NFCの反攻!

ブレイディ負傷で次代の扉が開くのか=2008第3週速報

 

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2008年9月発売号より転載)

 もし今スーパーボウルがあるとしたら、ブロンコス対カウボーイズとなるだろう。

総崩れAFC

 とんでもない、序盤戦となった。予期せぬ『チェンジ』の連発である。開幕前のリーグの優勝候補、とくに実力的に優位と見たAFCの有力チームが次々と敗れた。このままいくと、主役は完全にNFC、それもNFC東地区に絞られることになる。

 衝撃は、第1週、スーパーボウル優勝の最右翼とみたペイトリオッツ(AFC東)の中心であるQBトム・ブレイディの負傷だった。僅か2シリーズ目にサックを受け、左膝の靭帯断裂で退場、今季の出場は絶望と報じられた。実力人気共にNFLを象徴する存在で、1人の選手の欠場で、大きくリーグの戦力分布が変わった。米国マスコミは、ゴルフのウッズ、水泳のフェルプスの離脱以上の事故と書きたてた。4年目だがほとんど出場機会のなかったマット・カッセルが代役となった。

 パッツのことを続ければ、私自身はまだ優勝候補の一つと思っている。ブレイディの登場も一軍のブレッドソーの負傷で無名の彼が起用されたのが出発点だった。攻撃コーディネーターのマクダニエルズの出色の戦術指導もある。今のところ無難なだけのカッセルだが、ステップアップは十分に期待できる。ベルチック・コーチのチーム創りは、底が深い。あらゆる状況を設定して危機管理をしているはずだ。チームカラーを変えても、現有能力でプレーオフ出場に持ち込むだろう。第3週に、全敗のドルフィンズに13対38と思わぬ大敗して、レギュラーシーズンの連勝が21で止まった。連勝前の敗戦もドルフィンズだった。ドルフィンズのヘニングス攻撃コーディネーターが、奇策として、昨年アーカンソー大が展開してカレッジでは話題となったランニングバックへのダイレクトスナップを展開、それが5つのTDに直結した、いわばフロック負け。攻撃再建に集中していただろうベルチックにとっては、不愉快な敗戦だろうが、これで闘志に火がつくだろう。第4週にバイがあるのも幸運だった。さらに、ブレイディ負傷直後に手配したベテランQBの補充入団を結局中止したのは、ブレイディの負傷状況が伝わるよりシリアスでないことも考えられる(これ、希望的な観測です)。

 期待したチャージャース、コルツ、そしてジャガーズも崩れた。

 今年こそと意気込んだチャージャース(AFC西)は、パンサーズに2点差、ブロンコスに1点差と連敗、現在1勝2敗。終盤の競り合いにもろいのは、CBフローレンスを放出によるニッケルバック不在、そして守備の要だったLBメリマンが膝負傷で今季欠場となったのが大きい。ただし、QBリバースはレーティング1位。

 コルツ(AFC南)はラン守備がガタガタ。3試合連続して100ヤードラッシャーを許して、1勝2敗。SSサンダーズが足首で負傷欠場となったので、対応がさらに難しい。攻撃も名手QBペイトン・マニングが稀にみる不調、パッサーレイティングも23位(73・1)、3TD、成功率59・2%、被インターセプト4と淋しい。チームの平均得点17・3、失点22・3に並み以下。

 私が期待したジャガーズ(AFC南)は、開幕戦でCに加えスタートG2人が負傷、生命線であるラン攻撃に壊滅的な損害を受けた。それでもテイラー、ジョーンズドリューの義兄弟コンビが入魂の走りを見せ、3週でコルツに逆転勝して、1勝2敗。

急台頭AFC

 序盤で予想を上回る強さを発揮したチームもいる。まずAFC東1位にいるビルズ、パッツ以外が地区首位にいるのは05年4週以来だから、価値がある。4点差以内の辛勝だが3連勝で、しかも2、3週は4Qでの逆転、チームに勢いがある。スタートQBを堅持したトレント・エドワードのリーダーシップが安定してきた。2年目のRBリンチも好調を維持している。平均得点26・3点(9位)、失点16・3点(6位)は文句がない。

 AFC北で無敗なのが、レイブンズ。攻撃が向上しなければ期待出来ないと失礼を書いてしまったが、LBレイ・ルイス、Sエド・リードなど衰えないベテランの激しい守備で、平均失点10点。リーグ1位の平均損失距離161・5ヤードは2位のスチーラースを72・5ヤード離した、ダントツの成績。第2週の対テキサンズ戦が台風マイクの直撃を受けて延期され、現在2勝0敗。バイ・ウィークに試合して試合数を合わせる。

 AFC南で1位に躍り出たのは、守備力のタイタンズ。フィッシャー・コーチの傑作DB陣が活躍して、CBフィネガンは4インーセプトでリーグ1位。Sグリフィンも4回で2位。平均失点9・7はリーグ1位。QBヤングが第1週に左膝負傷、ベテラン14年目のコリンズがチームに落ち着きを与えた。

 AFC西で3連勝のブロンコスは、正念場といわれたシャナハン・コーチが強気むき出しで攻めまくっている。得点1位、攻撃2位。攻撃の核は、往年のラッシュでなく、QBジェイ・カトラーのパス攻撃。レーティング3位の彼から、超一流の雰囲気が漂ってきたWRブランドン・マーシャルへのコンビが確立した。ただし、失点28位、守備30位では、プレーオフでの課題は残っている。

安定NFC

 3週終了時点で、全勝はAFCが4チーム、NFCは2チーム。

 NFCは、予想通りに東地区のチームが実力を上げ、レッドスキンズが好チームに仕上がったために、(可能なら)全4チームがプレーオフに出場しそうな勢いだ。

 カウボーイズは、試合中盤まで苦戦しながらも、終盤に地力で突き放す安定した展開で3連勝。QBトニー・ロモのメンタル面の向上は確認できないが、67・4%の成功率に押されてレーティング103・2はリーグ3位。主力のRBマリオン・バーバー、WRテレル・オーエンスも十分に信頼に応え、オーエンスが徹底マークされた第3週のパッカーズ戦では、TEジェイソン・ウィッテンに次ぐ第3レシーバーとしてWRマイルズ・オースチンが台頭、新人RBのフェリックス・ジョーンズも効果的な起用に応えて快走を連発するなど、スーパーへの底上げは順調のようだ。

 同じく3連勝のジャイアンツは、攻撃3位、守備6位と絶好の攻守バランスで、淡々とスーパー連続出場を狙う。RBブランドン・ジェーコブス、WRプラシスコ・バレスと戦力はスーパーボウル優勝時と変わらない。大きな変化は、QBイーライ・マニングのパス力、リーダーシップ。3試合で僅か1インターセプト、被サック4、成功率は60・7%とプロ初を記録中。現在のところ、数字だけは兄貴ペイトンを越えている。不安だった守備も、チームサック数13は1位、DEストレイハンの抜けた穴は完全にカバーした。DTフレッド・ロビンスが4サックでリーグ1位タイ、DEに回ったジェスティン・タックも3サックで続いている。

 2勝1敗でレッドスキンズと並んでいるが、イーグルスの安定した戦力も無視できない。攻撃4位、守備6位、QBドノバン・マクナブが復活して、安定したレーティング102・8、ラン・レシーブと無敵の活躍をするRBウエストブルックに加え、新人WRデショーン・ジャクソンが加入したのが大きい。

 ブレット・ファーブの移籍したジェッツ(AFC東)は緒戦快勝したが、以後2連敗。ファーブは伸び伸びと動き、6TD、3被インターセプトのレーティング96・7と絶好調時の動きである。第3週で256試合連続スタートを記録した。左足首の負傷があるが、次週も先発スタートが予想される。彼が抜けたパッカーズ(NFC北)も、マッカーシー・コーチの好指導で、2勝1敗と順調な出足。スタートQBとなったアーロン・ロジャースはウエストコースト攻撃を無難にこなし、レーティング102・9とリーグ7位。物足りなさも残るが、若手QB台頭の9月、その象徴となった。

 

NFLランキング(第3週終了時点)

AFC

東部                   勝 負 分

バッファロー・ビルズ           3−0−0

ニューイングランド・ペイトリオッツ   2−1−0

ニューヨーク・ジェッツ          1−2−0

マイアミ・ドルフィンズ           1−2−0

 

北部

ボルティモア・レイヴンズ        2−0−0

ピッツバーグ・スティーラーズ     2−1−0

シンシナティ・ベンガルズ         0−3−0

クリーヴランド・ブラウンズ       0−3−0

 

南部

テネシー・タイタンズ          3−0−0

ジャクソンヴィル・ジャガーズ     1−2−0

インディアナポリス・コルツ       1−2−0

ヒューストン・テキサンズ        0−2−0

 

西部

デンバー・ブロンコス          3−0−0

オークランド・レイダース        1−2−0

サンディエゴ・チャージャーズ     1−2−0

カンザスシティ・チーフス        0−3−0

 

NFC

東部

ダラス・カウボーイズ           3−0−0

ニューヨーク・ジャイアンツ       3−0−0

ワシントン・レッドスキンズ        2−1−0

フィラデルフィア・イーグルス      2−1−0

 

北部

グリーンベイ・パッカーズ        2−1−0

ミネソタ・ヴァイキングス         1−2−0

シカゴ・ベアーズ             1−2−0

デトロイト・ライオンズ           0−3−0

 

南部

タンパベイ・バッカニアーズ       2−1−0

カロライナ・パンサーズ          2−1−0

アトランタ・ファルコンズ         2−1−0

ニューオーリンズ・セインツ       1−2−0

 

西部

アリゾナ・カーディナルズ        2−1−0

サンフランシスコ・49ers        2−1−0

シアトル・シーホークス         1−2−0

セントルイス・ラムズ           0−3−0

 

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