HIT OR BE HIT
燃えろ、デトロイト

 Steelers  31 
Seahawks 27

DETROIT SUPERBOWL PREVIEW 


フットボールガルバナイザー
後藤完夫
(TOUCHDOWN PRO2006年1月31日発売号より転載)

 デトロイトでは、猛烈なハードヒットが連続する、パワフルな消耗戦が展開されるはずだ。プロフットのプロトタイプの肉弾戦である。
 シーズン前にこの顔合わせを予想した関係者は少ないはずだ。デトロイトのフォードフィールドで2月5日(日)開催される第40回スーパーボウルは、波乱のシーズンの最終決着にふさわしい初顔合わせである。

 NFC優勝のシアトル・シーホークス(西部)は新興の雄(といっても遅すぎた登場になるが)で、今季はレギュラーシーズンから絶好調で、13勝3敗とNFC最高勝率で、プレーオフの第1シードを獲得、本拠開催のプレーオフも危なげなく勝ち抜き念願のスーパーボウル初出場を果たした。
  一方、AFC優勝のピッツバーグ・スチーラース(北部)はつねに上位にランクされる強豪、70年代に築いた黄金期以降はNFLを代表する名門の一つとなった。昨04年は大物新人QBロスリスバーガーの登場で一気に15勝1敗と急上昇したが、オフの移動で主力選手を多数失い、今季は再建着手の年とみていた。ところが3連敗で7勝5敗と絶望とみられた中盤から連勝を開始、11勝5敗の最下位第6シードでプレーオフに滑り込むと、アウエーの連戦を勝ち上がり、ついに史上初となる第6シードでのスーパーボウル出場を果たした。スーパーボウル出場は6度目、4勝1敗と大試合には強い。
 初出場のタレント集団とドン底から這い上がった歴戦の強豪、と今季のチームカラーは好対照だが、戦力構成は酷似している。
看板だけで言えば、守備のスティーラース対攻撃のシーホークスとなるが、昨年のペイトリオッツ対イーグルスのようなフィネス(技巧的)対決は表面には出てこない。頑強でパワフルな正統派フットボールが共通のベースで、戦力構成別にみても共通点が多い。

優秀なヘッドコーチ
 スティーラースのビル・カウワー(48歳)はLB出身で守備指導と選手の意欲喚起には定評がある。92年に就任して同一チーム在籍14年は現役最長になる、ミスター・スティーラースとも呼ぶべき存在、史上最年少(当時38歳)で95年スーパーボウルに出場した(カウボーイズに17対27で敗退)。
 パッカーズのホルムグレン(57歳)はQB出身で、49ナース直流のウエストコースト攻撃の指導者。一時高校の教師をしていた教育志向のコーチで、門下から多数ヘッドコーチを輩出している。シーホークスは7年目だが、92年から98年に名門パッカーズのヘッドコーチとして活躍、スーパーボウルでは97年にニューイングランドを35対21で下し、翌98年はデンバーに24対31で敗退した、1勝1敗の記録がある。ヘッドコーチ暦は同じ14年になる。
 
ラッシング攻撃
 シーホークスは今期絶好調、リーディングラッシャーとなり、年間25TDのリーグ記録たて、リーグMVPにもエアらばれたタフで鋭いアレキザンダー(28歳、アラバマ大)が絶対的な存在で、プレーオフ2回戦では脳震盪で退場したが、選手権で絶好調で影響はなかった。LTジョーンズ(32歳、FSU)、LGハッチンソン(28歳、ミシガン)と左に並べた攻撃ラインリーグ最強といわれ、ラッシュランクはリーグ3位。
 スティーラースは伝統的にラッシングのチーム。ラッシュランクは5位だが、ラッシュ回数は34・3回で1位。確実にボールコントロールして相手の攻撃機会を奪う。スタートは加速のある俊足のパーカー(25歳、北カロライナ)、ショートを確実に取るにはBUSの異名を持つ巨漢のベティス(33歳、ノートルダム)と2人のRBを適宜起用する。プロ13年目のバスは今季で引退と見られ、両親の熱い声援が本拠観客席での名物になった。Cハーティングス(33歳、ペン州立)、Gファニーカ(29歳、LSU)がラインの中心で、絶妙なトラップブロックがある。

攻撃的な守備
  70年代に鉄のカーテンと呼ばれた強力守備の伝統を受け継ぎ、スティーラース守備はランク4位、カウワー直伝のLB陣の核はポーター(28歳、コロラド州立)、自在にポジションからハードヒットする長髪SSパラマール(24歳、USC)が象徴的存在だ。
 一方、シーホークス守備のランクは16位と低いが、売り物はリーグ最高の50サックを記録した攻撃的守備、軽量だが速い守備ラインとタツープ(23歳、USC)、ヒル(23歳、クレムソン)の新人LBコンビが活性化した。
 
安定した大型QB
 去年新人ながらそのリーダーシップで一躍注目を集めたが、プレーオフで判断力の未熟さを露呈したスティーラースの大型QBロスリスバーガー(23歳、マイアミ・オハイオ)は、今年飛躍的な進歩をみせた。冷静な判断と安定したパス精度でパッサーレーティングは3位、メインのレシーバーはタフなWRウォード。一方シーホークスのハセルベック(30歳、ボストンカレッジ)も理想に一歩近づき、レートは4位。教祖ホルムグレン直伝のウエストコースト攻撃で、イングラム、ジュレヴィシャスと多数に投げ分ける。両者ともに長身、脚力もあり、危機にも動じない。インターセプト数は共にわずか9回しかない。

 戦力的にはシーホークス優位だが初出場で平常心を保てるか、米国最大のスポーツイベントの興奮は桁違いである。大試合の経験と勢いからはスティーラースが優位だが、逆転へのキャッチアップ能力に不足がある。先制点の効果が大きく、序盤での守備の対応に注目したい。積極守備(TOB)、反則、キッキングが分岐点になるが、主力選手の負傷だけは避けてもらいたい。
 選手権試合終了した1月23日時点の予想としては、31対27でスティーラースといったのが妥当なラインだろう。
(今年は現地デトロイトから中継するのは日本テレビ系列だけのようだ。極寒のデトロイトらしいが、熱いフィールドの興奮を、楽しく発信したい。日本での放映は2月6日(月)の深夜になる。 )

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