NFL2004年チーム(見所)楽書

2004年10月15日
 
AFC東地区

ニューイングランド・ペイトリオッツ
(12勝4敗、03年14勝2敗)
  現代NFLの看板チーム。2年連続、3度目のスーパーボウル優勝を狙う。
  サラリーキャップ制による乱世を楽しむような、緻密なチーム戦略とゲーム戦術があり、総合力で死角なし。計算づくの僅差勝利を重ね、ポストシーズンを極寒の本拠で開催、地の利で勝ち抜きスーパーボウル出場といった覇者へのプログラムを完成させた。
  絶頂期の80年代のフォーティナイナーズ(49ナーズ)の再来と表現しても良いだろう。傑出したコーチ、出色のQB、若く厚い選手層、優秀な人事陣、そしてそのトップに理解あるオーナーがいる。
  経営基盤を確立したR・クラフト・オーナーは、頂点に立っても改革への学習を怠らないという。最高のゲームプランナーでタクティシャンの定評があるB・ベリチック・ヘッ

  ドコーチ(52歳)は、時代への鋭い洞察力もある。選手には個人的な感情を超えた絶大な信頼感があるようだ。具体的な人事担当は、ベリチックがブラウンズのヘッド時代に発掘し、以後彼の右腕として行動を共にするS・ピオリが担当する。
 コーチングスタッフは、有名を揃えたチーフス、レッドスキンズの評価が高いが、ベリチック、攻撃コーディネーター(OC)のC・ワイズ、守備コーディネーター(DC)のクレネール、スペシャルのシーリーと揃えたパッツ・スタッフの実力は文句なくリーグ一だ。(今シーズン終了後、ワイズとクレネールは新ヘッドに引き抜かれるのは、間違いない。トリオ指導のラストチャンスだ)。
  フィールドでは、スーパーボウルMVP2度受賞で、決定的シーンでの冷静かつ大胆な実行力を証明した、QBのT・ブレイディ(27歳)がリーダーとなる。知的で、タフ。04年スーパーボウル第2Q残り3分強、敵陣17ヤード、サード&7
  ヤードでみせた(レッドゾーンでの貧攻の呪縛をとく)スクランブルで、私の感覚では、名手モンタナの評価に近づいた。 6点以内で決着した試合では16勝1敗というのは、ちょっと驚異だろう。周到なフィルムスタディで、ベリチック、ワイズと共に攻撃ゲームプランニングに参加する。精密なショートパス、プレイアクションは超一流、昨年は中距離パスの精度をあげた。ただし、控がNFLEL上がりの若手だけに、ブレイディの負傷は避けたい。
 パッツが革新的だったのは、『並み』のRB陣(A・スミス)で優勝してみせたことにあるが、今春のプレドラフトトレードで、(待望の)大器C・ディロンをベンガルズから獲得した。内で強く外で速い、捕球をこなしブロックも強い、次代のスターRBは間違いない。彼の加入で、戦力の大幅アップは期待出来るが、問題発生の可能性もある。パッツの革新のもう一つに、スター作りよりチーム作りという哲学がある。個人よりチーム優先の思考
  で、ゲーム定例のスターター紹介を拒否、チーム全員でまとまって入場するシーンがその象徴だった。ところが、ディロンは極端に自己主張が強いタイプ。結果がどうでるか。
  しかし、総合評価すれば、パッツの攻撃は並、Bクラスにしかすぎない。チームの真の原動力は、守備にある。DEセイモア中心のライン、ILBブルースキーが核のLB、CBロー、SSハリソンがリードするセカンダリーと一流揃い。守備の達人ベリチックは3−4守備を基本に、状況に応じて、多彩なタレントを起用、ルックス(見せかけ)を使った自在な戦術を展開する。攻める守備は、失点リーグ(最少)1位、TOD(ターンオーバー・ディファレンシャル)2位、サック6位と、現代NFLとしては満点。
 昨年は不調だったが(SB陰のMVPの)KヴィナティエリはB+評価。不安定だったパントは、コントロールのあるJ・ミラーを獲得。雪中戦、泥濘戦の多い本拠ジレットを意識して、ベリチックはリターン
  を重視する。キックのB・ジョンソンはリーグ2位。パントでは、確実な手を信頼して、今もベテランWRブラウンを起用する。
  課題を探せば、まず目視確認したいのは、イリガルコンタクトの監視を強化する新ルールが、接触で守るCBローに与える影響、フラッグが3、4は増えるかもしれない。フロントのアンカー役NTワシントンが去った穴をベアーズから補強したプロ13年目のトレイラーが埋められるか、若手WRがブラウンを超える信頼感をつくれるか、Cウッディが抜けても、プレイオフで被サック零の固いパスプロは維持できるのか。
 戦力的にみて、優勝最右翼のパッツだが、連覇を推す米国メディアは多くない。選手のタレント(才能)でなく、優れたパフォーマンスで勝ち進むメンタル(戦術・判断・心理)優先タイプのチームだけに、昨年並みの上級の充実は連続できないと判断したのだろうか。
  マイアミ・ドルフィンズ
(8勝8敗、03年10勝6敗)
  93年導入以降をサラリーキャップ時代と区画して、特別な評価をすべきだとする意見がある。公平・平等な競争下での勝利の評価を高めようとする意見だ。そのキャップ時代に、負け越しシーズンがないのはわずか2チーム、このドルフィンズとパッカーズだけである。しかし、この間のドルフィンズの話題はただそれだけ。グッドからべストへ、大きな変化が必要な今年のシーズンイン直前、事件が起こった。突然、エースRBウイリアムズが引退を発表した。薬物違反関連の捨て鉢の決断らしいが、タフで鋭い若手ボストンを獲得、チェンバースと組んだこの10年で最高のWRコンビが完成、攻撃の穴が埋まった途端に、すべてがご破算になった。残った守備は、DEジェイソン・テイラー、オガンライ、LBザック・トーマスと一流、ただし、高名なDB陣は高齢化でスピードダウン、急激な下降に入った。タレントあり、負け越し
 

なし、それでも、プレイオフ止まりの責任は、今回の混乱を含め、オーナーと親密な関係で居座るウォンステッド・へッドコーチといわざるを得ない。

ニューヨーク・ジェッツ
(7勝9敗、03年6勝10敗)
  ヘッドコーチのH・エドワーズのフットボール哲学に好感を持つが、過去3年のジェッツ指導は少し後ろに下がりすぎた感がある。前任のパーセルズが残した遺産で、最初の2年プレイオフ出場でカタチを残したが、そのつけが昨年一気に出た。
  彼なりの計算があっただろうが、QBペニントンが左手首骨折で前半6試合を欠場、すべてが下降均衡にはまった。得点23位、失点8位は、主力抜きの再建初年度では上出来だが、中の下。
  今年こそ、レイドバックから起き、ミスター・ナイスガイからバッカニアーズでみせた厳しい陣頭指揮に戻り、まず守備を大胆改革する。意思疎通を欠いたコトレルを

 

解雇、D・ヘンダーソン(レイヴンズDBコーチ)をDCに迎え、ダンジー仕込の保守的なカバー2守備からマンカバレッジ多用に方向変換する。P・ハケットOCは留任でもう1年ウエストコースト攻撃に取り組む。優れたQBコーチだが、試合では保守的すぎるハケットにもエドワーズの陣頭指導が必要だろう。ダンジーの影響だろうが、エドワーズ自身も試合当日の戦術やクロックマネジメントに無関心すぎた。
  タイタンズから迎えたマキャラインズが初のWC攻撃でも使用可ならモスとのコンビは売れる。RBマーティン(31歳)は下り坂、しかし、ペニントンには『中』の肩と『上』のタイミング、守備弱点の判断力がある。だまされてみたい、巧みなプレイアクションは、立派な一芸である。

バッファロー・ビルズ(6勝10敗、03年6勝10敗)
  リーグ最低ラインの攻撃(攻撃30位、得点30位、パス攻撃28位、

  パスTD32位)建て直しを第一目標に、スティーラーズの攻撃コーディネーターだったマイク・ムラーキーを新コーチに迎えた。アサイアソン、モンタナを育てた伝説のQBコーチ、サム・ワイチを引退から復帰させて、強肩の大型QBブレッドソーの復活を指導する。RBヘンリー、WRモウルズ、DTウイリアムズ、それにLBフレッチャー、スパイクスは一流。今オフにイーグルズからテクニシャンのCBヴィンセント(33歳)を獲得、SSミロイ(31歳)と組ませて、昨季わずか10回(リーグ31位)のインターセプトの向上も図る。
 

AFC北地区

ボルティモア・レイヴンズ
(11勝5敗、03年10勝6敗)
  今年の大注目。
  ごつごつ進み、激しく守る。言い換えれば、ボールを守る攻撃、ボールを奪う守備、 そして安定したキッキング。4年前のスーパーボウル優勝時と同じスタイル、同じ哲学。再建に3年かけて、同じ迫力が戻った。
  課題もかわらず、パッシング。昨年、新人でスタートQBに起用されたボウラー(23歳)は散々だった。エクスチェンジ、ドロップバック、コントロールとプロ以前の課題が噴出、負傷にも悩み、チームのパス攻撃はダントツの最下位。ジャイアンツにいたファッセルをQBコンサルタントに招いたが、ボウラーの進歩がそのままチームの成績に直結する。昨年リリーフ役をこなした控のライトは今春肩を負傷、代役に急遽ストゥワートを補充した。

    ブライアン・ビリックHCの哲学は、準備(明確な目的と実戦プラン)とモチベーション。スピーチも上手く、時には大物ゲストを招き、チームの一体感を作り上げる。準備も正確な評価にも基づくもので、選手の信頼はとても厚い。ただし、パスに関しては、明快すぎる。縦一本ですべて、ピックなし、わずかにスラントとクロス。こちらにファッセルの口出しがほしい(ほんとは欲しくない)。
  守備の大御所であるビリックの傘下から、4人のアシスタント(M・ルイス、J・デルリオ、M・スミス、D・ヘンダーソン)が引き抜かれ、他チームの要職にある。
  要所に核となる選手がいる。RBには、昨年の史上2位の2066ヤードを走りリーグ攻撃MVPのジャマール・ルイス(25歳)、TEには捕球ではゴンザレス(チーフス)と並ぶリーグトップのトッド・ヒープ(24歳)、強く速い史上に残るLTジョナサン・オグデン(30歳)。守備には、どのチームも避けて通る史上最強のILBレイ・ルイス(29歳)、
 

疾風のパスラッシャーOLBボウルウエア(30歳)、CBマカリスター(27歳)、バクスター(26歳)、FSリード(26歳)、Kマット・ストウヴァー(36歳)。Kはしょうがないとして、どの選手も若く、充実した年齢。ビリックの周到なチーム作りが確認できる。 ルイスの負傷と私生活に問題なれば、私にとっては、10月31日のイーグルズ戦、11月28日のペイトリオッツ戦、12月19日のコルツ戦でのレイヴンズが、シーズン全体の鍵を握っている。

シンシナティ・ベンガルズ
(8勝8敗、03年8勝8敗)
  マーヴィン・ルイスHCは、就任1年目から、期待どおりの手腕を発揮した。前年2勝から8勝へのジャンプは、ほとんど奇跡。M・ルイスはご存知のようにレイヴンズが優勝時のDC、実戦守備第一人者だったが、(マイノリティー差別と話題になるほど)HC就任の機会に恵まれなかった。ルイスはチームの組織を固め、規律とプロ

  フェッショナリズムを徹底、細部にこだわり、選手の能力すべてをフィールドで発揮させた。ラッシュを止め、パスラッシュを強調、ターンオーバーを奪う、ルイス哲学を稼動させた。
  といっても、昨年はほとんどのゲームが乱戦だった。平均得点21・6得点(13位)、平均24失点(28位)。  修羅場をリードしたのはQBキトナだったが、今年は控えに回り、攻撃は2年目のカールソン・パーマー中心に一新する。強肩、投球フォーム、ラン・パス、リーダーシップ、視野、忍耐、そして状況を察知する能力、これら一流QBの身体条件はすべて持つパーマーだが、実戦のエースになるかは未知数だ。スター選手は、昨年のAFCリーディングレシーバーのWRチャド・ジョンソン、LGスタインバック、RTアンダーソン。ディロンが抜けたRBは小型ドラム缶のルディ・ジョンソン、新人のペリーが埋める。守備には無名の好選手が多いが、ルイスHCがレイ・ルイス役を期待しているのはILBウェ
  ブスター、確かにハードヒッターだ。

ピッツバーグ・スティーラーズ
(8勝8敗、03年6勝10敗)
  常勝の座から、一気に6勝10敗へ。しかし、過去6年では4回目のプレイオフ不出場を考慮すると、さしもの名門も今年は大幅再建着手の年になる。古手大物を放出、そして24年ぶりに第1巡でQBを指名した。結局OC、DC共に入れ替わり、ワイゼンハントと往年の『ブリッツバーグ』の達人ルボウが新任した。2人が着手したのが、31位のラッシュ攻撃と11位のパス守備、20位のテイクアウエー。
  ラッシュの核に強く速いドゥース・ステイリーを獲得、Cハーティングス、LGファニーカを核に攻撃ライン再生が、今年の狙い。1位指名のQBロスリスバーガーは見習いとして、今年1年はマドックスからチームの得点源であるWRワード、バレス、エルに投げるのを研修する。
 

  ルボウは悩めるポーター、ベルのLB陣に『ゾーンブリッツ』で自信を回復、若手DB陣を育成する役割がある。エルがリターンするキッキングが、最もエキサイティングというのでは寂しい。

クリーヴランド・ブラウンズ
(4勝12敗、03年5勝11敗)
  9勝から5勝へ、上昇気配から一気に逆戻り。下降の原因は、負傷と不安定QB争い、そしてエースRBウィリアム・グリーンの私生活(アルコール)問題だった。
  JJ黄金期のカウボーイズDCだったブッチ・デイヴィズHCは、教育とモチベーションを重視する大学での指導が永い。このスタイルはベテランには敬遠されるが、新人プロや若年層には有効だ。オーナーは推すが、4年目のデイヴィズは正念場を迎えた。
若手カウチをパッカーズに放出、49ナーズからJ・ガルシアを迎え、QB問題に決着をつけた。もう一つの今年の目玉は、1位指名のTEケレン・ウインズロー。エアコリ

 

エル時代のチャージャーズ名TE のジュニアである。RACを恐れてTEをダブルカバーするプロでは珍しいシーンが見られるかもしれない。  ロビンスキーOCのラン優先戦法が再度確立できれば、ガルシアーウインズローのコンビが生きる。しかし、攻撃ラインで頼れるのはRTラッカーだけ。デイヴィズとキャンポDCの技術でカバーする守備にMLBアンドレイ・デイヴィズに続く中核が出来れば、プレイオフ再登場も可能だが。

AFC南地区

インディアナポリス・コルツ
(10勝6敗、03年12勝4敗)
  コルツ対イーグルズのスーパーボウル対決を予想する米国メディアも少なくない。
雪のフォックスボロで14対24と敗れたが、あと一歩、AFC選手権まで上り詰めた。99年QBペイトン・マニングが入団して以来、攻

  撃がリーグ12位以下にランクされたことはない。課題は守備。今年オフには、大きな戦力喪失もあった。NFL守備の、中興の祖であるT・ダンジーの真価が問われる年を迎えた。
  ダンジーは穏やかで、我慢強く、現場責任者の意思を尊重する。準備は緻密で、奥深く、彼を知る誰もが敬愛される、HCの一つの理想像だろう。
  攻撃はタレント揃い。マニング、RBジェイムズ、WRハリソン、ウェイン、TEポラード、クラークから最大の能力を引き出し、最上の状態にミックスすることで、それがOCムーアの役割である。2TEから3WRまで、自在にアライメントを使いこなす。昨年のQBマニングは成功率67%、被インターセプト10とほぼ理想だが、まだまだひたすら完全を目指し修行中。課題は負傷、そしてバックアップとのある過ぎる差。
 課題の守備。DCミークスが選手の能力の適したマンカバレッジを多用した『カバー2』で、パス守備
 

はマズマズの成績を残せた。しかし、今年は、相方だったブラツキーが衰退により解雇され、守備の要であるDEフリーニーのパスラッシュも制限されそうだ。一番の障害は20位と低いラッシング守備。オフに3人のスターターが抜けたが、トレードなどでのベテラン補充はゼロ。建て直しは手持ち若手とドラフト新人という大胆なスタンスだ。1位のSサンダーズを含めドラフト上位5人中4人が守備選手だが、ダンジーは自前調達に自信があるのか。バッカニアーズの二の舞にならぬ忍耐力が、オーナーのアイアゼイにあるのか。
  キッキングは優秀。41回連続FG成功中で、キャリア成功率87・9%のリーグ記録更新中のKヴァンダージャットは文句なし。Pには、距離より結果を求め、20ヤードライン以内に46回蹴り、タッチバックはわずか12回、頼れるハンター・スミスがいる。キックリターンには、昨季中盤まではリーグ1位(28・6ヤード)だったピアットが

 

負傷から復帰する。

テネシー・タイタンズ
(9勝7敗、03年12勝4敗)
  RBジョージ(カウボーイズ)が抜け、DEカース(イーグルズ)が抜け、TEワイチェック(引退)がいないなら、もうタイタンズと呼べないだろう、硬派なマニアならこうぼやきそうだ。
 しかし、現実。タイタンズの時計は、一気に回転を早め、午後を迎えた。過去5年間でプレイオフ出場4回、AFCのエリートチームが、一つの時代にけりをつける年。
  精神的な支柱は去ったが、得点5位、失点13位のチーム力は残った。カウワーに次ぐ長寿HCになったジェフ・フィッシャーの闘争心とリーグで最も安定したQBの一人となったS・マクネアが先頭に立つ。
  ハイマーディンガーOCは、RBブラウンには中央部のラッシュだけを託し、徹底したパス攻撃(とク

 

ラッチでのスクランブル)をマクネアに托すようだ。マキャラインズは去ったが、機敏なWRダイソン、長身のベネット、そして俊足のカリーコ、ヒルを4WRセット、キニーと第1指名(2巡)のトロープの2TEとマルチセットを使い分けるのだろう。LTホプキンスを中心とする攻撃ラインの実力はある。
  守備は記録じゃない、要所での気力だと、フィッシャーHCが最も得意とする守備の殴り合いに持ち込めば、ワンゲームワンゲームの結果がシーズンに積み重なる。OLBバロック、サーモンとCBロウル、SSウィリアムズを組ませた3−4守備からのパスラッシュ守備と、南地区に多い4ワイドチームに対応するニッケル守備が主力になるだろう。
  キッキングはアキレス腱をいためたKネドニーが復帰、コントロールの良いPヘントリックは『ナックルキック』で急降下ボールを蹴り、ミスキャッチを誘う悪魔のキッ

  クがある。リターナーには快足新人ワデルを起用する予定。

ジャクソンヴィル・ジャガーズ
(8勝8敗、03年5勝11敗)
  飛躍の年となる。
  2年目を迎えるジャック・デルリオHCは、次代を担う華がある。レイヴンズの3年間でLBルイスを最強に育て、パンサーズでDCを1年、40歳(グルーデンに次ぐ若さで)でジャックスのヘッドに抜擢された。しかし、初年度前半は任せるタイプのコーチングで落胆の2勝6敗。ここで人気LB時代の『熱情と積極性』で現場の先頭に戻り、チームが生まれ変わった。守備はローテーションでフレッシュさを保ち、ランナーに群がり引きずり倒した。激しいタイタンズを指導するフィッシャーが「やつらは汚い守備」と激高するほどの執念が育った。ラッシュ守備はリーグ2位、総合守備でも6位、攻撃もひきずられて12位。
  将来性の高い若手がいる。1位指名の、大型QBのレフトウィッチ
 

は強肩、守備の読み、冷静な判断・リーダーシップがある。脚力・ モビリティは並以下、ボールの保持が低くファンブルが多い欠点は修正が可能だ。抜群のスピードを持つRBテイラーは健在、(ドラッグ問題があったが)35歳のスミスが核のWR陣は課題として残る。攻撃ラインはCミースターを核に中央部が主力。
  守備は生きが良い。DTストラウドがいる守備ライン、デルリオが分身と信頼するMLBピーターソンのいるLB、今オフ重点強化したDBはボウルデン、マシスが核になりそうだ。  課題は、キッキング。攻撃力に比して得点力がないのは不安定なキックのせいもある。Pハンセンが負傷から復帰することも、今年の躍進の鍵の一つ。
  こうチーム作りを客観すると、デルリオの理想に、選手として在籍したJJ黄金時代のカウボーイズが浮かぶ。ポケットで冷静なQBエイクマン、頼れるRBスミス、スピード豊かな大型守備ライン、

 

そして、堅固なセカンダリー陣……。どうだろう。

ヒューストン・テキサンズ
(7勝9敗、03年5勝11敗)
  新加盟3年目、テキサンズがいい感じで仕上がってきた。昨年も5勝だが内容は良い。NFCチャンピオンのパンサーズを破り、ペイトリオッツは延長戦へ、3試合は合計わずか9点差での敗戦、チーム力は確実に上がってきた。高レベルの南地区上位争いに食い込む体制は整った。
  新加盟チームの育成をパンサーズで経験済みのドム・ケイパーズHCは、新加盟に多い初経験の新人の教育係としてOCパルマーとDCファンジオを選び、2人はその期待に応えた。
  ケイパーズの哲学は、まずラン、そしてプレイアクションパス。02年ドラフト1位指名のQBカーは、強肩とリーダーシップで、着実に成長中。しかし、負傷にも悩み、成功率56・6%、インターセプト率4%と効率からみればまだ一

 

人前とはいえない。
  攻撃31位、守備31位と数字上はリーグ最低線の戦力だが、チームに決定力がついてきた。2年目のRBドマニック・デイヴィズは万能型。スター候補であるWRアンドレ・ジョンソンは188センチの大型ながら40ヤード4・3秒。加盟初年度は非力だった攻撃ラインも辛抱強い指導でLTピッツを核に育ち、トレードで穴を埋めた。守備はケイパーズの魂、負傷に悩んだ守備ラインにはDEウォーカー、LBには昨年タックル数リーグ1位のシャーパー、中心に大幅刷新のDB陣にはベテランCBグレンと中心がある。キッキングは安定したKブラウン。

AFC西地区

デンヴァー・ブロンコズ
(12勝4敗、03年11勝5敗)
  スーパーボウル狙いの年を迎えた。つねにウルトラ強気のマイ

 

ク・シャナハンHCだが、今年は本気で補強、勝負の年とした。昨年プレイオフの1回戦で、レギュラーで31対17と完勝したコルツに41対10と惨敗して決断した。特別補強したのは、コルツに394ヤードを許したパス守備。なんとリーグ最速のRBポーティスと交換に、プレスカバレッジならリーグ随一のCBチャンプ・ベイリーをレッドスキンズから獲得した。じつは昨年は攻撃4位、守備7位と安定した戦力だったが、唯一の弱点が22位のパス守備、つまり僅か9回のインターセプト、結果TORはマイナス4。一発勝負では格好の標的になる。
  まず安定したラッシングを築き、これを基本にプレイアクションパスに繋げるのが、これまでの攻撃。さらに、昨年獲得したQBジェイク・プラマーのポケットの外に走り、ディープに投げ込む能力が生かせる。攻撃を支えるのは、Cネイレンが核となる運動能力重視の軽量ラインである。今春、長年のラインコーチで裏のヘッドコーチといわれたA・ギブズがファルコンズに去っ

 

た影響がどこまであるのか。フォーティナイナーズ(49ナーズ)からFA移籍したハースト、40ヤード4秒26で走る新人ベルを中心としたRB陣はコミティ方式になるだろう。TEシャープが引退、ロッド・スミスともう一人頼れるWRが欲しい。
  4−3守備は、DEプライスのラッシュ、MLBウイルソンの動き、そして、ベイリーと共に獲得した前バッカニアーズのSSリンチが中心となりBクラスの上までランクアップした。1位指名の新人LB、DJウィリアムズは前評判が高い。なお、スーパー目指すなら、キッキングの向上は必須だ。

カンザスシティ・チーフス
(9勝7敗、03年13勝3敗)
  名将ディック・ヴァミール3年目の奇跡ならず、今年に持ち越されたスーパーボウル出場だが、戦力的には下り坂に一歩踏み出した。プレイオフ出場に十分のチーム力だが、ポストシーズンを乗り切るには、攻高守低でバランスが

 

悪すぎた。
 地区プレイオフで、446ヤードを許し31対37とコルツに競り負けた教訓から、ガンサー・カニンガム(前チーフスHC)をDCに呼び戻し、リード&リアクト守備から強圧守備に変更した。30位のラン守備向上にDTシアヴィを1位指名したが、フロントライン、LBに補強なし。大型CBのマンカバーを基本とするカニンガム守備だが、その適材も少ない。カニンガムの真価が問われる。  フィールドポジションゲームで、守備の低調を助けたのが、天才ダンテイ・ホールのキック&パントリターン、(避けて蹴られながら)プレイオフを含め5リターンTDは驚異。彼だけでチケットが売れる。FGは確実なM・アンダーセンも44歳、キックオフは新人担当となる。
  得点1位、距離2位のリーグトップ攻撃は健在。看板のリズミックパス攻撃のエースQBグリーン(34歳)は判断力を上げ、63・1%、4039ヤードを獲得、個人パスレーティング3位。ただ、レシー

 

ブの主標的は依然ミスターTEのゴンザレス1人。スィープ、ドロー、トラップ、スクリーンとオープンを走らせれば絶品のRBプリースト・ホウムズも、慎重な起用もあって、30歳ながら、まだまだ絶頂期。RGシールド、LTロウフが中軸の攻撃ラインもトップ級。
  今年はパンサーズ、コルツ、ペイトリオッツ、タイタンズと厳しい対戦の日程で、30歳以上のスターターが8人とエイジング傾向のチーフスには正念場だ。

オークランド・レイダーズ
(7勝9敗、03年4勝12敗)
  スーパー出場から大転落、大幅モラルダウン、タフな悪役イメージも崩れたが、渋い銀黒で兄さん達には依然人気が高い。
スーパーボウル敗戦で、ウエストコースト攻撃の弱点が曝け出され、新HCだったキャラハンに対応能力なく、レイダーズは一気に並以下に急降下した。
  辣腕のワンマン・オーナー、アル・デイヴィズは、伝統のパワー

 

ランとロングパスに戻し、誇り高く再びスーパーに照準をあわせた。新HCのノーヴ・ターナーは、黄金期のカウボーイズOC、前レッドスキンズHCで、スキンズの失敗を材料に、準備と規律重視で、チームの再生を図るという。
  新スタッフはOCはレイ、前パッツLBコーチのライアンDCは3−4から4−3守備へスイッチ。キッキングはアバゾノ。
30年前『ならず者再生工場』と命名したが、今年も閉鎖的家族主義(実態は知らないが、イメージはマフィア)を慕って、QBコリンズ(ジャイアンツ)、RBハンブリック(カウボーイズ)、ゼラウェイ(スティーラーズ)、TEウィリアムズ(バッカニアーズ)、Gストーン(49ナーズ)、DEハミルトン(ペイトリオッツ)、DTサップ(バッカニアーズ)、テッド・ワシントン(ペイトリオッツ)、LBラッド(バッカニアーズ)、クラーク(ジャガーズ)、CBブキャナン(ファルコンズ)、チャールトン(ジャイアンツ)、Sテレール(レッドスキンズ)

 

と1チームできる位の数が集まった。
 人気のWRトリオは、生きる伝説のライス、ブラウン(、ブラウンをトルツメ)が41歳、37歳(37歳をトルツメ)と老朽化、ポーターがエースとなった。LBロマノウスキーが去り、核のRBガーナーがバッカニアーズにFAで移動した。Sロッド、CBチャールズの2人のウッドソンは、DB陣の核に残った。
  大量補強した守備ラインを主力に、20世紀型レイダーズが復活する可能性はある。

サンディエゴ・チャージャーズ
(3勝13敗、03年4勝12敗)
  ウエストコーストの弱小チーム、95年プレイオフ出場以降勝ち越しシーズンがなく、そんなイメージは定着した。
  昨年はリーグ最低勝率。しかし、大学ドラフトでは最下位に第1指名権がある。兄ペイトンに劣らない能力を持つ人気QBイーライ・マニングを獲得、再び人気と実力を取り戻す好機を得た。会議

  の5日前、チーム代表は、今後のチーム躍進計画をまとめて父親のアーチー(元セインツQB)と面談した。翌日、マニングの代理人から「指名を望まない」との連絡があった。もし、指名されたら大学に残り翌年を待つと強調された。顔面を平手打された気分だろう、スーパーへの可能性の低い弱小チームと判断された。 チャージャーズは、会議当日イーライを指名。その権利をジャイアンツにトレード、 第1巡4位指名権を含む4つの指名権と交換した。←トルツメ そして1巡4位で大型、強肩のQBフィリップ・リヴァーズを指名したジャイアンツとその権利をトレード、他に来年の1巡を含む3つの指名権と交換した。損得は抜きに、チャージャーズファンにはさびしい話であろう。
  チャージャーズといえば、RBラデイニアン・トムリンソンだろう。ラッシュ313回1645ヤード、レシーブ回数100回725ヤード。じつに413回、14位だった攻撃の総回数の43%、総距離の46%は、
 

トムリンソンが稼いだ。サイズ、パワー、外側を走るスピード、そして広い視野、バランス、最高速度へ早い切替えがトムリンソンの魅力。昨季の11人中8人、4人のスターターが抜けた攻撃ラインは、無名の集団で再建中。
  サイドラインに逃げる姿が定番となったQBブリーズは、遅い判断によるミス、弱肩で、今季中盤には、新人リヴァーズにスタートを譲る可能性がある。リヴァーズは長身、強肩、速いリリース、高校コーチの父親から学んだ知識とボールセキュリティ意識が高い。27位だった守備はNTウィリアムズ、LBエドワーズ、CBデイヴィズを軸に、ウェイド・フィリップス新DCが3−4スキームも導入して再建に取り組む。
成績次第でショッテンハイマーが抜け、来季はフィリップスが新HC就任の噂がある。

 

NFC東地区

フィラデルフィア・イーグルズ
(12勝4敗、03年11勝5敗)
  3年連続NFC選手権敗退と書くか、3年連続NFC選手権出場と表現するかで、大きな違いがあるが、私は前者、イーグルズはラストチャンスだろう。
  今年のオフに、最後の切り札的に大物2人を獲得した。49ナーズのWRテレール・オーウェンズ、そしてタイタンズのDEでジェヴォン・カース。
  4年目を迎えたHCアンディ・リードは、彼のゲームは(水)、(木)と形容されるほど、準備を重視する。師であるホルムグレン(現シーホークス)の教えだろう。今年アシスタントHCにウエストコースト攻撃に習熟したモーニンウェグ(前ライオンズHC)を迎えた。彼は49ナーズOC時代にオーウェンズを知り尽くしている。
  攻撃は、ワンマンQBマクナブに負うところが大きい。成功率57・5

 

%、レーティング79・7と記録は中の下だが、彼の真価はクラッチ(勝負所)でビッグプレイをやってのける強気な闘争心である。  DCジョンソンは、モーラ―トービンの流れを組むLBを動かす、積極タイプの守備をみせるが、昨年は26テイクアウエーに終わっている。ジョンソンはカースを左右に動かして配置させたかったが、脚負傷の影響で左に固定、右のラッシュは2年目のマクダグルの成長を待つ姿勢。 大物は迎えたが、攻撃4人、守備3人大量7人のスターターを失った。とくに、RBステイリー(去年チームに不協和音を呼んだ)、名手ヴィンセントと大型テイラーのCB2人、昨年のチームMVPのMLBエモンズを失った影響は大きい。
  昨年のチーム成績は、攻撃18位、守備20位で中の下だった。それでも13勝をあげ、不安なく地区優勝したのは、結局はマクナブの実践力が大きい。パンサーズに3対14と敗れた昨年NFC選手権も4インターセプト(うち3がマク

 

ナブ)が敗因だった。結局、マクナブ次第の勝負の年になる。ミシガン大時代から、強肩、センス、リーダーシップで知られたが、最近3年間はMLBヤンキース組織の三塁手であり、少なくとも1年間はリハビリを兼ねて3軍QBとすることは周知されている。
  チーム力はリーグ1位の4−3守備、攻撃は15位。DTグラヴァーと8サックのDEエリスの守備ライン、ラン守備とブリッツではリーグ一のSSウィリアムズのDB陣も良いが、ベスト3ダウンLBの評価があるダト・ウィン、コークリー、シングルトンと揃ったLBが一流。
この1年の進歩を見るのが楽しみだ。

ダラス・カウボーイズ
(11勝5敗、03年10勝6敗)
  さすがビル・パーセルズ、すべてが重厚で、深い。就任1年目、ほとんど補強なしで、5勝から10勝、いきなりプレイオフ出場に導いた。ところが、期待して迎えた2年目春のドラフトでは、あっさ

  りドラフト1巡指名権をトレード。本格チーム作りは来05年と周囲がむりやり気持ちを納得させた時に、ジェッツのQBテスタヴァーディを、そしてタイタンズのタフガイRBエディ・ジョージを獲得した。すべてシナリオ通りだった気がする。
  すでにオン・オフで話題のWRキーション・ジョンソン、3年目13サックを記録したDEワイリーを獲得しており、予想できる若手の進歩を含めると、一気に選手権出場もありえる。選手からの信頼は絶大だからだ。
  急速に進歩したカーター、←トルツメ鉄人テスタヴァーディ、いずれ←トルツメ  のスタートもあり得るが、来年のスタートQBはドリュー・ヘンソンに決定だろう。ドラフト直前の動きだった。ヒューストンが昨年6巡指名したヘンソンをトレードで獲得した。
 

ワシントン・レッドスキンズ
(9勝7敗、03年5勝11敗)
  スーパーボウル3戦全勝、NFL史上に残る伝説の名将が戻ってきた。新生レッドスキンズを待ちわびたワシントンは熱狂的な歓迎である。引退から12年後の復活で、フィールド内外では大きな変化がある。復帰を決断してから、わずか7ヶ月で迎えるNFLのフィールド、81年の初シーズンは5連敗で始まった。
  ギブズのフットボール哲学は不動のようだ。タックル間の中央部をパワーランで前進(往年の『40ガッツ』、『50ガッツ』プレイ)、次にショートとミドルのパスを織り込み、勝負所でディープに投げてビッグプレイを生む。
  アシスタントHCウィリアムズは、ラインのパスラッシュをカバーするために、LBのブリッツを多用するようだ。CBはマンカバー、SSをフロントのボックス(ラインとLB)にあげる、思い切ったラン守備も準備中。選手とのギャップを除く目的で、OCブロウ、DCブラーク、も

 

う一人のアシスタントHCビューゲルに教育とモチベーションの任務を任した。
  ブルネルとラムジー、2人のQBがスタートを争っているが、昔のギブズは攻撃のセキュリティを優先してベテランを起用した。タフな強肩を選ぶか、冷静な判断と正確性を求めるか、まだ結論は出ていない。
  RBポーティスがギブズ往年のワンバック攻撃に最適とは思わないが、それ以上の存在であることは間違いない。速さ、バランス、視野、パワー、カット能力、そして自信がある。とくに、オープンでのスピードはリーグ一だろう。
  レシーブも速くスマートなWRコウルズ、大型のガードナー、TEラズビーなど豊富で有能。攻撃ラインは強い。サミュエルズとジャンセンは、リーグを代表するOTコンビ。出戻りCレイマーは万能。25位だった守備は、契約でもめているがLBアリントンが中核。
  ギブズのチームはシーズンが深まると共に向上する傾向があ

 

った。ギブズ・マジックは現在も通用するのか。

ニューヨーク・ジャイアンツ
(4勝12敗、03年4勝12敗)
  パーセルズ、ギブズ、そして今年からジャイアンツのHCとなったトム・コフリンとNFC東地区は、伝説の名将集団となった。一番強面のコフリンは就任会見で、「まず、最初にやるべきは誇りの回復だ」。規律の男である。
   新人・ベテランの意欲を総チェックして、ロスターを一新、スタジアム周辺の雰囲気も大幅変更―選手ロッカーの照明から、フリーウエイト中心のトレーニングプログラムまでーすべてを最上にした。すべての部門に、明確な目的を設定した。マイナス16のTOR、チーム最悪記録の127反則、攻守ライン、そして長期間負傷者リストの洗い直し。
  前任のファッセルの7年間はアップダウンのコースターだった。王朝の復活へ、コフリンが新人人気QBイーライ・マニングと共にス

 

タートする、1年目のシーズンとなる。
 コフリンは言葉でなく、現場で指導するタイプ。5時出勤、22時退社が日課。たぶん、ファッセル時代よりパットでの練習量は増加する、課題は、何時いかに選手のやる気を引き出すかだろう。88〜90年、ジャイアンツのWRコーチだったコフリンは、当時のHCであるパーセルズから習得したはずだ。
  4−3守備が主力だが、DCルイスはスティーラーズから持ち込んだ3−4守備を加え、ルックスの技術を導入するだろう。
  コフリンの攻撃はバランスアタック。稼動すれば、ディープボールでチャレンジを織り込む。まだまだ確実なWRトゥーマー、WR並みに動く(大口叩きの)TEショッキーの出番である。  しかし、今年の話題は、なんといっても2人の人気QBに集中する。名選手であった父の英才教育を受け、NFLナンバーワンの座にいる兄ペイトンにつづいて、プロ入りし

 

た新人マニングがいる。爆発的パッシングで時代の寵児となり、リーグMVP2回、スーパーボウルMVP1回のカート・ウォーナーが春季に突如入団してきた。イーライの兄は初年度は開幕戦からスタート、この年は3勝13敗に終わったが、翌年は13勝3敗と一気にリーダーの座に座った。コフリンは、どのプライドを優先するのだろう。
  20位だった攻撃は、ラインの建て直しが急務。LTぺティグーが負傷から復帰すれば核になる。RBはバーバー(ファンブル多し)、デイン。守備での視線は、NFLを代表するパスラッシャー、DEストレイハンに集中するが、32歳を迎え、DTハミルトン(引退)の助けもなく、多大な期待は出来ない。新スタートLB3人の中心はエモンズ。技巧派アレンとタフなピーターソンのCBコンビは、NFC東を代表する。最近下降傾向のインターセプトを増大させるには、Sの向上とカバレッジ戦術の工夫が必要。キッキングもコフリンの激怒をかいそうな不安がある。

 

NFC北地区

ミネソタ・ヴァイキングズ
(9勝7敗、03年9勝7敗)
  もう一度、チャレンジ。
期待された昨季は、結局、NFL史上2チーム目の最悪(珍)記録を作ってしまった。
  開幕6連勝しながら、最終10試合で7敗を喫し、プレイオフ出場を逸するという大崩れ記録である。しかも、弱小カーディナルズ相手の最終試合の、最終プレーで28ヤードヘイルメリーパスを許した痛恨の敗北である。課題として残ったのは守備。昨季前半の快調を指導した大ベテランのオレイリーDCに限界があった。
  しかしプレイオフを逸したとはいえ、HCマイク・タイスの再建作業は順調である。
5勝を受け継ぎ、6勝、9勝と着実な向上、3年目の今年はプレイオフに再チャレンジする。
  攻撃はリーグ1位、核はパス。自信と平常心をつけた大型QBカ

 

ルペパーから、リーグ一危険なWRモスへの、長距離ミサイルパスの破壊力は抜群。並の対応では止められない。それにレイヴンズからロビンソンが加わり、安定したキャンベルが控えに回る豪華なWR陣となった。
  ラン攻撃も充実、スピードのベネットを中心に、スミス、ウィリアムズとRBのデプスも厚い。Cバーク、LGリウィンスキーがリードする、サイズのある攻撃ラインもオフの移動なしで一流、ただし、控が薄い。
  ベテランの新DCコトレルは、自身の守備哲学を強要せずに、選手の個性を生かして、再建にのぞむ。豪腕DTホーヴァン、機敏なDEウィリアムズの守備ラインは中の上、素材は良いが経験不足のLBが進歩して、9インターセプトでリーグ1位のFSラッセル、8回のSSチャヴァスなど鋭さを持つDBが安定したパス守備を見せれば、昨年を悪夢と笑うシーズンになろう。
  グリーンベイ・パッカーズ
(9勝7敗、03年10勝6敗)
  ミスターQBが健在な限りプレイオフは定位置、そんな地元の思い込みに応えて、父の死を乗り越えるブレット・ファーヴの鬼神の活躍で最終盤に4連勝、3年連続プレイオフ入りを果たしたが、今年はヴァイクスの追い上げもあり、苦しい。
  ただし、パッカーズの魅力の一つに的確な補強によるチーム作りがある。GMを兼任のM・シャーマンHCの手腕によるが、02年はWR、03年はLB、そして今04年はCBに取り組む。去年のスターターから去ったのは僅か1人。NFCのレベルアップに追いつく全体の底上げがあれば、ファーヴに贈る最後のスーパーボウル出場も夢ではない。
  34歳を迎えたファーヴだが、衰えはない。
利き手の親指を骨折しながら、4度目のリーグ最多TD(32)、成功率65・4%はキャリア最高だった。しかし、客観的に見れば、要
  所での判断ミスによるインターセプトの増(21)があり、ビッグプレイを狙う、ある種のあせりを感じた年だった。 ブーツレッグでのランパス・オプション権をファーヴに委譲したようだが、攻撃の核をウエストコースト(WC)攻撃の基本に戻すか、変形してパワーランをもう一つの核にするのか、ロスリーOCに悩みを感じる。  リーグ3位のラッシングの主役は、4年連続1000ヤードを越えたRBのA・グリーン。速く、パワフル、デュラブル(頑丈)で、昨年自己最高の1883ヤードを走り、ファーヴへの圧力を半減させた。重量のダヴェンポートもいるし、パス捕球に秀でた第3ダウンバックのフィッシャーがいる。C、Gを中心に実力派で固めた攻撃ラインは機動力があり、負傷がなければ、上級。
  WRファーガソンは、大きく、RAC(ランアフターキャッチ)が期待できる、WC攻撃には最適の人材。
  4−3守備からDTブラウンが抜け、ラン守備に課題が残った。新人でチームソロタックル1位と
 

なったバーネットが期待のLB。FSシャーパーを軸に建て直しを図るDBには、ドラフト1巡指名のCBキャロル、ベンガルズから獲得のSSローマンに期待大。

シカゴ・ベアーズ
(8勝8敗、03年7勝9敗)
  今年の新HCは、モーラ・ジュニア(ファルコンズ)、ムラーキー(ビルズ)、ギブズ(レッドスキンズ)、コフリン(ジャイアンツ)、グリーン(カーディナルズ)、ターナー(レイダーズ)、そして私が最も期待していたベアーズのラヴィー・スミスの7人である。ネガティブな意見もある。彼はNFLで最も複雑な攻撃を導入して2年目のQBグロスマンを、180度異なる守備哲学の採用で守備の混乱を招く、との見方だ。
  ベアーズといえば、攻撃28位、守備14位の貧弱な戦力、去年の7勝も不調・低調チームからの拾い物、客を呼べるのが最強のLBアーラッカーだけ、と揶揄されていた。もし未来を求めるなら、この

 

チームには早めの手術が必要だった。
  スミスは、96〜00年、バッカニアーズでダンジーHC(当時、現コルツ)の下でDCをつとめ、カバー2守備を完成させ注目を浴びた。穏やかで理論的、ダンジー流で期待できる。
  彼が立て直しの基本にするのが、チーフス・スタイルの攻撃そしてB・ライアン時代のシカゴ・スタイルの守備。カバー2守備の達人であるスミスは、守備を多少アレンジする予定という。
  OCシェイはチーフスのQBコーチから招いた。QBグロスマンは新人の昨年、最終3試合にスタートして2勝1敗。強肩、素早いリリース、脚力はないがポケットでの忍耐力はある。WRブッカー、テレール、ゲイジとTEクラークは実力派。30位からの向上は必須条件だ。RBジョーンズも能力十分で、あとはきっかけ。攻撃ラインは良い。小柄だがタフでレベレッジ取りが上手いCクルーツ、それにチーフス攻撃の教科書として、リーグ

 

を代表する高い運動能力のOTテイトをチーフスからFA獲得した。スミスらしい賢明な補強だ。守備は、合格点はDTハリスだけの守備ラインは要成長。ミスターLBのアーラッカーには自由度を与え、読んで反応するよりボールをみて奪えとワンマンを生かす体勢を準備する。WLBを様々のポジションで生かす、ペイトリオッツスタイルの起用も検討中。CBティルマン、FSブラウンのDBはスマートで安定。もともとリターンはキックのアズマー、パントのマクォーターズ共に一流だ。

デトロイト・ライオンズ
(8勝8敗、03年5勝11敗)
  2年目のスティーヴ・マリウッチHCがミラクルを起こす可能性もある。ウエストコースト(WC)攻撃の完成は最低2年は必要、そしてQBハリントンは今年で3年目を迎える。マリウッチはご存知WC攻撃の申し子である。
  しかし、ライオンズの決定的な弱点は精神面。過去3年ロード

 

ゲームでは全敗といったNFL最長の、ふがいない記録から脱することが出来るのか。
  49ナーズを感情的な衝突から解雇されたマリウッチは、昨年ここ北国のドームスタジアムでOC兼任でWC攻撃の完成を目指し、薄い選手層と負傷の対応におわれた。選手の信頼を確立、可能な限りの補強に成功した今年、DCジャローンの正統派守備と共に、確実な前進を開始しそうだ。
  ハリントンの最大の武器は正確性。リーダーシップ、プレイの展開を待つ忍耐、スクランブルか投げ捨てか判断、の課題3点は、昨季終盤に向上してきた。WRは去年、今年の指名1位、ロジャーズとウィリアムズには期待できる。ベテランのストリートが深みを与え、課題のTEが進歩すればWCも稼動する。B・サンダーズ以来の大物といわれるRBジョーンズが開花すれば、スキルポジションはBプラス。ペイトリオッツからFAで移動したCウッディが若いが堅実な攻撃ラインのリーダーとなる。

 

  守備は中央のDT2人、ロジャーズとウィルキンソンが中心。LBは中の下。DBで1人プレイメーカーとして光るCBブライだが、FAでジャガーズから獲得したブライアントが同様の働きをすれば、守備はぐっと安定する。Kハンセンは通算80・7%のFG成功率、キックオフも安定して、ボールコントロールの陰のエースである。

NFC南地区

カロライナ・パンサーズ
(9勝7敗、03年11勝5敗)
  奇跡的な大躍進で、スーパーボウル初優勝まで3点と迫ってから、7ヶ月。パンサーズは追われる立場に立った。
しかし「新たなるスタート、昨年と今年はまったく別のもの。精神的にみても、去年と今年はまったく違う」、J・フォックスHCはシーズンイン直前に、こう宣言して、ゼロからの出発を強調した。
  5人のスターターが去ったが、

 

フォックスはメンタルなチャレンジに意欲を燃やしている。彼はジャイアンツのアシスタント時代に、第35回スーパーボウルに出場、翌年はプレイオフ出場を逸した経験がある。王者を襲うスーパーボウル病、高待遇を求めチームが崩壊する傾向へ対策を打った。オフに新勢力を追わずに、まず現有のベテランの維持につとめたのは、FAでなくドラフトでチームの核を育てる、これまでの方針を堅持が、スーパーにつながる道であることを、彼は確信しているからだろう。
  RBスティーヴン・デイヴィズの確実なラッシュがQBデロウムからWRスミスへのパスを生かし、堅実な守備で要所での失点を防ぐ、それがパンサーズの、OCヘニングの勝利パターン。プレイオフではより緻密な分析が加わり、安定した戦力に強靭な精神力がバックアップした。
  守備DCトゥーゴヴァックの哲学もシンプル、ラッシュをストップしてフロント7でつねにQBに圧力

 

をかける。
  QBデロウムは昨季8回の逆転を演じ、危機での的確冷静な判断力を発揮したが、今年のテーマはシーズンを通じた安定性、成功率の向上。小柄だが出色のスピードを持つスミスに加えもう一人エースWRが欲しい。9年目のムハマドは衰えを感じるし、エンドゾーンや第3ダウンでは強いプロウルも15年目、全ダウン出場の体力はない。
ラッシュ318回、1444ヤード、8TDラン、すべてのチーム記録を塗り替えたデイヴィズを支える攻撃ラインだが、今期は全面改修の年になる。
  売り物の守備は安定、サイズと機動性も持つTジェンキンズ、鋭いパスラッシュDEペパーズ、ラッカーの守備ラインはAクラス。スピードが特色のLBの軸はMLBモーガン、ホジキン病からフィールズが復帰すれば厚みが出る。FAでCBハワード、FSグラントが去ったDBも再建の年である。スーパーの場外キックオフで

 

非難を浴びたが、Kケイシーはリーグトップ級。Pサウワーブラムもベストパンターの1人。スミスのリターンも?有力な武器のひとつである。

アトランタ・ファルコンズ
(8勝8敗、03年5勝11敗)
  天才QBマイケル・ヴィックの負傷ですべてを失った昨年。
  再建の今年、ヴィックを全面に押し出した新計画に取り組む。推進するのは、シーズン中途で辞職したリーヴィーの後任、49ナーズのDCだった42歳のジム・モーラ・ジュニアHCと昨シーズン中途でバッカニアーズから移ったリッチ・マッケイGM。2人は負け癖のついたチームに意欲を回復させる第一ステップに取り組んだ。ヴィックとコンビを組むエースWRの獲得である。ドラフト1位指名で大きく強く速いジェンキンズ(オハイオ州立大)、そしてベアーズのホワイトをFAで獲得した。昨年獲得したSBプライス、高さのフィネランそれにチーム一確実なキャッチ力を持つ

 

TEクランプラーとあわせて素材は揃った。OCナップはWC攻撃を導入、NFLきっての強肩、脚力を持つヴィックがロールしてランパスをオプションする戦術が主力となるが、彼にとっての課題はセットアップとパスタッチ。RBは負傷から復帰するダン、ダケットの2セットバック体型となる予定。課題が残る攻撃ラインを、育成には定評のあるアシスタントHCギブズが担当する。
  守備はモーラHCの得意分野。DEカーニー、DTコウルマンのラッシュコンビに期待する守備ライン。モーラが最も重視するWLBに判断力とスピードを持

つ生え抜きブルッキングがいて、モーラが49ナーズからつれてきたマキシーDBコーチが、SSスコットと新人FSホールを中心にDB陣を再構築中だ。
  Pモーアは安定、Kフィーリィは不安定、ただし、大学時代5リターンTDを記録した新人ホールのリターンには期待出来る。

  ニューオーリンズ・セインツ
(8勝8敗、03年8勝8敗)
  最近、最も期待を裏切ってきたチーム。
攻撃の要所には、プレイメーカー、素質と若さに恵まれた守備ライン、尊敬されるコーチングスタッフが揃いながら、低調な成績を重ねてきた。4年前、ジム・ハズレットHCは、NFC西地区優勝そして初のプレイオフ勝利をあげ、マルディグラ祭でバーボンストリートをフロートで行進した。次のステップは、しかし、7勝、9勝、8勝、プレイオフは遠ざかった。
  原因は、メンタル。
昨年、チームはリーグ最多のファンブルロスト20回、そのほとんどが自陣または敵陣レッドゾーンで起こった。ドライブを止める決定的場面での反則(103回)、とくにプレスナップの反則が多かった。最終8試合(5勝3敗)の状態を維持出来れば問題なしとハズレットはいうが、集中力の欠如が課題なのは間違いない。
 
11位だった攻撃はOCマカーシーの修正WC攻撃。パワーラ

ン、

 

  ワンバック、ファイブレシーバ ーを増加する。しかし、ハズレットのプレイコールは保守的すぎ、4年前の積極性に欠ける。DCヴェンチュリはブリッツなど積極守備を好むが、選手のスピード不足で墓穴を掘ることが多かった。
  メンタルの向上を目的に、新チーム規律を導入、プロとしての環境整備―練習後のロッカーでのゲーム禁止、食堂のTVをゲーム放映専用にするなどの細部の積み重ねも開始した。 攻撃の主役であるQBアーロン・ブルックスは自己最高の59・1%、被インターセプト2・1%とパス数字では進境したが、リーグ最悪11ファンブルロストで相殺された。すべて、ヒットなしに単純ミス。強肩、快足が生かせない。RBマカリスターはリーグトップ級のパーフェクトバック。自己最高の1641ヤードを走った。パワーバックのサイズと守備を抜き去るスピードの稀有なコンビネーションがある。レシーブ陣はNFLで最も才能に恵まれたグループだが、安定性と規律に不満が残る。

 

 

  エースWRホーンは78捕球、10TDと記録は合格だが、決定的場面でのパスドロップ、意欲のないブロッキングがチームモラルをダウンさせた。負傷に悩んだストルワースが復活、ペイソン、マイケル、新人ヘンダーソンと層は厚い。Cに移動したベントリーを筆頭に攻撃ラインは平均点。
  ドラフト1巡指名を3人並べた守備ラインは、他チームがうらやむが、DEハワードをはじめ今一歩伸び悩み。期待したFSテバッキー・ジョーンズ(パッツから獲得)に基礎技術の未熟が目立ち、中核のないDB、地味だが堅実なCBトーマスが代役を勤める。
  タレント十分、態度と成熟が課題。解決すれば、ワイルドカードは期待できる。

タンパベイ・バッカニアーズ
(8勝8敗、03年7勝9敗)
  スーパーボウルから急転直下、負け越しへ。バッカニアーズも近年のスーパーボウルシンドロームに巻き込まれた。
  表面的には負傷続出がその主

 

  因に見えたが、オフに明白になったのが、とくに攻撃で目立った、タレント不足。キッキングを含めた、決定力不足。
  さらに、深層を読むと、03年スーパー優勝は過去(前ダンジーHC)の遺産である守備がもたらしたもの。ジョン・グルーデンHCは自身の育てた、つまり得意分野である攻撃が主導で、2度目の優勝を狙いたかったのだろう。
  意見があわないマッケイを解雇し、新たにアレンをGMに迎え、15人以上を放出、4人のスターター候補を含む20人以上の選手を獲得した。選手が入れ替わり、今年のチームはまさしくグルーデンのチームとなった。だが、まだスタート直後である。
  攻撃は、グルーデンは否定するが、まさしくWC攻撃の典型。グルーデンの指導で開花したベテラン(36歳を迎える)QBジョンソンがスターター、動きはないが、守備を読む力、水平スキームで密着カバーされるターゲットに投げ込み緻密な制球力がある。オフに獲得したグリーシーが控。ピットマン
  に、レイダーズから獲得した(グルーデンの信頼厚い)ガーナーが加わり、RBの層は厚くなった。
WCを知り尽くしたガーナーだが膝負傷からの回復が鍵となる。カウボーイズからトレードで得た快足のギャロウエイ(32歳)、ルートが上手いマッカーデル(34歳)、負傷上がりのジュレヴィシャス(30歳)に、サイズと捕球力を持つ1位指名のクレイトンとWRは充実。Cウエイド中心の攻撃ラインは高齢揃いで、オーバーホールが必要だろう。  タレントから見ると、まだまだキフィンDCが指導する守備がチームの原動力。DEシミオン・ライス(15サック)、スパイアーズ、サップの穴を埋めるDTマクファーランド、WLBブルックス、CBケリー、バーバーと並ぶと壮観。
低調だったキッキングで失った試合も少なくない。股関節手術の後遺症で不調だったKグラマティカの復調が最優先か。
もし、攻撃がチームをリードできれば、地区優勝、選手権試合も可能になる。依然として守備主導
 

なら、再び勝率50%で、再建は05年に持ちこしとなる。

NFC西地区

シアトル・シーホークス
(10勝6敗、03年10勝6敗)
  名将マイク・ホルムグレンのカムバックなるか。
  昨年、NFC西地区では初、98年にホルムグレンがHCに就任してからは2度目のプレイオフ出場を果たした。名将といえども、完璧なチーム作りの過程で、様々の側面があった。ホームでは競り合いに強く8戦全勝、しかし、ロードでは2勝6敗、6敗のほとんどがミスで勝ち試合を失った。どの側面が真のシーホークスか、それを証明するシーズン。
  WC攻撃の、いえば中興の祖であるホルムグレンの指導で、リーグ6位まで攻撃力は仕上がってきた。49ナーズでモンタナ、ヤングを、パッカーズでファーヴを育てた彼は、パッカーズでの教え

  子ハセルベックを引き抜き、シーホークスでエリート教育中。強肩、不屈精神、リーダーシップで昨季はパッサーレーティング88・5、3841ヤード、26対15のTD対インターセプト比とプロボウルレベルまで成長した。WCの第2ステップ、ディープボールの精度向上に成功すれば、WC攻撃の鍵となるミディアムレンジをがら空きに出来る。ディルファー、取り戻したフアードとWCを理解した3人のQBを揃え、『QBフレンドリー』なWC体勢は整った。
  無駄なステップが多いが能力は高いRBRBアレグザンダーは過去3年平均1300ヤードを記録。捕球力もある。課題はWRに残る。正確なルートを走り1137ヤード獲得したエースのジャクソンを筆頭に、ロビンソン、イングラム、TEミリと素質十分だが、昨季合計で37回のパスドロップがあった。少なくとも5回はミスがなければTD。集中力の欠如である。クロムウエルWRコーチの指導が問われる。攻撃ラインは、LGジョーンズ、LTハッチンソンとプロボウル

 

  組が中心。
 再生中の守備(19位)だが、ローズDC指導のギャップコントロールスキームは、昨年終盤4試合を平均75ヤードラッシングに抑え着実な進歩。ラムズのDEウィストロムを補強した。27位のパス守備の弱点はディープボール。穴の2人をリリースして、イーグルズのCBテイラー、2位指名のボウルウェアで建て直しを図る。もう一つの課題は主力LBブラウン(34歳)に衰えがみえるLB陣。中核となるべきMLBの人材不足も頭が痛い。
  キッキングはPルーインとパントカバーは一流。Kブラウンの114点と73%に(の?)FA成功率も悪くない。
  ペイトリオッツ、パンサーズなど強敵相手のタフな日程だが、競り合いでの集中力が育てば、ポストシーズンが開ける。


セントルイス・ラムズ
(9勝7敗、03年12勝4敗)
  爆発的攻撃力が復活。ただ
  し、主役は交代してQBバルジャーへ。
  00年第36回スーパーボウル優勝、02年スーパーボウル3点差で惜敗、そして02年は主力の負傷で負け越したが、パスの天才マイク・マーツHCの攻撃は休火山だった。負傷したウォーナーから受け継いだQBバルジャーが活躍、再び12勝とメインステージに復活した。
  今オフの指名1位はRBジャクソン、7位はTEジェンセン、これはマーツが(勝利のために)ランに関心を深めた証でもある。OCフェアチャイルドへの権限委譲もあるが、ゲームプラン作成はすべてマーツ、『マッド・マイク』の形相で取り組むそうだ。スミスが去ったDCには、マーツの友人のマーミーが就任、ゾーンベースのカバー2を継承する。
 ウォーナーの絶頂期には及ばないが、バルジャーの正確性、パスのタッチ、勝負所での平常心は一流。81・4のレイトは中の上。タイトなカバーに投げ込むのはQB共通の誇りからだろうが、インター
  セプト(22)の減少がNFLエリートへの課題。史上最高の万能RBフォーク(31歳)もキャリア終盤を迎えた。ツーバック体型を経過して、後継のジャクソンに引き継ぐ形だろう。WRホルトとブルースは10回の1000ヤードシーズンを残す、名レシーブコンビ。ホルトは直線のスピードで勝ち、ブルースは大試合に強く、優れたセパレーション能力がある。3人目のルッカーはサードダウンとレッドゾーンで安定、4人目ファリーは確実な捕球力。LTオーランド・ペイス、RTカイル・ターリーはNFLを代表する強力タックルコンビ。RGティマーマンも手が速く、スペースの動きがあり、攻撃ラインは一流。
  ウイストロムとヤング、ベスト守備ライン2人がFAで抜けたのは大きな打撃。DEリトルは出色のスピードを生かした、ランにタフなタイプ。スピードを生かすLBは、昨年5インターセプトの26歳のSLBポウリーに期待。DBには前任DCスミスの指導で腕をあげたCBフィッシャーとバトラーが鍵を
  握る。SSアーチュレッタのランサポートも安定した。
  Kウイルキンズは昨年NFL史上タイの39FGを記録、キックオフにも強く、競り合いには欠かせない存在。20年目を迎えるPランデータも、NFLベスト15には十分に位置する。カバーチームは未熟。
  99年開始以降の勝利数ではリーグ1位だが、不安定な守備ラインとタフな日程から、今年はピンチだろう。

アリゾナ・カーディナルズ
(6勝10敗、03年4勝12敗)
  万年最下位のイメージが強かったカーディナルズが、名将グリーンを迎え、本格的な再建を開始した。
ヴァイキングズを上位常連に育てた、デニス・グリーンがカーディナルズのHCとして現場に復帰、独特のレシーバー重視哲学で、攻撃27位、守備26位、得点と失点共にリーグ最下位の非力チーム改造に取り組んだ。
  強気に今年のゴールをプレイオフ出場においたグリーンは、選

 

  手を集め、「救世主を探すのは止め、自分自身を見直せ」と呼びかけた。
  選手の能力は十分、ただ選手が十分にプレイ出来ていないだけだ。こう公言するグリーンに選手は応えられるか。88年にアリゾナに本拠を移動してから6人目のHC、グリーンには勝利のバックグラウンドがある。10年間で8回のプレイオフ出場、レギュラーシーズン97勝62敗。
  ヴァイキングズをチーム作りのモデルにしたグリーンは、ウエストコースト攻撃と4−3守備を基本とした。
  WB(ウイングバック)を経験したグリーンは、ヴァイキング時代に攻撃作りの核をレシーバーに求めた。初期がクリス・カーター、そしてモス。良いQBは良いレシーバーを育てるというのがフットボール界の定説、それに挑戦する無謀な哲学に見えたが、グリーンは完璧なチーム作りを成功させた。
  そして、カーディナルズ。グリーンは基礎となる初めてのドラフト
  1巡で、WRアンクアン・ボルディン、3位でラリー・フィッツジェラルドを獲得、それに03年の1巡ブライアント・ジョンソン、2巡のWRアンクアン・ボルディンを加えた3人の若手WRをチームの軸にする姿勢を明確にした。ヴァイクスの成功をアリゾナで再現できるのか。
QBは3年目のジョシュ・マカウン。腕の力、動き、そして判断力がある。RBは敏捷でライン中央部の突破力があるシップ。
 攻撃ラインはCケンドールがアンカーとなる。守備ラインはパスラッシュが課題、FAでブロンコズから獲得したDEベリーに期待する。昨年11・5サックを記録した。MLBマキノン、FSジャクソンを中心にセカンダリーを組み立てるが、DCペンダーガストの相当な努力が不可欠だろう。
  若いロスター、新しいコーチ、タフな日程。グリーンの新しいアプローチと意欲を持つ選手のマッチアップは期待出来る。QBの成長と守備ラインの安定があれば、プレイオフはムリでも五分の勝率は達成できそうだ。
 

サンフランシスコ・フォーティナイナーズ
(3勝13敗、03年7勝9敗)
  サラリーキャップの罠にはまった名門。
  たぶん再建は2005年まで待たねばならない。サラリーキャップ制でロスターが裸になった。QBジェフ・ガルシア、DTブライアント・ヤングを含む数人と過剰報酬契約を結び、最悪の結果を招いた。2年目を迎えたデニス・エリクソンHCは、この破綻を知らされずに契約した。
  影響は攻撃に多い。ガルシア、RBギャリソン・ハースト、WRテレール・オーウェンズ、LTデリック・ディーズがチームを去った。
  来年はFAを利用する枠が僅かだが、出る予定。
  2年目のエリクソンは、OCトールナーと組み、QBラティの育成にかかったが、ミニキャンプでラティが負傷、計画は遅れてスタートした。動きがないラティだが、良いプロテクションを与えればディープボール攻撃は可能だろう。新DCロビンソンはスティーラーズ

  時代の3−4守備に変更して、限られた人材を育成する。
  昨年は攻撃5位、守備13位と上位で攻守のバランスが均衡していた。今年は予測もつかない。
  ハーストが去ったRBには、バーロウがスタートする。昨年は201回で1024ヤード、平均5・1ヤードとマズマズの成績を残したが、課題が2つある。ブロック力とファンブル癖。日常的に使用されるブリッツをブロックするRBがいないとQBの寿命は短縮する。さらに、2・5%のファンブル率ではボールコントロール戦術が根底から覆る。
 オーウェンズとストリートが去ったWRは、昨年の4巡指名のロイド、今年の1巡指名ウッズがスタートする。ウッズはポジションレシーバー、ロイド技巧派。攻撃ラインはCニューベリーがすべての核。激しいランブロックをこなし、知性的にラインコールを担当、守備ラインのタフネスとメンタリティを持っている。
  今回の騒ぎの元凶の1人、ヤングは守備ラインの長老、ハードワ

 

  ークとクイックネスは衰えない。今年のチームの心臓にあたるのがLBで、中心はプロボウル選手のOLBピーターソン。鋭いブリッツ、RBのパスカバー、スピードを生かしてSも兼任できる、ユニークな才能の持ち主。MLBスミス、RLBアルブリッチも能力が高い。ベテランSパリッシュをリーダーとするDBには技術レベルの高いCBプラマーもいる。
  キッキングは要向上。
  若い攻撃は経験不足。守備の努力は認めるが、層の薄さは隠せない。エリクソンの2年目の努力次第だが、去年の7勝よりは大分勝ち数が大分減るのは避けられない。
 

2004年度プレイオフ
出場チーム予想


  各地区は予想順位順にチーム楽書きしてあります。
  プレイオフ出場は、AFCは、ペイトリオッツ、レイヴンズ、コルツ、ブロンコズ、タイタンズ、チーフス。NFCは、イーグルズ、ヴァイキングズ、パンサーズ、シーホークス、カウボーイズ、パッカーズ。
  第39回スーパーボウル カウボーイズがレイヴンズを倒し、6度目の優勝をとげて欲しい(希望)。
  今年は例年のパターンより1週遅れ、第39回スーパーボウルは2005年2月6日(日)、フロリダ州ジャクソンヴィル・オールテルスタジアムで開催。乞う、ご期待。
(なお、日テレ=NTVは毎週(木)深夜『NFL倶楽部』、月1回(土)深夜に月最優秀試合を放映。また、CS放送G+では週4試合NFL放送を完全ノーカット版で放送中です。ぜひごらん下さい) 後藤完夫

 

 

back