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THE GAME OF THE DECADE
見逃すな、時代の頂点!

NE@IND

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2007年10月発売号より転載)

 11月4日(日)のRCAドームで、現代フットボール最高峰の試合が行われる。ニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC東)対インディアナポリス・コルツ(AFC南)の全勝対決、というより、図抜けたレベルの二強が最高の状態で、21世紀の最初の10年の頂点を争う、理想のゲームとして語り継ぎたい。開幕前から独走が予想された両チームだが、想定以上に素晴らしい仕上がりで、照準はスーパーボウル2ヶ月前の、この週にあわせていた。

優勝リバウンドなし、死角なしコルツ
 連覇を狙うコルツは、唯一の弱点といわれたラン守備を格段に進歩させた。昨年は負傷勝ちだったSFボブ・サンダースが核として健在で、守備は昨年度21位から大幅アップして3位、最下位32位だった対ラッシュは14位まで向上した。オフに両スタートCBを放出したがラッシュ対策からで、新スタートCBヘイデンはチームのリーディングタックラーになっている。18位と並だったラッシュ攻撃も、RBアダイのパワーアップと共に、6位と大幅アップした。コルツは夏キャンプで膨大な時間をラッシュ攻撃に割いた。攻撃時間のコントロールのためと、もう一つは、弱体だった守備の出場時間を減少させるためだった。ちなみに、攻撃時間は昨年の29分32秒から31分36秒と約2分も増えている。去年からのタレント上乗せ分は、ドラフト1位のWRゴンザレス(OSU)と2位のLTユーゴ(アーカンソー大)。ゴンザレスはチーム4番目のレシーブを記録、ユーゴは第1試合からスタート、ブラインドサイドを守りQBサックは僅か5回しか許していない。
  スーパーボウルMVPの天才QBペイトン・マニングといえば、落ち着き払っている。68・3%、11TD、3インターセプト、パッサーレーティング103・5と一流。見た目からはオーディブル回数は半減した。脚負傷したハリソンの記録が伸びていないが、ウエインがリーダーのWR陣、決定的な役割を演じているのはTEダラス・クラークだ。30回の捕球だが6TD、第6週のブロンコス戦ではハリソン退場のあと、WRポジションに入り、3人がかりのカバーを破って2TDをあげた。
 マニングのフル稼働を隠して、得点3位(32・2点)、攻撃3位(399・7ヤード)、失点6位(15・8点)、守備3位(269・5ヤード)、死角はない。

 ペイトリオッツも、負けずに凄い。得点1位(39・9点)、攻撃1位(432.9ヤード)、失点10位(17・1点)、守備4位(274・9ヤード)。レシーブ記録リーグ1位のWRモス、切れ味抜群のWRウエルカー、スピードWRストルワース、チームのタックルリーダーであるLBトーマスと、新加入のタレントが生き生きと全力発揮。モンタナを越える平静さを持つQBブレイディは、73・8%、27TD、レイティング137・9と、しびれるようなリーダーシップを発揮している。
 
 コルツのダンジー、パッツのベルチック、名将2人は、この対決になにを賭けるのだろう。鍵をにぎるのは、意図が明確に出にくいキッキング、そしてターンオーバー、反則。
 第7週までで、コルツは8インターセプト、11ファンブルリカバー、12サック。パッツは10インターセプト、6ファンブルリカバー、19サック。昨年の対決では、コルツがブレイディから4インターセプトを奪い、27対20でこの対戦に2連勝した。

序盤に頑張ったチーム

ファーブ万歳!グリーンベイ
 序盤の話題を一人占めにした、38歳のQBブレット・ファーブ。通算TDパス記録はダン・マリーノ(前マイアミ)の420を抜き、現在423と史上最高となった。マリーノのもう一つの記録、通算パス獲得距離61、361ヤードまであと2146ヤード、残り10試合もあるので、新記録樹立は間違いない。チームもファーブを正面に押し立てて、攻撃はパス1本に絞込み、パス攻撃はリーグ第3位、代償としてラン攻撃は最下位だが、気にしない。チームが堅く結束して、6勝1敗と北地区のトップを走っている。「若者を越える熱い情熱と、17年間のプロ経験を生かす的確な判断、衰えない強肩がファーブの魅力」(マカシー・ヘッドコーチ)だが、両手を突き上げて全速力で祝福に走り寄るファーブを見れば、俺だってやる気が出る。

笑顔のカウボーイズ
 規律重視のパーセルズから自主性尊重のウエイド・フィリップスへ、ヘッドコーチの交代で、カウボーイズがぐんと活性化した。第7週で6勝1敗、ペイトリオッツに喫した1敗のみである。パーセルズが築いた基礎=実力を、フィリップスがフルに発揮させた。その魔法はシンプルである。ケメストリー、つまりチームの融合である。
 一体感を養成するために、彼はロッカールームの改革を行った。従来は、NFLのどのチームにも共通する方式だが、ロッカーはポジションごとに固めて並べてあった。QBはQBで隣り合わせ、DLはDLの横にならべるといったやり方だ。それを、全ポジションを無差別にミックスした。これで選手間の交流と互いへの理解が生れた。選手の家族をロッカールームに招待して、家族の理解を深め、家族ぐるみがチームとなった。ちなみに、J・ジョーンズ・オーナーも家族をスタッフに起用、フィリップスの息子もコーチの一人だし、ギャレットのように兄弟コーチもいる。ファミリーがカウボーイズのキーワードとなった。
 フィリップスの、本拠テキサスへの思い入れも選手に伝わった。父親のバムはヒューストン・オイラースのヘッドだったし、当然、ウエイド自身の故郷でもある。
 サイドラインの選手の笑顔には理由がある。

34歳のスティラース
  16年間ミスター・スティーラースとして君臨したカウワーが引退して、わずか34歳でヘッドコーチの指名をうけたマイク・トムリンだが、本物である。 「マイクは若手のように私を立ててくれるが、仕事は出来るよ」とルーニー・オーナー。第7週にはブロンコスに最終プレーでFGを許し28対31で惜敗したが、この時点で、4勝2敗。AFC中部のトップにいる。
ヘッドコーチ経験なし、ヴァイキングスで1年間だけDC(守備コーディネーター)を勤めたあと、ベテラン選手揃い、AFCの名門ピッツバーグ・スティーラース復活の大役を担った。ルーニー氏は、守備に優れ、長期的な視野で取り組める、意欲ある若手を起用してきたが、トムリンは最適な人材だった。
 原動力の守備は、1試合当り250ヤードしか許さず、リーグ第1位。1試合当り僅か13点しか許していない。DCのディック・ラボーは、ゾーンブリッツの生みの親で、SFポラマールを生かす、変化に富んだ守備体型、多彩なブリッツを展開した。基本は34体型だが、時には4ダウンラインマン、時には6人DBを起用する。11テイクアウエーで、つねに攻撃に好機を作る攻撃的な守備だ。DEキーセルは「動き回ったり、OLを混乱させたり、いろいろやっているよ。でも、まだ試合では出さない守備パッケージもあるので、これからもっと強くなるぜ」。
(記録はすべて7週終了時点)

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