ニューオーリンズへの道
December
アンプリディクタブル???ナイナーズ!

 兄 が上がったら、弟が落ち、弟が登れば、兄が滑った。うまくいかない兄弟マッチアップだが、確実に結論の日は近づいてきた。2月3日、ニューオーリンズの スーパーボウルまで、あと1か月とちょっと。12月17日、私の選んだプレスーパーボウルは、予想したように、仰天の展開となった。


延長連発!
Week 12 
11月22日、25、26日

 第2Qだけで35点、記録的な大量点をあげ、ペイトリオッツ(AFC東地区)がジェッツを49対19と圧倒した。6分間に4TD!原動力はジェッツから 5ターンオーバーを奪ったディフェンス、TEグロンコウスキが前腕手術で最低1か月欠場となり、酷評を受けていた守備が奮起した。試合をコワしたのは ジェッツの意欲不足、4勝7敗と大きく負け越して、生気がない。
 グロンコウスキが抜けたが、パッツ攻撃のほとんど(攻撃時間の75%=68プレーのうち51プレー)は2TE体型。ブロックを主とするYにグロンコスの かわりにフィールズを起用、Fと呼ばれるフレックスにはエルナンデスが入った。RBにはリドリーとバリーンが頑張り、リドリーは今季939ヤード。しか し、最近の注目は昨年の指名2位のバリーンで、今週もなんでもないスクリーンパスを83ヤードのTDに持ち込む爆発力をみせた。マクダニエルOCも「機会 を必ず生かせる選手」。これで去年は試合平均110ヤードだったラッシュが11週終了で143・7ヤードと6位まで上がった。5連勝中の攻撃はじつに 424ヤード。
 課題だった守備も層が厚くなってきた。Sチャン(肩負傷)が戻り、3つのパッケージがジェッツ戦では使用できた。ノーマル・ニッケルパッケージ(最終ド ライブでは42%)では、CBアーリントンがスターと呼ばれるスロットコーナーに入り、チャンはビッグニッケルと呼ぶ5人目のバックとなりTEケラーに対 応した。LBハイタワーとスパイクスを下げ、アーリントンとSテーボン・ウイルソンが入るダイム・パッケージは1回だけ。これで5奪取は個々のレベルアッ プが証明される。AFC東で8勝3敗、次週ドルフィンズに勝てば早くもプレーオフが決定する。
 この2年のスーパーボウル優勝の対決は、前半にCBブラウンとDEピエールーポールの2奪取で31対10とリードしたジャイアンツ(NFC東)が北の パッカーズを38対10の大差で下した。ジャイアンツのゲームプラン勝ち、シーズン後半にみせるジャイアンツの完成度の高さには恐れ入る。
 フォーティナイナーズ(NFC西)は負傷から回復したスミスを抑えて、ケイパニックをスタートQBに初起用した。231ヤード、1TDパス、そしてカ レッジ仕込みのゾーンリードでTDランをあげ、2年目のケイパニックは快心の笑顔。31対21とセインツを封じたのは、5サックと2インターセプトでQB ブリーズを抑えた守備の力が大きい。8勝2敗1分で地区首位。ハーボー(弟)HC絶好調。
 ハーボー(兄)HCが引っ張るレイブンズ(AFC北)は大苦戦した。10対13の劣勢で、試合終了1分37秒前、第4ダウン残り29ヤードの絶体絶命の ピンチに、右フラットパスを捕球したRBライスが8人抜きの快走をみせて、同点FGへ。延長1分7秒残りで、Kタッカーが38ヤードFGを決め、16対 13でやっとこの5連勝、地区首位。しかし、この粘りはきっかけになる。
 テキサンズ(AFC南)がライオンズを延長5Q残り2分31秒に34対31で下し、10勝1敗とAFC勝率トップを守った。ライオンズのHCシュワルツ がまたもお騒がせ、3Qに得点リプレーに向かう審判にチャレンジする手続きミスで、無効TDを有効にしてしまうミスが敗戦に結びついた。


決定!プレーオフ4チーム
Week 13
11月29日、12月2日、3日

 ペイトリオッツが23対16でドルフィンズを下し、9勝3敗でAFC東地区の優勝を決めた。QBブレイディは40投24成功と並の出来だったが、終盤 4Qに16プレー、7分間のボールコントロール攻撃で、相手の意欲を奪った。AFC南のテキサンズは24対10でカージナルスを一蹴、11勝1敗でプレー オフ出場を確定。ブロンコスは31対23でバッカニアーズを下し絶好調の7連勝、AFC西地区優勝を決めた。
 AFCでは3チーム出たが、NFCでのプレーオフ決定は1チームのみ。ブリーズから5インターセプトを奪い、23対13でセインツを下したファルコンズ が11勝1敗でプレーオフ出場を決めた。期待のフォーティナイナーズは残り3分で、3試合連続先発のQBケイパニックのピッチミスで逆転され、なんとか追 いついた延長残り26秒に、54ヤードのFGを決められ、カーディナルスに13対16で敗れ8勝3敗、決定は翌週に持ち越された。

 一気に見えてきたポストシーズンだが、スーパーボウルへの道はいくつもある。
 ぺイトリオッツは11月、12月に強く、昨年は5勝3敗から8連勝して、一気にスーパーボウルに駆け上がった。今年はブレイディに加え、しぶといラン攻 撃が加わり、TEグロンコウスキの負傷をカバーするWR陣も育った。ただし、今年のAFCは明らかに水準アップしている。テキサンズは最もバランスのとれ たチーム力、弱点は経験不足、そしてA・ジョンソン以外のWRが薄い。ブロンコスは勢いがあり、もちろんQBペイトン・マニングが存在が絶対だが、フォッ クスHCが育てたLBミラーを核とする守備、キッキング。そして多様な勝ち方でわかるように、まだまだ戦力は上昇中。AFCの残りは、レイブンズ、ス ティーラーズ、コルツだろう。
 NFCのファルコンズは、2年前13勝3敗のトップシードで勇躍プレーオフに臨んだが、最初の試合でパッカーズに21対48と大敗、昨年も初戦でジャイ アンツに2対24で敗れた。勝負強さがついたのか。NFC残り5チームだが、終盤の勝負さがある伝統チームが強い。東部は大試合に強いQBと強いパスラッ シュそして経験もあるジャイアンツ。北部は共に多数の負傷に悩むが、攻撃のパッカーズ、守備のベアーズ。QBケイパニックのビッグプレー能力と脚力を選ん だフォーティナイナーズが優位、残る1つはシーホークスだろうか。
 残り4試合、シーズン第4Qに入ったNFL、上記12チームに割って入るのは、3連勝中のレッドスキンズ、4連勝中のベンガルズか。(12月3日)


主力の負傷で、決定なし
Week 14
12月6日、9日、10日

 プレーオフ出場決定の、あとが続かない。各地の降雪が報じられる中、今週の決定なし。混戦の証明か、気になるのは強豪の主力の負傷欠場だろう。とくに保 守派を泣かせているのが、スティーラーズ(AFC北地区)とパッカーズ(NFC北)のもたつき、スティーラーズはQBロスリスバーガーが負傷から復帰した が24対34とチャージャーズ(AFC西)に完敗してまだ7勝、パッカーズはライオンズ(NFC北)に27対20でやっとの連勝で9勝4敗。1敗で独走し ていたファルコンズ(NFC南)も、QBニュートンがランとパスで頑張った同地区最下位のパンサーズに30対20と、ほぼ完敗。
 そんな中、ぴったりスーパーボウルを意識しているのが、ペイトリオッツ(AFC東)とフォーティナイナーズ(NFC西)。ケイパニックが4試合連続ス タートQBとなったナイナーズは地元で27対13とドルフィンズを下し、9勝目。ケイパはカレッジ仕込のゾーンリードで50ヤード独走TDをみせたが、 ファンはRBゴアの1000ヤード到達と、DEアルドン・スミスの2サック(今季19・5Sでリーグ1位)と、攻守のバランスを喜んでいた。ナイナースの HCである、弟ジョンとのSB対戦を夢見るレイブンズのHCジム・ハーボーだが、レッドスキンズに延長で28対31と敗れ、こちらは9勝で足踏み。
 活気があるのはマニング兄弟がらみの4チーム、兄ペイトンがQBだけでなくチームの大黒柱となったブロンコス(AFC西)は、レイダースを26対13で 下し8連勝、ペイトンは通算パス成功数を5000とした。ペイトンが抜けたコルツ(AFC南)では、新人スタートQBラックが13点差を逆転、27対23 でタイタンズを下し、3連勝。今年彼の4Q逆転勝ちは6試合目で、史上最多の年間7試合まであと一つと迫った。技術、精神共に安定したラックのチームにな りつつある。マニングの弟イーライのいるジャイアンツ(NFC東)もシーズン序盤負傷欠場した主力が戻り、セインツに52対27と大勝して、8勝で地区 トップ。イーライは4TDパスを投げた。
 11勝のテキサンズ(AFC南)と9勝のペイトリオッツ(AFC東)が対戦、今季のAFC選手権前哨戦といわれたマンデイナイト試合はパッツの圧勝だっ た。QBブレイディからTEエルナンデスへの2TDパスで前半を21対0とパッツがリード、QBシュワルツのパスを247ヤード、RBフォスターのランを 46ヤードに封じた。終盤はブレイディが交代、二軍のマレットが出場した。


興奮の結末(12月版)!
Week 15
12月13日、16日、17日

 まずはプレーオフ出場を決めている、絶好調のブロンコス(AFC西)に触れねば、ならない。QBペイトン・マニングが大きな核となり、攻撃だけでなく 守、蹴のレベルアップも大きく、つまりチーム全体が文句なくスケールアップした。間違いなく、スーパーボウル出場への第一集団にいる。
 15週の対戦相手は、レイブンズ(AFC北)。すでにプレーオフを決定している強豪だが、最近2試合は攻撃が不調で、今週から新OCにコールドウエルを 起用した。育ての親と対戦したペイトンは28投17成功の204ヤードで中の下の成績だったが、かわりに守備がモメンタムをブロンコスに持ち込んだ。2Q エンドゾーン直前に攻め込まれたが、QBフラッコのパスをCBハリスがインターセプト、チーム史上最長の98ヤードのリターンTDをあげ、17対0とし て、ボルチモアの意欲を砕いた。34対17で9連勝、11勝3敗とした。レイブンズは3連敗で9勝5敗とチーム状態は最悪となった。
 パッカーズ(NFC北)が地区宿敵のベアーズを21対13で破り3連勝、10勝4敗で地区優勝を決めた。QBロジャーズーとWRジェームス・ジョーンズのコンビで全TDをあげた。パッカーズは北地区対対戦に12連勝。
 ジィイアンツ(NFC東)が地区優勝を決めているファルコンズ(NFC南)に0対34と、96年以来のレギュラーシーズン完敗負けを喫し8勝6敗、追い 上げを期待するニューヨークっ子を嘆かせた。12勝2敗となったファルコンズはプレーオフを通じた本拠開催権まであと1勝。QBライアンは28投23成 功、82%の高成功率だった。
 1万人がテキサスに駆けつけ、黄色タオルを振ったが、延長の末にスティーラーズ(AFC北)はカウボーイズに27対24で敗れて7勝7敗、プレーオフは 遠くなった。ロスリスバーガーのパスがインターセプトされて、FGの機会を与えた。カウボーイズはRG3を負傷で欠きながら5連勝のレッドスキンズ、ジャ イアンツとNFC東トップに並ぶ8勝7敗、大混戦。
 これでプレーオフ決定は6チーム。AFCでは、地区優勝がペイトリオッツ(東)、テキサンズ(南)、ブロンコス(西)、プレーオフ出場がレイブンズ(北)。
 NFCは地区優勝パッカーズ(北)、ファルコンズ(南)。

 そして迎えた日曜日夜、9勝3敗1分けのフォーティナイナーズ(NFC西)が寒雨のボストンに乗り込み10勝3敗のペイトリオッツ(AFC東)と対戦し た。スーパーボウル前哨戦といわれ全米が注目した一戦は、全米テレビ中継で延べ5千8百万所帯が視聴、今年最高の視聴者数を記録した。
 試合は3Q終盤まで31対3とナイナーズが圧倒した。そこまでのブレイディのパッサーレーティングは僅か29・2。そこから、パッツが奇跡的な追い上げ を見せた。約16分間に4TDをあげ、4Q8分には31対31と追いついた。大窮地のナイナーズを救ったのはQBケイパニックだった。新人KRジェームズ のリターンで得た好位置から、左サイドラインのWRクラブツリーにパスを通し、応えたクラブツリーがブラウンを振り切って快走、38ヤードの勝ち越しTD をあげた。FGの応酬のあとのオンサイドを抑えて、ナイナーズは41対34で劇的な勝利を挙げた。この結果、ナイナーズはプレーオフ出場が確定した。寒雨 と激しい打撃でボールが飛び出るシーンが続き、幾度となくレッドフラッグが投げ込まれた。ボール喪失はナイナーズ2、ペイトリオッツ4。攻撃はナイナース 383ヤード、パッツ520ヤード。ケイパニックは25投14成功、4TD、1インターセプト。ブレイディは自己記録となる65投で36成功、443ヤー ド、1TD,2インターセプト。反則はナイナーズ8回73ヤード、パッツ6回88ヤード。
 ナイナーズのハーボーHCは「大きなチャレンジだった。多数のプレーを成功させた」と安どの表情。開始直後から最新カレッジ戦術を前面に出し、次々と成 功させた。リードオプション体型(銃器による重大事件多発に配慮したのだろう、米国メディアからピストル体型の表現は消えた)、3×1体型からプルGを多 用して、パッツ守備を手玉に取った。しかし、パーソネル固定でパスに対応した疲労とプレスからカバッレジに切り替えた影響で、後半の守備運動量ががくんと 下がり、大量失点につながった。
 一方パッツのベルチックは、「ミスが多かった」と言葉少な。パッツは2回のファンブルですべてボールを奪われた(ナイナーズは6回ファンブルで失ったの は1度)。後半序盤にはターンオーバーから17秒間で14点を失った。前半7度のサードダウンを1回もクリア出来なかった攻撃にも戦術的な疑問が残る。 QBブレイディも、厳しい表情で同じお言葉を繰り返した。非公式な記録だが、 パッツのレシーバーの捕球ミスは5回、落球率は8%になる(ナイナースは落 球1、率は4%)だった。

 貴重な勝利をものにしたナイナーズだが、自慢の守備に限界も見えた。ミス多発で自滅したパッツ。両者に大きな課題が残った。TEグロンコウスキーが復帰するだろう、2月3日には、ニューオーリンズでの再戦はあるのだろうか。(12月19日)


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