I Love TIGHT ENDS

(続)タイトエンドになりたかった 〜修正版フィアレス・プレディクション2005〜

フットボールガルヴァナイザー
後藤完夫
(TOUCHDOWN PRO2005年11月30日発売号より転載)

 第11週終了、シーズン中盤を過ぎた。あらためてポストシーズンの修正予想、いわゆるフィアレス・ポストシーズン・プレディクション(独断的プレーオフ予想)をしてしまおう。
 AFCからの出場は、東地区は負傷続出ながら勝ち方上手で残るペイトリオッツ(第11週終了時 6勝4敗、攻撃9位、守備31位)。地獄の前半戦を、QBブレイディとベルチック・コーチの手腕で最少のダメージで切り抜けた。
 北部はM・ルイス・コーチが充実した守備を仕上げ、QBプーマーとジョンソン&ジョンソンでステップアップした攻撃でベンガルズ(攻撃3位、守備20位、ターンオーバーレシオ=TO1位+20)が優勝。スティーラーズ(攻撃24位、守備6位、TO3位+10)は強敵が残る日程に苦しみワイルドカードか。南部は11連勝と完全無欠のコルツ(攻撃2位、守備8位、TO8位+7)、守備で真っ向勝負するジャガーズ(攻撃18位、守備4位、TO3位+10)がワイルドカード。
 西部は、絶好調のランと積極守備(攻撃4位、守備17位、TO2位+14)のブロンコスが優位。チャージャーズ(攻撃6位)の追い上げはカスカスで届くか届かないか。
 シーズン前推薦したにもかかわらず下位低迷中なのが、北のレイヴンズ、西にチーフス。レイヴンズ(守備2位)は序盤のQBボウラーの負傷でつまずき、中盤にLBルイス、SSリードと大物中核が負傷して復活ならず。チーフス(守備25位)も主力LTロウフ、RBホウムズの負傷で戦力不安定のまま。

 今年は、NFCに復活の気配がある。東地区も前半から好調、64歳のパーセルズ・コーチの規律が浸透し守備好調のカウボーイズ(攻撃14位、守備5位、TO10位+3)とQBマニング弟が攻撃をリードするジャイアンツ(攻撃10位、守備23位、TO5位+9)、結局カウボーイズがワイルドカード出場だろう。
 北地区は、序盤は全チーム不振で負け越しても地区優勝出来ると噂されるほどだったが、中盤になって、ラヴィ・スミス・コーチのベアース(攻撃28位、守備1位)が守備力で6連勝中。スタートQBグロスマンがシーズン直前に負傷脱落して今季は雌伏の年と読んだが、穴埋めの起用した新人QBオートンが堅実プレーに徹してチーム力が急上昇した。
 南地区は大混戦、新人RBキャデラック・ウイオリアムスのボールコントロールとベテラン健在のカバー2守備でバッカニアーズ(攻撃21位、守備4位、TO14位+2)が急浮上、同じく守備とWRスミスの頑張るパンサーズ(攻撃25位、守備7位、TO6位+8)で優勝を争い、QBヴィックの脚力を計算できる戦力(ラン1位)にして堅実に勝ってきたファルコンズ(攻撃11位、守備16位、TO10位+3)が大ピンチ。
 最弱地区となった西部はRBアレクザンダーが好調のシーホークス(攻撃1位、守備15位、TO14位+2)が独走。
 シーズン前の推薦チーム脱落の言い訳をすれば、WRオーエンスがチーム不和で出場禁止、柱のQBマクナブが流行のスポーツヘルニアで今季欠場でイーグルスが脱落。パッカーズも負傷続出。カージナルズはパスに徹した攻撃作りでラン攻撃が貧弱になり、レッドゾーンでの得点力が急減して沈没した。
 プレーオフの結果、AFC選手権は、ブロンコス@コルツ、NFCはパンサーズ@シーホークス。2月5日デトロイトで開催する第39回スーパーボウルはコルツがパンサーズを下し優勝。というのが、現状でのタレントによる予想になる。

 今季、とくに私が楽しんでいるのはタイトエンド(TE)だ。
 優秀な攻撃タレントを持たない下位チームのチーム再建第一歩はチームプレーで向上させることが可能な守備固めである。第二に、堅実な前進と確実なボールコントロールが可能なラッシング攻撃を作り出すのが定石である。ここまで確立できれば、五分の勝率は可能だろう。しかし、50%以上の勝ち越しを狙うとなると、ラッシュを武器(アクション)にしたパッシング攻撃がセカンドステップとなる。そこで、もっとも導入しやすいのがTEの活用だろう。ラッシュではブロックを担当するTEを、ショートパス警戒と同時にラッシュの防御も兼務する守備陣(LBとSS)をターゲットにして走らせる。5割以上の勝率、プレーオフ出場を狙うあたりのチームには欠かせないキープレーの一つである。
 下位チームの台頭も目立つ今季、第11週までのレセプション(パス捕球回数)のベスト30をみれば、TEが7人も含まれている。28位(46回捕球)ヒープ(レイヴンズ)、19位(49回)にウイギンズ(ヴァイキングス)、LJスミス(イーグルス)、キニー(タイタンズ)。12位(54回)ゴンザレス(チーフス)、そしてミスターTEのゲイツ(チャージャーズ)が9位(56回)。
 さらに核心に絞って、決定力であるレシービングTDのベスト30をみれば、3位(7t)はゲイツ、以下7位(6t)ミラー(スティーラーズ)、20位(5t)セラーズ(レッドスキンズ)、25位(4t)マクマイケル(ドルフィンズ)と5人のTEがいる。(平均TD距離がわかればもっと明確になるが)レッドゾーンのもう一人の立役者がTEであることが、おわかりいただけるだろうか。

 彼らTEの、ラッシング攻撃との関係はチーム別の成績でみればわかりやすい。
 獲得距離によるラッシュ攻撃のチーム別ランク1位はファルコンズ、TEはご存知クランプラー(捕球43回)、2位のブロンコスにはTEではないが代役(FB)ジョンソン(4TD、平均9ヤード)、4位チーフスにはゴンザレス、5位ベアーズにはTEクラーク(2TD)、6位スティーラーズにはミラー、7位はコルツ(堂々と3WR)、8位チャージャースにはゲイツ、10位ジャイアンツにはショッキーがいる。

 TEをからませた攻守のやりとりは、楽しめる。
 たとえば、ゲイツの場合。TEをパスに出させない初歩のテクニックとしてジャム(チャック)がある。スナップ直後に守備選手がTEをヒットして、ルートに出るタイミングを狂わせる技術だが、ゲイツはすぐに対抗策を展開して、守備はさらに複雑な対応が必要となった。対抗策を紹介しよう。
 他のサイドへのシフト、スロットバックへのラインアップ、ワイドにスプリット、フルバックへラインアップ、スプリットバック体型のRBにラインアップ、フルハウス体型のRBのラインアップ、Hバック、上記のポジションからのモーションなどなど。
 2人の守備選手でゲイツをカバーするブラケットカバレッジは有効だが、この守備にも制約がある。たぶんNFLで最も優秀なバックであるRBトムリンソンを持つチャージャーズ相手にして、第1ダウン、第2ダウンには、ゲイツ警戒に守備2人を割けない。したがって、ブラケットは第3ダウンに展開することになる。
 それを証明する数字がある。チャージャーズが今季ゲイツに投げたパス合計74回(調査時点)だが、第3ダウンに投げたのはわずか19回にしか過ぎない。残った55回(74%)は、警戒の薄い第1、第2ダウンに投げられている。

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