と数字上はリーグ最低線の戦力だが、チームに決定力がついてきた。2年目のRBドマニック・デイヴィズは万能型。スター候補であるWRアンドレ・ジョンソンは188センチの大型ながら40ヤード4・3秒。加盟初年度は非力だった攻撃ラインも辛抱強い指導でLTピッツを核に育ち、トレードで穴を埋めた。守備はケイパーズの魂、負傷に悩んだ守備ラインにはDEウォーカー、LBには昨年タックル数リーグ1位のシャーパー、中心に大幅刷新のDB陣にはベテランCBグレンと中心がある。キッキングは安定したKブラウン。

デンヴァー・ブロンコズ
(12勝4敗、03年11勝5敗)
  スーパーボウル狙いの年を迎えた。

  つねにウルトラ強気のマイク・シャナハンHCだが、今年は本気で補強、勝負の年とした。昨年プレイオフの1回戦で、レギュラーで31対17と完勝したコルツに41対10と惨敗して決断した。特別補強したのは、コルツに394ヤードを許したパス守備。なんとリーグ最速のRBポーティスと交換に、プレスカバレッジならリーグ随一のCBチャンプ・ベイリーをレッドスキンズから獲得した。じつは昨年は攻撃4位、守備7位と安定した戦力だったが、唯一の弱点が22位のパス守備、つまり僅か9回のインターセプト、結果TORはマイナス4。一発勝負では格好の標的になる。
  まず安定したラッシングを築き、これを基本にプレイアクションパスに繋げるのが、これまでの攻撃。さらに、昨年獲得したQBジェイク・プラマーのポケットの外に走り、ディープに投げ込む能力が生かせる。攻撃を支えるのは、Cネイレンが核となる運動能力重視の軽量ラインである。今春、長年のラインコーチで裏のヘッドコーチといわれたA・ギブズがファルコンズに去った影響がどこまであるのか。
 

フォーティナイナーズ(49ナーズ)からFA移籍したハースト、40ヤード4秒26で走る新人ベルを中心としたRB陣はコミティ方式になるだろう。TEシャープが引退、ロッド・スミスともう一人頼れるWRが欲しい。
  4−3守備は、DEプライスのラッシュ、MLBウイルソンの動き、そして、ベイリーと共に獲得した前バッカニアーズのSSリンチが中心となりBクラスの上までランクアップした。1位指名の新人LB、DJウィリアムズは前評判が高い。なお、スーパー目指すなら、キッキングの向上は必須だ。

カンザスシティ・チーフス
(9勝7敗、03年13勝3敗)
  名将ディック・ヴァミール3年目の奇跡ならず、今年に持ち越されたスーパーボウル出場だが、戦力的には下り坂に一歩踏み出した。プレイオフ出場に十分のチーム力だが、ポストシーズンを乗り切るには、攻高守低でバランスが悪すぎた。

   地区プレイオフで、446ヤードを許し31対37とコルツに競り負けた教訓から、ガンサー・カニンガム(前チーフスHC)をDCに呼び戻し、リード&リアクト守備から強圧守備に変更した。30位のラン守備向上にDTシアヴィを1位指名したが、フロントライン、LBに補強なし。大型CBのマンカバーを基本とするカニンガム守備だが、その適材も少ない。カニンガムの真価が問われる。
  フィールドポジションゲームで、守備の低調を助けたのが、天才ダンテイ・ホールのキック&パントリターン、(避けて蹴られながら)プレイオフを含め5リターンTDは驚異。彼だけでチケットが売れる。FGは確実なM・アンダーセンも44歳、キックオフは新人担当となる。
  得点1位、距離2位のリーグトップ攻撃は健在。看板のリズミックパス攻撃のエースQBグリーン(34歳)は判断力を上げ、63・1%、4039ヤードを獲得、個人パスレーティング3位。
 

ただ、レシーブの主標的は依然ミスターTEのゴンザレス1人。スィープ、ドロー、トラップ、スクリーンとオープンを走らせれば絶品のRBプリースト・ホウムズも、慎重な起用もあって、30歳ながら、まだまだ絶頂期。RGシールド、LTロウフが中軸の攻撃ラインもトップ級。
  今年はパンサーズ、コルツ、ペイトリオッツ、タイタンズと厳しい対戦の日程で、30歳以上のスターターが8人とエイジング傾向のチーフスには正念場だ。

オークランド・レイダーズ
(7勝9敗、03年4勝12敗)
  スーパー出場から大転落、大幅モラルダウン、タフな悪役イメージも崩れたが、渋い銀黒で兄さん達には依然人気が高い。
スーパーボウル敗戦で、ウエストコースト攻撃の弱点が曝け出され、新HCだったキャラハンに対応能力なく、レイダーズは一気に並以下に急降下した。
  辣腕のワンマン・オーナー、アル・デイヴィズは、伝統のパワーランとロングパスに戻し、誇り高く再びスーパーに照準をあわせた。

  新HCのノーヴ・ターナーは、黄金期のカウボーイズOC、前レッドスキンズHCで、スキンズの失敗を材料に、準備と規律重視で、チームの再生を図るという。
  新スタッフはOCはレイ、前パッツLBコーチのライアンDCは3−4から4−3守備へスイッチ。キッキングはアバゾノ。
30年前『ならず者再生工場』と命名したが、今年も閉鎖的家族主義(実態は知らないが、イメージはマフィア)を慕って、QBコリンズ(ジャイアンツ)、RBハンブリック(カウボーイズ)、ゼラウェイ(スティーラーズ)、TEウィリアムズ(バッカニアーズ)、Gストーン(49ナーズ)、DEハミルトン(ペイトリオッツ)、DTサップ(バッカニアーズ)、テッド・ワシントン(ペイトリオッツ)、LBラッド(バッカニアーズ)、クラーク(ジャガーズ)、CBブキャナン(ファルコンズ)、チャールトン(ジャイアンツ)、Sテレール(レッドスキンズ)と1チームできる位の数が集まった。
 

  人気のWRトリオは、生きる伝説のライス、ブラウン(、ブラウンをトルツメ)が41歳、37歳(37歳をトルツメ)と老朽化、ポーターがエースとなった。LBロマノウスキーが去り、核のRBガーナーがバッカニアーズにFAで移動した。Sロッド、CBチャールズの2人のウッドソンは、DB陣の核に残った。
  大量補強した守備ラインを主力に、20世紀型レイダーズが復活する可能性はある。

サンディエゴ・チャージャーズ
(3勝13敗、03年4勝12敗)
  ウエストコーストの弱小チーム、95年プレイオフ出場以降勝ち越しシーズンがなく、そんなイメージは定着した。
  昨年はリーグ最低勝率。しかし、大学ドラフトでは最下位に第1指名権がある。兄ペイトンに劣らない能力を持つ人気QBイーライ・マニングを獲得、再び人気と実力を取り戻す好機を得た。

 

会議の5日前、チーム代表は、今後のチーム躍進計画をまとめて父親のアーチー(元セインツQB)と面談した。翌日、マニングの代理人から「指名を望まない」との連絡があった。もし、指名されたら大学に残り翌年を待つと強調された。顔面を平手打された気分だろう、スーパーへの可能性の低い弱小チームと判断された。 チャージャーズは、会議当日イーライを指名。その権利をジャイアンツにトレード、
  第1巡4位指名権を含む4つの指名権と交換した。←トルツメ そして1巡4位で大型、強肩のQBフィリップ・リヴァーズを指名したジャイアンツとその権利をトレード、他に来年の1巡を含む3つの指名権と交換した。損得は抜きに、チャージャーズファンにはさびしい話であろう。

    チャージャーズといえば、RBラデイニアン・トムリンソンだろう。ラッシュ313回1645ヤード、レシーブ回数100回725ヤード。じつに413回、14位だった攻撃の総回数の43%、総距離の46%は、トムリンソンが稼いだ。サイズ、パワー、外側を走るスピード、そして広い視野、バランス、最高速度へ早い切替えがトムリンソンの魅力。昨季の11人中8人、4人のスターターが抜けた攻撃ラインは、無名の集団で再建中。 
  サイドラインに逃げる姿が定番となったQBブリーズは、遅い判断によるミス、弱肩で、今季中盤には、新人リヴァーズにスタートを譲る可能性がある。リヴァーズは長身、強肩、速いリリース、高校コーチの父親から学んだ知識とボールセキュリティ意識が高い。27位だった守備はNTウィリアムズ、LBエドワーズ、CBデイヴィズを軸に、ウェイド・フィリップス新DCが3−4スキームも導入して再建に取り組む。
成績次第でショッテンハイマーが抜け、来季はフィリップスが新HC就任の噂がある。
 

NFC

フィラデルフィア・イーグルズ
(12勝4敗、03年11勝5敗)
  3年連続NFC選手権敗退と書くか、3年連続NFC選手権出場と表現するかで、大きな違いがあるが、私は前者、イーグルズはラストチャンスだろう。
  今年のオフに、最後の切り札的に大物2人を獲得した。49ナーズのWRテレール・オーウェンズ、そしてタイタンズのDEでジェヴォン・カース。
  4年目を迎えたHCアンディ・リードは、彼のゲームは(水)、(木)と形容されるほど、準備を重視する。師であるホルムグレン(現シーホークス)の教えだろう。今年アシスタントHCにウエストコースト攻撃に習熟したモーニンウェグ(前ライオンズHC)を迎えた。彼は49ナーズOC時代にオーウェンズを知り尽くしている。
  攻撃は、ワンマンQBマクナブに負うところが大きい。成功率57・5%、レーティング79・7と記録は中の下だが、彼の真価はクラッチ(勝負所)でビッグプレイをやってのける強気な闘争心である。

 

  DCジョンソンは、モーラ―トービンの流れを組むLBを動かす、積極タイプの守備をみせるが、昨年は26テイクアウエーに終わっている。ジョンソンはカースを左右に動かして配置させたかったが、脚負傷の影響で左に固定、右のラッシュは2年目のマクダグルの成長を待つ姿勢。 大物は迎えたが、攻撃4人、守備3人大量7人のスターターを失った。とくに、RBステイリー(去年チームに不協和音を呼んだ)、名手ヴィンセントと大型テイラーのCB2人、昨年のチームMVPのMLBエモンズを失った影響は大きい。
  昨年のチーム成績は、攻撃18位、守備20位で中の下だった。それでも13勝をあげ、不安なく地区優勝したのは、結局はマクナブの実践力が大きい。パンサーズに3対14と敗れた昨年NFC選手権も4インターセプト(うち3がマクナブ)が敗因だった。結局、マクナブ次第の勝負の年になる。

ダラス・カウボーイズ
(11勝5敗、03年10勝6敗)
  さすがビル・パーセルズ、すべてが重厚で、深い。

  就任1年目、ほとんど補強なしで、5勝から10勝、いきなりプレイオフ出場に導いた。ところが、期待して迎えた2年目春のドラフトでは、あっさりドラフト1巡指名権をトレード。本格チーム作りは来05年と周囲がむりやり気持ちを納得させた時に、ジェッツのQBテスタヴァーディを、そしてタイタンズのタフガイRBエディ・ジョージを獲得した。すべてシナリオ通りだった気がする。
  すでにオン・オフで話題のWRキーション・ジョンソン、3年目13サックを記録したDEワイリーを獲得しており、予想できる若手の進歩を含めると、一気に選手権出場もありえる。選手からの信頼は絶大だからだ。
  急速に進歩したカーター、←トルツメ鉄人テスタヴァーディ、いずれ←トルツメ  のスタートもあり得るが、来年のスタートQBはドリュー・ヘンソンに決定だろう。ドラフト直前の動きだった。ヒューストンが昨年6巡指名したヘンソンをトレードで獲得した。
 

ミシガン大時代から、強肩、センス、リーダーシップで知られたが、最近3年間はMLBヤンキース組織の三塁手であり、少なくとも1年間はリハビリを兼ねて3軍QBとすることは周知されている。
  チーム力はリーグ1位の4−3守備、攻撃は15位。DTグラヴァーと8サックのDEエリスの守備ライン、ラン守備とブリッツではリーグ一のSSウィリアムズのDB陣も良いが、ベスト3ダウンLBの評価があるダト・ウィン、コークリー、シングルトンと揃ったLBが一流。
この1年の進歩を見るのが楽しみだ。

ワシントン・レッドスキンズ
(9勝7敗、03年5勝11敗)
  スーパーボウル3戦全勝、NFL史上に残る伝説の名将が戻ってきた。新生レッドスキンズを待ちわびたワシントンは熱狂的な歓迎である。引退から12年後の復活で、フィールド内外では大きな変化がある。復帰を決断してから、わずか7ヶ月で迎えるNFLのフィールド、81年の初シーズンは5連敗で始まった。

   ギブズのフットボール哲学は不動のようだ。タックル間の中央部をパワーランで前進(往年の『40ガッツ』、『50ガッツ』プレイ)、次にショートとミドルのパスを織り込み、勝負所でディープに投げてビッグプレイを生む。
  アシスタントHCウィリアムズは、ラインのパスラッシュをカバーするために、LBのブリッツを多用するようだ。CBはマンカバー、SSをフロントのボックス(ラインとLB)にあげる、思い切ったラン守備も準備中。選手とのギャップを除く目的で、OCブロウ、DCブラーク、もう一人のアシスタントHCビューゲルに教育とモチベーションの任務を任した。
  ブルネルとラムジー、2人のQBがスタートを争っているが、昔のギブズは攻撃のセキュリティを優先してベテランを起用した。タフな強肩を選ぶか、冷静な判断と正確性を求めるか、まだ結論は出ていない。
  RBポーティスがギブズ往年のワンバック攻撃に最適とは思わないが、それ以上の存在であることは間違いない。速さ、バランス、視野、パワー、カット能力、そして自信がある。とくに、オープンでのスピードはリーグ一だろう。
 

  レシーブも速くスマートなWRコウルズ、大型のガードナー、TEラズビーなど豊富で有能。攻撃ラインは強い。サミュエルズとジャンセンは、リーグを代表するOTコンビ。出戻りCレイマーは万能。25位だった守備は、契約でもめているがLBアリントンが中核。
  ギブズのチームはシーズンが深まると共に向上する傾向があった。ギブズ・マジックは現在も通用するのか。

ニューヨーク・ジャイアンツ
(4勝12敗、03年4勝12敗)
  パーセルズ、ギブズ、そして今年からジャイアンツのHCとなったトム・コフリンとNFC東地区は、伝説の名将集団となった。一番強面のコフリンは就任会見で、「まず、最初にやるべきは誇りの回復だ」。規律の男である。
   新人・ベテランの意欲を総チェックして、ロスターを一新、スタジアム周辺の雰囲気も大幅変更―選手ロッカーの照明から、フリーウエイト中心のトレーニングプログラムまでーすべてを最上にした。

  すべての部門に、明確な目的を設定した。マイナス16のTOR、チーム最悪記録の127反則、攻守ライン、そして長期間負傷者リストの洗い直し。
  前任のファッセルの7年間はアップダウンのコースターだった。王朝の復活へ、コフリンが新人人気QBイーライ・マニングと共にスタートする、1年目のシーズンとなる。 コフリンは言葉でなく、現場で指導するタイプ。5時出勤、22時退社が日課。たぶん、ファッセル時代よりパットでの練習量は増加する、課題は、何時いかに選手のやる気を引き出すかだろう。88〜90年、ジャイアンツのWRコーチだったコフリンは、当時のHCであるパーセルズから習得したはずだ。
  4−3守備が主力だが、DCルイスはスティーラーズから持ち込んだ3−4守備を加え、ルックスの技術を導入するだろう。
  コフリンの攻撃はバランスアタック。稼動すれば、ディープボールでチャレンジを織り込む。まだまだ確実なWRトゥーマー、WR並みに動く(大口叩きの)TEショッキーの出番である。
    しかし、今年の話題は、なんといっても2人の人気QBに集中する。名選手であった父の英才教育を受け、NFLナンバーワンの座にいる兄ペイトンにつづいて、プロ入りした新人マニングがいる。爆発的パッシングで時代の寵児となり、リーグMVP2回、スーパーボウルMVP1回のカート・ウォーナーが春季に突如入団してきた。イーライの兄は初年度は開幕戦からスタート、この年は3勝13敗に終わったが、翌年は13勝3敗と一気にリーダーの座に座った。コフリンは、どのプライドを優先するのだろう。
  20位だった攻撃は、ラインの建て直しが急務。LTぺティグーが負傷から復帰すれば核になる。RBはバーバー(ファンブル多し)、デイン。守備での視線は、NFLを代表するパスラッシャー、DEストレイハンに集中するが、32歳を迎え、DTハミルトン(引退)の助けもなく、多大な期待は出来ない。新スタートLB3人の中心はエモンズ。技巧派アレンとタフなピーターソンのCBコンビは、NFC東を代表する。最近下降傾向のインターセプトを増大させるには、Sの向上とカバレッジ戦術の工夫が必要。
 

キッキングもコフリンの激怒をかいそうな不安がある。

NFC

ミネソタ・ヴァイキングズ
(9勝7敗、03年9勝7敗)
  もう一度、チャレンジ。
期待された昨季は、結局、NFL史上2チーム目の最悪(珍)記録を作ってしまった。
  開幕6連勝しながら、最終10試合で7敗を喫し、プレイオフ出場を逸するという大崩れ記録である。しかも、弱小カーディナルズ相手の最終試合の、最終プレーで28ヤードヘイルメリーパスを許した痛恨の敗北である。課題として残ったのは守備。昨季前半の快調を指導した大ベテランのオレイリーDCに限界があった。
  しかしプレイオフを逸したとはいえ、HCマイク・タイスの再建作業は順調である。
5勝を受け継ぎ、6勝、9勝と着実な向上、3年目の今年はプレイオフに再チャレンジする。

    攻撃はリーグ1位、核はパス。自信と平常心をつけた大型QBカルペパーから、リーグ一危険なWRモスへの、長距離ミサイルパスの破壊力は抜群。並の対応では止められない。それにレイヴンズからロビンソンが加わり、安定したキャンベルが控えに回る豪華なWR陣となった。
  ラン攻撃も充実、スピードのベネットを中心に、スミス、ウィリアムズとRBのデプスも厚い。Cバーク、LGリウィンスキーがリードする、サイズのある攻撃ラインもオフの移動なしで一流、ただし、控が薄い。
  ベテランの新DCコトレルは、自身の守備哲学を強要せずに、選手の個性を生かして、再建にのぞむ。豪腕DTホーヴァン、機敏なDEウィリアムズの守備ラインは中の上、素材は良いが経験不足のLBが進歩して、9インターセプトでリーグ1位のFSラッセル、8回のSSチャヴァスなど鋭さを持つDBが安定したパス守備を見せれば、昨年を悪夢と笑うシーズンになろう。
  グリーンベイ・パッカーズ
(9勝7敗、03年10勝6敗)
  ミスターQBが健在な限りプレイオフは定位置、そんな地元の思い込みに応えて、父の死を乗り越えるブレット・ファーヴの鬼神の活躍で最終盤に4連勝、3年連続プレイオフ入りを果たしたが、今年はヴァイクスの追い上げもあり、苦しい。
  ただし、パッカーズの魅力の一つに的確な補強によるチーム作りがある。GMを兼任のM・シャーマンHCの手腕によるが、02年はWR、03年はLB、そして今04年はCBに取り組む。去年のスターターから去ったのは僅か1人。NFCのレベルアップに追いつく全体の底上げがあれば、ファーヴに贈る最後のスーパーボウル出場も夢ではない。
  34歳を迎えたファーヴだが、衰えはない。
利き手の親指を骨折しながら、4度目のリーグ最多TD(32)、成功率65・4%はキャリア最高だった。しかし、客観的に見れば、要所での判断ミスによるインターセプトの増(21)があり、ビッグプレイを狙う、ある種のあせりを感じた年だった。
  ブーツレッグでのランパス・オプション権をファーヴに委譲したようだが、攻撃の核をウエストコースト(WC)攻撃の基本に戻すか、変形してパワーランをもう一つの核にするのか、ロスリーOCに悩みを感じる。  リーグ3位のラッシングの主役は、4年連続1000ヤードを越えたRBのA・グリーン。速く、パワフル、デュラブル(頑丈)で、昨年自己最高の1883ヤードを走り、ファーヴへの圧力を半減させた。重量のダヴェンポートもいるし、パス捕球に秀でた第3ダウンバックのフィッシャーがいる。C、Gを中心に実力派で固めた攻撃ラインは機動力があり、負傷がなければ、上級。
  WRファーガソンは、大きく、RAC(ランアフターキャッチ)が期待できる、WC攻撃には最適の人材。
  4−3守備からDTブラウンが抜け、ラン守備に課題が残った。新人でチームソロタックル1位となったバーネットが期待のLB。FSシャーパーを軸に建て直しを図るDBには、ドラフト1巡指名のCBキャロル、ベンガルズから獲得のSSローマンに期待大。
  シカゴ・ベアーズ
(8勝8敗、03年7勝9敗)
  今年の新HCは、モーラ・ジュニア(ファルコンズ)、ムラーキー(ビルズ)、ギブズ(レッドスキンズ)、コフリン(ジャイアンツ)、グリーン(カーディナルズ)、ターナー(レイダーズ)、そして私が最も期待していたベアーズのラヴィー・スミスの7人である。ネガティブな意見もある。彼はNFLで最も複雑な攻撃を導入して2年目のQBグロスマンを、180度異なる守備哲学の採用で守備の混乱を招く、との見方だ。
  ベアーズといえば、攻撃28位、守備14位の貧弱な戦力、去年の7勝も不調・低調チームからの拾い物、客を呼べるのが最強のLBアーラッカーだけ、と揶揄されていた。もし未来を求めるなら、このチームには早めの手術が必要だった。
  スミスは、96〜00年、バッカニアーズでダンジーHC(当時、現コルツ)の下でDCをつとめ、カバー2守備を完成させ注目を浴びた。穏やかで理論的、ダンジー流で期待できる。
    彼が立て直しの基本にするのが、チーフス・スタイルの攻撃そしてB・ライアン時代のシカゴ・スタイルの守備。カバー2守備の達人であるスミスは、守備を多少アレンジする予定という。
  OCシェイはチーフスのQBコーチから招いた。QBグロスマンは新人の昨年、最終3試合にスタートして2勝1敗。強肩、素早いリリース、脚力はないがポケットでの忍耐力はある。WRブッカー、テレール、ゲイジとTEクラークは実力派。30位からの向上は必須条件だ。RBジョーンズも能力十分で、あとはきっかけ。攻撃ラインは良い。小柄だがタフでレベレッジ取りが上手いCクルーツ、それにチーフス攻撃の教科書として、リーグを代表する高い運動能力のOTテイトをチーフスからFA獲得した。スミスらしい賢明な補強だ。守備は、合格点はDTハリスだけの守備ラインは要成長。ミスターLBのアーラッカーには自由度を与え、読んで反応するよりボールをみて奪えとワンマンを生かす体勢を準備する。
 

WLBを様々のポジションで生かす、ペイトリオッツスタイルの起用も検討中。CBティルマン、FSブラウンのDBはスマートで安定。もともとリターンはキックのアズマー、パントのマクォーターズ共に一流だ。

デトロイト・ライオンズ
(8勝8敗、03年5勝11敗)
  2年目のスティーヴ・マリウッチHCがミラクルを起こす可能性もある。ウエストコースト(WC)攻撃の完成は最低2年は必要、そしてQBハリントンは今年で3年目を迎える。マリウッチはご存知WC攻撃の申し子である。
  しかし、ライオンズの決定的な弱点は精神面。過去3年ロードゲームでは全敗といったNFL最長の、ふがいない記録から脱することが出来るのか。
  49ナーズを感情的な衝突から解雇されたマリウッチは、昨年ここ北国のドームスタジアムでOC兼任でWC攻撃の完成を目指し、薄い選手層と負傷の対応におわれた。

  選手の信頼を確立、可能な限りの補強に成功した今年、DCジャローンの正統派守備と共に、確実な前進を開始しそうだ。
  ハリントンの最大の武器は正確性。リーダーシップ、プレイの展開を待つ忍耐、スクランブルか投げ捨てか判断、の課題3点は、昨季終盤に向上してきた。WRは去年、今年の指名1位、ロジャーズとウィリアムズには期待できる。ベテランのストリートが深みを与え、課題のTEが進歩すればWCも稼動する。B・サンダーズ以来の大物といわれるRBジョーンズが開花すれば、スキルポジションはBプラス。ペイトリオッツからFAで移動したCウッディが若いが堅実な攻撃ラインのリーダーとなる。
  守備は中央のDT2人、ロジャーズとウィルキンソンが中心。LBは中の下。DBで1人プレイメーカーとして光るCBブライだが、FAでジャガーズから獲得したブライアントが同様の働きをすれば、守備はぐっと安定する。Kハンセンは通算80・7%のFG成功率、キックオフも安定して、ボールコントロールの陰のエースである。
 

NFC

カロライナ・パンサーズ
(9勝7敗、03年11勝5敗)
  奇跡的な大躍進で、スーパーボウル初優勝まで3点と迫ってから、7ヶ月。パンサーズは追われる立場に立った。
しかし「新たなるスタート、昨年と今年はまったく別のもの。精神的にみても、去年と今年はまったく違う」、J・フォックスHCはシーズンイン直前に、こう宣言して、ゼロからの出発を強調した。
  5人のスターターが去ったが、フォックスはメンタルなチャレンジに意欲を燃やしている。彼はジャイアンツのアシスタント時代に、第35回スーパーボウルに出場、翌年はプレイオフ出場を逸した経験がある。王者を襲うスーパーボウル病、高待遇を求めチームが崩壊する傾向へ対策を打った。オフに新勢力を追わずに、まず現有のベテランの維持につとめたのは、FAでなくドラフトでチームの核を育てる、これまでの方針を堅持が、スーパーにつながる道であることを、彼は確信しているからだろう。

   RBスティーヴン・デイヴィズの確実なラッシュがQBデロウムからWRスミスへのパスを生かし、堅実な守備で要所での失点を防ぐ、それがパンサーズの、OCヘニングの勝利パターン。プレイオフではより緻密な分析が加わり、安定した戦力に強靭な精神力がバックアップした。
  守備DCトゥーゴヴァックの哲学もシンプル、ラッシュをストップしてフロント7でつねにQBに圧力をかける。
  QBデロウムは昨季8回の逆転を演じ、危機での的確冷静な判断力を発揮したが、今年のテーマはシーズンを通じた安定性、成功率の向上。小柄だが出色のスピードを持つスミスに加えもう一人エースWRが欲しい。9年目のムハマドは衰えを感じるし、エンドゾーンや第3ダウンでは強いプロウルも15年目、全ダウン出場の体力はない。
ラッシュ318回、1444ヤード、8TDラン、すべてのチーム記録を塗り替えたデイヴィズを支える攻撃ラインだが、今期は全面改修の年になる。
 

売り物の守備は安定、サイズと機動性も持つTジェンキンズ、鋭いパスラッシュDEペパーズ、ラッカーの守備ラインはAクラス。スピードが特色のLBの軸はMLBモーガン、ホジキン病からフィールズが復帰すれば厚みが出る。FAでCBハワード、FSグラントが去ったDBも再建の年である。スーパーの場外キックオフで非難を浴びたが、Kケイシーはリーグトップ級。Pサウワーブラムもベストパンターの1人。スミスのリターンも?有力な武器のひとつである。

アトランタ・ファルコンズ
(8勝8敗、03年5勝11敗)
  天才QBマイケル・ヴィックの負傷ですべてを失った昨年。
  再建の今年、ヴィックを全面に押し出した新計画に取り組む。推進するのは、シーズン中途で辞職したリーヴィーの後任、49ナーズのDCだった42歳のジム・モーラ・ジュニアHCと昨シーズン中途でバッカニアーズから移ったリッチ・マッケイGM。2人は負け癖のついたチームに意欲を回復させる第一ステップに取り組んだ。ヴィックとコンビを組むエースWRの獲得である。

  ドラフト1位指名で大きく強く速いジェンキンズ(オハイオ州立大)、そしてベアーズのホワイトをFAで獲得した。昨年獲得したSBプライス、高さのフィネランそれにチーム一確実なキャッチ力を持つTEクランプラーとあわせて素材は揃った。OCナップはWC攻撃を導入、NFLきっての強肩、脚力を持つヴィックがロールしてランパスをオプションする戦術が主力となるが、彼にとっての課題はセットアップとパスタッチ。RBは負傷から復帰するダン、ダケットの2セットバック体型となる予定。課題が残る攻撃ラインを、育成には定評のあるアシスタントHCギブズが担当する。
  守備はモーラHCの得意分野。DEカーニー、DTコウルマンのラッシュコンビに期待する守備ライン。モーラが最も重視するWLBに判断力とスピードを持つ生え抜きブルッキングがいて、モーラが49ナーズからつれてきたマキシーDBコーチが、SSスコットと新人FSホールを中心にDB陣を再構築中だ。
  Pモーアは安定、Kフィーリィは不安定、ただし、大学時代5リターンTDを記録した新人ホールのリターンには期待出来る。
  ニューオーリンズ・セインツ
(8勝8敗、03年8勝8敗)
  最近、最も期待を裏切ってきたチーム。
攻撃の要所には、プレイメーカー、素質と若さに恵まれた守備ライン、尊敬されるコーチングスタッフが揃いながら、低調な成績を重ねてきた。4年前、ジム・ハズレットHCは、NFC西地区優勝そして初のプレイオフ勝利をあげ、マルディグラ祭でバーボンストリートをフロートで行進した。次のステップは、しかし、7勝、9勝、8勝、プレイオフは遠ざかった。
  原因は、メンタル。
昨年、チームはリーグ最多のファンブルロスト20回、そのほとんどが自陣または敵陣レッドゾーンで起こった。ドライブを止める決定的場面での反則(103回)、とくにプレスナップの反則が多かった。最終8試合(5勝3敗)の状態を維持出来れば問題なしとハズレットはいうが、集中力の欠如が課題なのは間違いない。
    11位だった攻撃はOCマカーシーの修正WC攻撃。パワーラン、ワンバック、ファイブレシーバーを増加する。しかし、ハズレットのプレイコールは保守的すぎ、4年前の積極性に欠ける。DCヴェンチュリはブリッツなど積極守備を好むが、選手のスピード不足で墓穴を掘ることが多かった。
  メンタルの向上を目的に、新チーム規律を導入、プロとしての環境整備―練習後のロッカーでのゲーム禁止、食堂のTVをゲーム放映専用にするなどの細部の積み重ねも開始した。 攻撃の主役であるQBアーロン・ブルックスは自己最高の59・1%、被インターセプト2・1%とパス数字では進境したが、リーグ最悪11ファンブルロストで相殺された。すべて、ヒットなしに単純ミス。強肩、快足が生かせない。RBマカリスターはリーグトップ級のパーフェクトバック。自己最高の1641ヤードを走った。パワーバックのサイズと守備を抜き去るスピードの稀有なコンビネーションがある。レシーブ陣はNFLで最も才能に恵まれたグループだが、安定性と規律に不満が残る。
 

エースWRホーンは78捕球、10TDと記録は合格だが、決定的場面でのパスドロップ、意欲のないブロッキングがチームモラルをダウンさせた。負傷に悩んだストルワースが復活、ペイソン、マイケル、新人ヘンダーソンと層は厚い。Cに移動したベントリーを筆頭に攻撃ラインは平均点。
  ドラフト1巡指名を3人並べた守備ラインは、他チームがうらやむが、DEハワードをはじめ今一歩伸び悩み。期待したFSテバッキー・ジョーンズ(パッツから獲得)に基礎技術の未熟が目立ち、中核のないDB、地味だが堅実なCBトーマスが代役を勤める。
  タレント十分、態度と成熟が課題。解決すれば、ワイルドカードは期待できる。

タンパベイ・バッカニアーズ
(8勝8敗、03年7勝9敗)
  スーパーボウルから急転直下、負け越しへ。バッカニアーズも近年のスーパーボウルシンドロームに巻き込まれた。
  表面的には負傷続出がその主因に見えたが、オフに明白になったのが、とくに攻撃で目立った、タレント不足。キッキングを含めた、決定力不足。

    さらに、深層を読むと、03年スーパー優勝は過去(前ダンジーHC)の遺産である守備がもたらしたもの。ジョン・グルーデンHCは自身の育てた、つまり得意分野である攻撃が主導で、2度目の優勝を狙いたかったのだろう。
  意見があわないマッケイを解雇し、新たにアレンをGMに迎え、15人以上を放出、4人のスターター候補を含む20人以上の選手を獲得した。選手が入れ替わり、今年のチームはまさしくグルーデンのチームとなった。だが、まだスタート直後である。
  攻撃は、グルーデンは否定するが、まさしくWC攻撃の典型。グルーデンの指導で開花したベテラン(36歳を迎える)QBジョンソンがスターター、動きはないが、守備を読む力、水平スキームで密着カバーされるターゲットに投げ込み緻密な制球力がある。オフに獲得したグリーシーが控。ピットマンに、レイダーズから獲得した(グルーデンの信頼厚い)ガーナーが加わり、RBの層は厚くなった。

 

  WCを知り尽くしたガーナーだが膝負傷からの回復が鍵となる。カウボーイズからトレードで得た快足のギャロウエイ(32歳)、ルートが上手いマッカーデル(34歳)、負傷上がりのジュレヴィシャス(30歳)に、サイズと捕球力を持つ1位指名のクレイトンとWRは充実。Cウエイド中心の攻撃ラインは高齢揃いで、オーバーホールが必要だろう。  タレントから見ると、まだまだキフィンDCが指導する守備がチームの原動力。DEシミオン・ライス(15サック)、スパイアーズ、サップの穴を埋めるDTマクファーランド、WLBブルックス、CBケリー、バーバーと並ぶと壮観。
低調だったキッキングで失った試合も少なくない。股関節手術の後遺症で不調だったKグラマティカの復調が最優先か。
もし、攻撃がチームをリードできれば、地区優勝、選手権試合も可能になる。依然として守備主導なら、再び勝率50%で、再建は05年に持ちこしとなる。