ベテランバック高額優遇!

2バックシステム普及で
オフにニュートレンド

Football galvanizer
Sadao Goto
(TOUCHDOWN PRO2007年3月発売号より転載)

 コルツはマニング、マシス、フリーニーの契約を調整して1千万ドル弱のサラリーキャップスペースを造ったが、この分は現有選手にバラまく予定。ベアーズも1千6百万ドルのスペースは自チーム用、2千万ドルがあるペイトリオッツはなにか動きがありそう。1千3百万ドルスペースのセインツも守備選手獲得に乗り出しそうだ。


 本格的なオフシーズンに入り、選手の移動が話題の中心になっているが、ここに来て関心を集めているのがランニングバックの去就である。
  発端はタイタンズのRBトラビス・ヘンリー。昨年1311ヤードを走り、一躍看板選手になった彼だが、オフの交渉でチームと折り合わず、3月3日にリリースされた。そんな彼に飛びついたのがブロンコスで、5年契約でギャランティーボーナスとして1千2百万ドルの好条件を出した。エージェントであるインゲルハードは「タイタンズは彼の引き取り手はないと判断したようだが、それは判断が甘かったな」と快心の笑顔。
  28歳と盛りを過ぎかけたRBへの過剰な投資と思われたが、じつは時代は変わっていた。近年のNFLでは、1人のバックにラッシングの全責任を負わせるのを嫌い、バックフィールドをプラトーンシステムでまわすのが常識となってきた。その結果、マイク・ベルの負担を軽減するために補強されたヘンリーのようなバックが重宝されることになる。NYジェッツは小柄なレオン・ワシントンの負担を軽減するためにプロ7年目のトーマス・ジョーンズを獲得した。9年目のベテラン、アーマン・グリーンはフリーエージェントとしてパッカーズからテキサンズに移動して、有望新人であるワリ・ランディとチームを組むことになった。レイブンズのランを7年間支えてきたジャマール・ルイスはブラウンズとサインしたが、そこで彼は3年目のジェイソン・ライトまたはオクラホマ大のピーターソン(もしブラウンズがドラフト指名したら)のサポートを受けることになる。昨年のマイアミ・スーパーボウルでトップランナーとなった6年目のドミニク・ローズはフリーエージェントとしてコルツを離れ、レイダースでラモント・ジョーダンとペアを組むことになった。
  チームを移動しなくても、ベテランバックの評価は上がっている。ジャガーズのフレッド・テイラーは31歳の高齢だが3年間の契約延長でチームと合意した。昨年新人ジョーンズ-ドリューと組んだ2バック制が評価されたからだ。
  上記のバックスすべてが20歳代後半から30歳代前半で、昔なら、良いギャラを支払うチームを見つけるのに苦労した年齢である。しかし、今年の彼らは、効果の上がらないラッシング攻撃をなんとかワンランク上にあげたいチームの欲求から高額の報酬にありついた。
「すべてを一人にまかせたくないと考えるチームが増加するのは間違いない。シーズンに350回もキャリー出来るバックはそんなにいるもんじゃない」とAFCの関係者がコメントしている。「だから、このリーグでは良い成績をあげたかったら2人の優秀なQBが必要なように、もし勝とうとすれば優秀な2人のバックが欲しくなる」。
  昨シーズンのトップ4チーム、ベアーズ、セインツ、ペイトリオッツ、コルツを観察すればそれは証明できるはずだ。全4チームが最低150キャリーしたバックを2人ずつ持っている。プレーオフ出場12チームのうち8チームがRBのコンビネーションでシーズンを乗り切っていた。第41回スーパーボウルのMVPはQBペイトン・マニングが受賞したが、RBローズ(ラッシュ113ヤードラッシュ)と新人アダイ(ラッシュ77ヤード)にもその何分の一かはいくべきだと笑う関係者も多い。
  2バック制の魅力は明らかである。チームは相手の応じて異なったラッシング攻撃を展開することが可能になる。セインツの雷稲妻攻撃がその典型で、ベテランのマカリスターと新人レジー・ブッシュのコンビがどれだけ相手にプレッシャーを与えたか、想像に難くない。このシステムはまたシーズンを通じてRBをフレッシュに維持できることも大きな利点だ。コルツはアダイとローズにラッシュを分担させて負担を軽減、2人は完璧なコンディションでポストシーズンを迎えた。
  2バック制が普及すると30歳代のバックがより活躍をするようになるはずだ。去年で引退したジャイアンツのティキ・バーバーとファルコンズのウォリック・ダンの最近の記録をみればそれが立証できる。バーバーはプロ初期にはサードダウンバックとして限定した回数しかキャリーせず体力の消耗は少なかった。だから、引退前3年間(平均1006ヤード)でも最初の7年間(平均1211ヤード)とほぼ同じ成績を残せた。ダンもプロ生活の前半には他の選手を回数を分け合って走ったために、最近3年間でも平均277回、1221ヤードの高い記録を残している。去年のキャリー286回は彼の10年間の中でも最多の記録となっている。
 もちろん、これでワークホース(働き馬)型のバックがなくなるわけではない。トムリンソンかラリー・ジョンソンがいるなら可能な回数だけ走らせるのがベターだろう。じつは、去年も10人のバックが300回以上のキャリーを記録している。

 その中でも傑出していたのが、昨年416キャリーでNFL記録を樹立したチーフスのラリー・ジョンソンだった。試合平均26回は持ちすぎだと心配したが、ジョンソンはすかさず適切な対応をみせた。オフに専属トレーナーとして、ジョー・カリニを雇ったのだ。カリニは10年間のプロ生活をつねにトップコンディションで保ったティキ・バーバーのトレーナーだった。カリニは1980年代にニュージャージ州ストロンゲストマンのタイトルを6年連続で守ったパワーリフター、短い間隔で超重量を上げるバックス向きの方法を確立している。

back