スーパーボウル再戦!?
ペイトリオッツとイーグルスはデトロイトで再戦できるのか

(TOUCHDOWN PRO 9月号=7月31日発売号から転載)

2005年9月2日
 

 シーズンの足音が近づいてきた。
8月6日(土)東京ドームのアメリカンボウルで2005年度シーズンが開始する。今年度は、ニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC東地区)の史上初のリーグ3連覇への挑戦がメインテーマだろう。
すっかり実力伯仲の21世紀仕様となり、勝敗を決定するのはタレント(優秀な能力選手)の量でなく、勝負所のパフォーマンスとなった。いかに適材を適所に起用して適切な効果を引き出すか。そんな意味では、あるプレーのほんの一瞬のステップの遅れ、ランナーのボールの持ち方といった細部がシーズンを決定してしまう。勝負はディテールにあり、NFLは『コーチのリーグ』であるといわれる由縁である。
レギュラーシーズンまで1ヶ月。
昨年の二強、AFC、NFCチャンピオンチームに絞って、スーパーボウルへの連続出場への可能性をラフにさらってみた。大きな変貌はあるのか、昨年の熱戦はフロックではなかったのか。

  ペイトリオッツは変わらない
  2連覇、4年間で3度目のチャンピオンとなったペイトリオッツにとって、今オフに対応すべき最大の課題は、リリース(契約解除)で抜けたCBローやFAで移籍したGアンドルツイの穴でなく、3回の優勝を実践の責任者として支えた攻撃のワイズ(ノートリダム大ヘッドコーチに就任)、守備のクレネル(ブラウンズ・ヘッドコーチへ)の両コーディネーターの後任と噂された。
  しかし、今やリーグ史に残る名ヘッドコーチとなったビル・ベルチックと、コンビを組むGMのスコット・ピオリは、今オフに特別な対応策なしでシーズンを迎えた。ベルチックは53歳、フランチャイズQBトム・ブレイディは27歳、看板の守備に中心であるDTリチャード・セイモアは25歳、選手層は去年より若くなり、陣容に不安なしと判断した。
 課題のコーチングスタッフだが、ペイトリオッツはもともと、リーグ切ってのゲームプランニング・チ
 

ームだ。想定できるすべての状況への対応を事前にコーチ会議で プランして試合に臨んでいる。完璧な準備があるので、クラッチシーンでの選択でも迷わない。クレネルが抜けても大きな問題はない。ただ、ゲームプラン会議ではブレイディの役割がより大きくなる。(ただし、ベルチックの攻撃コールが完璧かというと疑問詞がつく)
  守備コーディネーターには、母校ウェスリアン大の後輩で、自ら育てたDBコーチのエリック・マンジーニ(34歳)を昇格させた。カバレッジをディスガイズ(偽装)し、異なった角度からブリッツする複雑な守備戦術の後継者として選んだ。
  選手では、2月に脳卒中で倒れた守備の中核ブルースキー(32歳)の状態が気になるところだが、LB陣の層は厚い。OLBマッギネスト、ヴラベル、ILBジョンソンはスーパーボウルのまま。コルヴィンが復帰、スペシャルチームで活躍するイゾもいる。ラッシュを追い、

  パスにラッシュし、バックをカバー、完璧なLBであり、しかも優れたリーダーシップを発揮したブルースキーの代役を誰にもつとまるまいと思っていたら、さすがベルチック適役を見つけてきた。シーホークスのチャド・ブラウン(35歳)である。
  チーフスからビーゼルも捕球して、3−4守備安泰である。
  未確定要素もあるが、戦力的には昨年並み。となると、プレーオフを厳寒の本拠で開催出来るかが、ポイントとなる。表面上のレギュラーシーズン日程はリーグ3位と厳しいが、AFC東地区の3チームがいずれも再建途上で、ここで勝利数を稼げそうだ。となると、最近2年間のように、11月7日(月)のコルツ戦が、夢のスーパーボウル3連覇への大きな鍵を握ることになる。スーパーボウルへのハングリー度が大きな要素なる、出場確率は51%とみておこう。
  準備は完璧か、イーグルス?
  念願のスーパーボウル出場を果たしたが、初優勝までには届かなかったフイラデルフィア・イーグルス(NFC東)だが、大きなトラブルなく、新たなシーズンを迎える。雌伏数10年でスーパーボウル出場を果たしたチームは、必ず選手からの報酬アップ問題で契約交渉がこじれるのだが、イーグルスでは大きな問題はでなかった。『人事の』と冠詞がつくアンドレ・リードのヘッドコーチングの真骨頂だろう。
  WRオーエンス、RBブルックス、DTサイモンのミニキャンプ・ボイコットとか小トラブルは起こったが、痛手はない。それより、LBトロッターがチーフスやベンガルズからのオファーを拒否して守備の中核に残ったのが大きい。ブリッツ愛好家であるジョンソン守備コーディネーターにとっては、LBリース、ウエインがFAで抜けたのは残念かもしれないが、去年急成長したDB陣が健在なので問題は少ない。
 

 最近4年間はスーパーで敗戦したチーム―パンサーズ、レイダーズ、ラムス、ジャイアンツ―は次年度のプレーオフ出場を逸して、悪いジンクスが定着しつつあるがイーグルスにその気配はない。
  となると、NFC随一のQBドノバン・マクナブ(29歳)、Kエイカース、Pジョンソンが中心のNFLトップのスペシャルチーム、そして優秀なコーチスタッフのいるイーグルスのスーパー連続出場の客観的な可能性は60%ぐらいと見て良いだろう。

  去年のイーグルスはほぼ完璧だった。
  スーパーを逸したのは、スーパー出場に焦点を絞りきったレギュラーシーズンのつけと、優勝への執着心がペイトリオッツ及ばなかったことからだろう。自らプレーコールするリードにプレーセレクションに幾つかのミスがあった。すべてあわせてメンタルな準備不足と言い切ってもよい。

    じつはベルチックばかり脚光を浴びたが、リードヘッドコーチの手腕、とくにゲームプランに関して一流である。リードは、プップトークや壁面にスローガンを大書するようなララタイプ(熱狂的な指導)ではない。彼が求めるのは、ディテールへ配慮した準備と優れたゲームプランである。彼らの勝利のほとんどは(水)、(木)の(実践シュミレーション)練習の成果だった。だから、昨年の敗戦は、人一倍リードにとっては堪えたことだろう。
  今期の日程はソフトだ。NFCでは図抜けた存在で伯仲の対抗はいないが、ファルコンズに加え、パンサーズ、カウボーイズといったサプライズチームが出現してくるに違いない。
   
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