Big Four
デトロイトへ疾走中!

フットボールガルバナイザー
後藤完夫
(TOUCHDOWN PRO2005年12月28日発売号より転載)

最も地味なスーパーランナー 
   強い守備に堅実な攻撃、これがフットボールの真髄と信じる、頑固な男たちが多い。そんな熱いマニアが今年大注目しているのが、最も地味なスーパースターといわれていた、シーホークスのエースRBだ。
  昨年わずか1ヤード足りずにリーディングラッシャーを逃したRBショーン・アレキザンダーが、今季は快調に走っている。
  去年の最終試合だった。残り試合時間2分でシーホークスは敵陣1ヤードに攻め込んだ。誰もが当然アレキザンダーのダイブを期待したが、ホルムグレン・コーチが送り込んだプレーはQBハセルベックのスニークだった。その後シーホークスは再び攻撃に回ることなく、試合終了、アレキザンダーの記録1696ヤードに終わり、ホームズ(チーフス)に1ヤードだけ及ばず、リーグ2位に終わった。
  この夏、練習開始前の個人ミーティングで、ホルムグレンはアレキザンダーに今季の課題として、「パスプロテクションと、ショートヤーデッジで穴へのクイックヒット」を向上させるように指示したという。傍で聞くと、どうも言い訳めいた言葉に感じるが、事実、今季は3ダウン・1ヤードでのラン成功率は、シーズン中途だが、13回で13成功とアレキザンダーがリーグ1位の成績を記録している。
  2000年、RBとしては4番目の指名で入団した彼は180センチ、104キロといわば並のサイズ。トムリンソン(チャージャース)のような洗練された動きもなき、脚も速くない。ドラフト前のワークアウトでは40ヤード4秒65と、タイトエンド程度の記録で周囲を落胆させた。その彼の武器は、広いフィールドヴィジョンと鋭いカットである。同僚でプロボウルLTォルター・ジョーンズは、彼の長所を「小さな穴を見つけて突破する能力」と語っていた。今季1668ヤードでリーグトップ、NFL記録にあと2つで並ぶ24ラッシングTDをあげている。
 シーズン前に長期契約の更改に失敗した彼は、1年間630万ドルに1年契約で出場している。もし、オフの再交渉が不調に終わったら、シーホークス最後の年になる可能性があるが、私見でいえば、シーホークスを去るのは避けるべきだろう。最近の彼の好成績は、もちろん自身の能力アップもあるが、今NFLで最も破壊力がある攻撃ラインの力に負うところも多い。とくに前述したTジョーンズとGハッチンソンの左サイドは激しく強い。
 アレクザンダーの走りに物足りなさを感じたのは、とくにぺリメータ(サイドライン)での粘りのなさだった。あっけなく場外に出る彼に10数年前のT・ドーセットが狡猾な動きがダブってよい感じは持てなかった。ところがその後、彼は自分の動きで穴を作るタイプでなく、穴を見つけて走る能力の持ち主であることに気がついた。ジョーンズに談話はまさにその証明である。
 一流まで後一歩で伸び悩んでいた彼に、やっと穴を開けてくれる強固な攻撃ラインが育ち、今一気に頂点に踊る出る環境が整った。だから、シーホークスを離れる手はない、そう感じている。
 たぶん、NFC選手権出場までは進むであろうシーホークス、機会があれば、彼のタフで頼りがいのある走りを見てほしい。

デトロイトへの先頭グループ
  2月5日、デトロイトの第39回スーパーボウルに出場するのはAFC選手権でブロンコスを破るコルツ、NFCがシーホークスを退けるパンサーズと、11月号(1月号)で予測した。15週が終了した12月19日現在、この4強が各チャンピオンシップに最も近い位置にいるのは間違いないようだ。
  AFCでは、チャージャーズのインサイド・パスラッシュにシーズン全勝の夢を断たれたコルツ(13勝1敗、AFC南地区)だが、実力的には最も安定している。36年ぶりのスーパーボウル出場へ、穴がない。
  一試合平均で、29・2得点(リーグ1位)、14・7失点(2位)。攻撃総計371ヤード(4位)=ラッシュ117・8ヤード(12位)、パス253・2ヤード(3位)。守備総計297・7ヤード(9位)=ラッシュ守備104・3ヤード(10位)、パス守備193・4ヤード(13位)。被サック16回(1位)、サック41回(5位)。被インターセプション10回(5位)、インターセプション17回(6位)(第15週終了時点、以下同じ)。
 積極攻撃と積極守備、爆発的な攻撃と前進は許すが要所のビッグプレーで点を許さない守備、ダンジー・へッドコーチ渾身の傑作。

 ブロンコズ(11勝3敗、AFC西地区)には、安定したラン攻撃がある。
 25・0得点(6位)、17・7失点(9位)。攻撃365・1ヤード(5位)=ラッシュ159・1ヤード(2位)、パス206・0ヤード(16位)。守備323ヤード(20位)=ラッシュ守備84・6ヤード(2位)、パス守備238・4ヤード(29位)。被サック19回(3位)、サック21回(31位)。被インターセプション6回(1位)、インターセプション18回(5位)。堅実に攻め、要所でボールを奪う積極守備。エルウエー時代から7年ぶりの出場になる。

 一方NFCでは、10連勝を続けるシーホークス(12勝2敗、NFC西地区)が万年優勝候補から、念願のスーパー初出場を狙う。
 29・1得点(2位)、16・9失点(4位)。
 攻撃381・3ヤード(1位)=ラッシュ156・1ヤード(3位)、パス225・1ヤード(12位)。守備312ヤード(16位)=ラッシュ守備99・9ヤード(7位)、パス守備212・1ヤード(24位)。被サック21回(5位)、サック45回(1位)。被インターセプション9回(3位)、インターセプション15回(11位)。安定した攻撃力、激しいパスラッシュが売り物。

 NFL最激戦のNFC南地区でトップを死守するパンサーズ(10勝4敗)には気迫がある。
 23・4得点(8位)、16・0失点(3位)。
 攻撃302・1ヤード(22位)=ラッシュ98・5ヤード(21位)、パス210・5ヤード(18位)。守備279・8ヤード(3位)=ラッシュ守備87・5ヤード(4位)、パス守備192・3ヤード(11位)。被サック24回(7位)、サック35回(9位)。被インターセプション15回(20位)、インターセプション21回(3位)。効率の良い攻撃と猛烈な積極守備。3年ぶりの出場を狙う。
  この結果、コルツがパンサーズを下して優勝する可能性が最も高い。私の強い希望として、ベンガルズ、ジャガース、ベアーズ、パンサーズといった守備のチームがなんとかデトロイトにたどり着いてくれれば、望外の幸せである。

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