タイタンズ快進撃

2008年第7週速報

 

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2008年10月発売号より転載)

 

 もし、11月上旬にスーパーボウルがあれば、タイタンズ対ジャイアンツの対戦だろう。

NFL波乱万丈

 大勝のあとの完敗、惜敗の翌週が完勝、とカレッジ以上の波乱万丈が進むNFL序盤戦。チーム間に絶対的な力の差がなくなり、勝敗を左右するのは、ゲームプランはもちろん、試合状況の判断力、それに応じた戦術選択の適否になった。第3週、ドルフィンズのRBへのダイレクトスナップに翻弄されたペイトリオッツが、次の49ナース戦では消化した同じプレーでTDを上げ、一方、その翌週にチャージャースはなんの対策もなくドルフィンズに同じプレーで大敗を喫した。

 加えて、感情を制御しきれない反則、メンタルに起因するターンオーバー、微妙な風と緩い地表に悩むキッキングと、まるでサスペンスドラマを支配するような集中と予知能力が欠かせない。カレッジとNFLのコーチ交流が日常になり、些細な積み重ねで一気に大勝を呼び込む、緻密なやりとりがNFLでも普及したことの影響も無視できないだろう。全勝はタイタンズ1チーム、こんなに面白くて、いいのか、NFL。

ペイトリオッツ奇跡の復活は?

 まず、スーパーボウル出場へ推薦したチームをフォローしておこう。

 AFC優勝を予想したペイトリオッツ(東)は、第1週に大黒柱のQBブレイディが僅か11回のパスで左膝負傷して今季絶望となったが、第7週終了で4勝2敗、地区2位となんとか戦線に留まっている。勝負所を見抜き、一気にモメンタムをつかむベリチックコーチの采配で辛勝を重ね、第6週、好調のブロンコス戦との対戦では、前半のブロンコス攻撃(リーグ4位、第7週終了時点=以下同じ)を137ヤード、0失点と完封して、41−7の大勝に結びつけた。批判があったドラフト1位LBメイヨはチームタックル1位と、すでにチームの核となった。新スタートQBカッセルは通算25被サックと集中砲火を浴びているが、パスレートを86・8(22位)まで上げて、WRモス、ウエルカーの有効利用まであと一歩。左肩負傷でRBマロニーが抜けた穴は中堅のモーリスが補ったが、7週にSハリソンが右大腿四頭筋を傷め今季(または今後)の出場は難しい。一難去ってまた一難、投、走、守の中心3人を失ったパッツがいかに正念場を乗りきるか。じつはその必死の対応を見るのが楽しみというのが、私の本音である。

暗雲がどこへ

 NFC優勝を予想したカウボーイズ(東、攻撃3位、守備16位)は、6週、7週と調子をあげて来たNFC西勢に連敗して4勝3敗。カージナルス(攻撃6位)に攻め合いで負け、翌週はラムズ(成績不振で6週にハズレットが新コーチに就任)に攻撃が抑えられた。エースQBロモが6週に右手小指骨折、7週は40歳のB・ジョンソンが先発した影響が大きい。SのR・ウイリアムズも右前腕骨折で今季が終了、優勝争い本番の中盤に向け、暗雲が出てきた。

 AFC大穴に推薦したジャガーズ(南)は、主力OL3人抜けで連敗スタートとなったが、以後OL補強もなんとか形になり、コルツに逆転勝を含む3勝1敗で、なんとか勝負強さで地区2位(タイ)に這い上がって来た。11月23日のタイタンズ戦がプレーオフ復活への第一関門になる。

忘れてないぞ、タイタンズ!

 しかし、序盤のNFLの主役は、タイタンズ(AFC南)だった。チーム史上初の開幕6連勝(前年終盤からはレギュラーシーズン9連勝)、現役コーチとしては同一チーム最長14年目を迎えた、ジェフ・フィッシャーの傑作チームが出来上がって来た。攻撃21位、守備3位と、原動力はディフェンス、フィシャー仕込みのDB陣がその象徴である。

 チームのタックル1位から5位まで、LCBハーパー以下ずらりDB5人が並ぶ。しかも3位RCBフィネガンと4位FSグリフィンはインターセプト4でリーグ個人1位(タイ)に並んでいる。チーム合計でも10はリーグ3位(タイ)。チームターンオーの+6もリーグ1位(タイ)。チーム合計18サックもリーグ6位(タイ)で、へインズワースの6サックはリーグ1位である。

 しかも、攻撃も躍進した昨年から一転、新装の上戦力をアップ中である。攻撃の核は売り出し中だったQBヤングから、ベテラン14年目のコリンズへ、しかもチーム合計被サック僅か2は断トツ1位である。エースRBは1000ヤードラッシュのホワイトを抜いた新人クリス・ジョンソンが平均5・3ヤードと驚異の快足を連発している。ホワイトも突出した8TD。シャープなジョンソンで進み、タフなホワイトで仕上げをして、米国メディアは2人をサンダー&ライトニング(雷と稲妻)コンビと連呼する。それにしてもジョンソンの速さは尋常ではない。高速リニアカーの加速だ。NFLコンバインでは史上最高の40ヤード4秒24を記録した。

 18年前、WRダイソンの手が1ヤード届かず、ラムズに惜敗した第34回(2000年)スーパーボウル時のタイタンズは忘れられない。あの時も、今年と同じように、原動力は激しい守備(TOマージン+18)だった。QBマクネア、RBエディ・ジョージ、TEワイチェック、タイタンズの魂といわれたSSビショップと男気が溢れ、そして、今年チームに戻ったREカースが注目を浴びていた。

 今年のタイタンズは日程にも恵まれた。これまでに難敵はなく、9週以降鍵となるのは宿敵コルツとの2試合、ジャガーズ戦だろう。

AFC最激戦区

 そのタイタンズがいる南地区は、AFC切っての激戦区といわれる。昨シーズンは地区合計で42勝をあげ、コルツ、ジャガーズ、タイタンズの3チームがプレーオフに出場した。今季も7週6試合終了で14勝10敗とAFC最多勝。タイタンズ、ジャガーズに続き、QBペイトン・マニングの術後の復活が遅れているコルツが3勝、序盤の厳しい日程にリズムを失ったテキサンズが2勝。

 しかし、同じく現在14勝10敗と今季急上昇したのが、ビルズがトップにいる東地区。どちらがAFCで最も魅力的なのだろう。

 東が注目を集めたのは、昨季負け越し3チームの復活から。昨年7勝から、早くも5勝1敗で首位のビルズは、エール大出身の明晰なジャローン・コーチの要所を抑える守備が主導、楽な日程にも恵まれた。先発に定着したQBエドワーズへの信頼感がチームに落ち着きを与えた。昨年4勝から、現在3勝のジェッツには、開幕直前の引退撤回で移籍して来た39歳のQBファーブがいる。カージナルズ戦で6TDを投げたあとの2試合は1TD、4インターセプトと大波小波はパッカーズ時代と同じだが、疲労による負傷がコワい。昨年1勝のドルフィンズはRBブラウンへのダイレクトスナップで2勝をあげ、QBぺニントンも調子を上げて来たが(97・4)、まだ深い曇り空だ。

 NFCでも、東と南が最激戦地区。東は前号ご紹介したように、ジャイアンツ、カウボーイズ、イーグルスに加え、レッドスキンズが絶好調。ゾーン・コーチの好指導でQBキャンベルがウエストコースト攻撃を仕上げ、被インターセプト零で、878ヤードでリーグ1位にRBポーティスと共に5連勝をリードしている。安定した守備もあり、カウボーイズを抜いた。南も大混戦だが、バッカニアーズ対パンサーズの強力守備対決で決着が着きそうだ。NFC激戦区は次号で詳細に見てみたい。

 

NFL地区別順位(10月21日、第7週終了時点)

AFC

東部                       勝 負 分

バファロー・ビルズ               5−1−0

ニューイングランド・ペイトリオッツ      4−2−0

ニューヨーク・ジェッツ             3−3−0

マイアミ・ドルフィンズ             2−4−0

 

北部

ピッツバーグ・スティーラーズ        5−1−0

ボルティモア・レイブンズ           3−3−0

クリーヴランド・ブラウンズ          2−4−0

シンシナティ・ベンガルズ           0−7−0

 

南部

テネシー・タイタンズ              6−0−0

ジャクソンヴィル・ジャガーズ         3−3−0

インディアナポリス・コルツ          3−3−0

ヒューストン・テキサンズ           2−4−0

 

西部

デンバー・ブロンコス              4−3−0

サンディエゴ・チャージャーズ        3−4−0

オークランド・レイダース            2−4−0

カンザスシティ・チーフス           1−5−0

 

NFC

東部

ニューヨーク・ジャイアンツ          5−1−0

ワシントン・レッドスキンズ           5−2−0

ダラス・カウボーイズ              4−3−0

フィラデルフィア・イーグルス         3−3−0

 

北部

シカゴ・ベアーズ                4−3−0

グリーンベイ・パッカーズ           4−3−0

ミネソタ・ヴァイキングス            3−4−0

デトロイト・ライオンズ             0−6−0

 

南部

タンパベイ・バッカニアーズ          5−2−0

カロライナ・パンサーズ             5−2−0

アトランタ・ファルコンズ             4−2−0

ニューオーリンズ・セインツ          3−4−0

 

西部

アリゾナ・カーディナルス           4−2−0

セントルイス・ラムズ              2−4−0

サンフランシスコ・49ers            2−5−0

シアトル・シーホークス             1−5−0

 

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