ニューオーリンズへの道
November
最強対決?兄弟対決!

  後半戦に折り返した。2月3日ニューオーリンズで開催される第46回スーパーボウルの最も近くにいるのが、1敗を守るAFCのテキサンズとNFCのファル コンズ。レイブンズとフォーティナイナーズも夢の兄弟対決をあきらめてはいない。ブロンコスとジャイアンツの現役兄弟QB対決も可能性は十分。そして、今 年も終盤に主力を負傷で失ったペイトリオッツは突き放されるのか。

マニング(兄)2年振りのトップ・パッサーへ
Week 8
10月25、28、29日
 ボトムアップで大接戦となった12年NFL、折り返し第8週を迎え、上位チームは揃って、確実な1勝を狙う保守作戦に切り替えた。それだけ、厳しい今季である。
 NFC南地区のファルコンズはリーグ唯一の全勝を守った。5年目のQBライアンが安定したパスで3TD、29投22成功262ヤード。噂されるリーグ MVPに向かって順調はペース、イーグルスを30対17で下した。開幕7連勝はチーム創立以来初。一方、3勝4敗となったイーグルスは、QBビックも並の 記録で、リードHCがバイ明けに負けたのは史上初初といったマイナーな話題しかない。
 NFCで続くのは北地区勢。まず、6勝1敗のベアーズ(北)。パンサーズのQBニュートンのパスで追い詰められたが、CBジェニングスのインターセプト リターンTDで息を吹き返し、Kゴールドの41ヤードFGで逃げ切り、獲得距離は僅か210ヤードで、チーム攻撃成績も26位で、課題は残る。しかし平均 失点が14点と図抜けて少ない。パッカーズ(北)も24対15で、ジャガーズを下し5勝3敗としたが、WRジェニングス、ネルソンの看板のWRが負傷欠場 して、獲得距離は僅か238ヤードだった。バッカニアーズに17対36で敗れ、5勝3敗となったバイキングスだが、攻撃22位、守備11位と成績は並、 20点以上の得点をあげれば5勝2敗。ESPNのサマンサ・スティールとの交際が話題だが、レーティング16位のQBポンダーのいま一歩の奮起が鍵だろ う。WRハービンはレシーブ距離リーグ4位。
 ジャイアンツ(東)は手堅い。434ヤード獲得ただし3被インターセプトと、相変わらずQBロモが一人芝居を続けるカウボーイズを29対24で下し、6 勝1敗。JPPのインターセプトリターンTDが光った。3勝4敗となったカウボーイズだが、マニアにはTEウイッテンが18捕球167ヤードと活躍したの が慰めか。
 AFCでは、今秋はバイだった、テキサンズが6勝1敗で筆頭。攻撃9位、守備3位、QBシュワブ(レーティング)9位、RBフォスター(距離)3位、 LBのJJワッツがサック1位(9・5回)と人気者が揃っている。AFC勝率1位には、ベアーズ、パッツ、バイキングの3試合が難関か。
 
 スーパーボウル出場を狙うAFCのペイトリオッツ(東)、NFCのフォーティナイナーズ(西)も前半戦の苦戦を通じて、今季のスタンダードゲームプラン を確立してきた。パッツはラムズに後半の大量点で45対7、5勝3敗へ。ロンドン開催のこの試合、2TDをあげたTEグロンコウスキがバッキングガム宮殿 警備兵のアクションを見せ、観客の歓声を誘った。
 NFCの49ナーズ(西)もカーディナルス相手に石橋をたたく慎重な取り組みで、24対3と完勝、6勝2敗とした。QBスミスが15投で14成功という驚異的な成功率を記録した。
 注目なのは、今週34対14でセインツを下し4勝3敗とした、AFCブロンコス(西)の15年目のQBペイトン・マニング、今季のパスレーティングを 109・0として、2年振りにリーグ1位に顔を出した。まさに並ではない。以下、パッカーズのロジャーズ、ファルコンズのライアン、49ナーズのスミス、 スティーラーズのロスリスバーガー、パッツのブレイディと、6人が100以上を記録している。次点は97・3のRG3(グリフィン3世)。


パッツ前半のMVP
Week 9
11月1、4、5日
 ファルコンズが19対13でカウボーイズを下し9連勝。ペイトリオッツ、フォーティナイナーズ共にバイ(休場週)で試合なし。そこでよくある企画だが、地元紙が特集した、ペイトリオッツの前半戦に活躍した選手を紹介しよう。
 「改良する余地はまだまだある、前半を終えて、これを後半に生かしたい。バイでそれに身に着けるつもりだ」、会見したブレイディはこう前半を振り返った。
 シーズン前半の攻撃のMVPに選ばれたのは、RBスティーブ・リドリー。勝った試合では平均115ヤードを走った。一方、負けた試合では平均45ヤード。前半で合計47のFD(ファーストダウン)獲得は、NFLのRBで1位である。
 守備のMVPは、新人DEのチャンドラー・ジョーンズ。守備主力のDEニンコビッチが前半3試合欠場した穴を埋めた。6サック、3FF(ファンブル フォース)、QBヒットは11だった。ランにも強く、守備スナップの92%にフィールドに出場、頼れる3ダウン・プレーヤーとなった。
 ベストゲームは、45対7でラムズを下した試合、攻撃は473ヤード、ブレイディはヒットを受けていない。
 トロイ・ブラウン賞は、ドラフト8巡の下位指名入団ながら、WR、CB、PRをこなし、努力でプロボウル出場、15年間現役をつとめた名選手の名前を冠 した、いわば努力賞。受賞はCBデビン・マコーティ。双子の兄と共に、ラトガース大時代から冷静な対応で知られて、初年度は11インターセプト、負傷から カムバックした今年の復活に贈られた。
 優秀アススタントコーチ賞は、OL担当のD・スカーネッキア。ペイトリオッツ22年目、62歳の大ベテラン。今季は絶対エースだったLTライトが引退、 RTファルマー、Gマンキンスが負傷、負傷上がりのGウォーターズが練習不足といった大ピンチの前半戦を乗り切った指導力は高い。


ファルコンズの1ヤードの悪夢
Week 10
11月8日、11日、12日
 シーズン後半に入り、各地で気迫のアップセットが連続した。
 まず無敗だったファルコンズが、NFC南地区のライバルであるセインツに敗れ、リーグから全勝が消えた。壮烈な攻撃戦の主役は、両チームのTEだった。 ファルコンズのゴンザレスが11回で122ヤード、一方のセインツのグラハムが7回で146ヤード(キャリアベスト)、両者ともに2TDをあげた。投げ 合ったQBブリーズは298ヤード、ライアンは411ヤード。時間切れ寸前に、ライアンのパスを、セインツCBグリアが飛び込んで防ぎ、31対27でセイ ンツが逃げ切った。セインツは4勝5敗、プレーオフめがけて這い上がってきた。 
 ファルコンズの敗戦で浮き上がったのが、勝負所のショートヤーデッジの壁。平均176ヤードを許し、ラッシング守備リーグ最低のセインツを相手に、切札の重量RBターナーを生かせない。
 17対28でセインツ陣1ヤードまで攻め込んだ終了2分前、第2ダウンでTEゴンザレスへのパスが叩かれた。第3ダウンにRBターナーが走らせたが1ヤードの後退、第4ダウン、ライアンがWRホワイトに投げたパスもカットされた。
 昨季も決定的な場面でセインツに止ねられ、プレーオフではジャイアンツの堅陣を突破できなかった。補強を攻撃ライン向上に絞り、ドラフトでは上位2指名 でOLを獲得、攻撃ラインコーチも入れ替えた。9週までは完璧に見えたが、完全な克服ではなかった。QBライアンは「ほんの少しだけ足りなかった」と唇を 噛んだが、短距離の確実な前進は容易なようで難しい。

 AFC西のブロンコスは地区王者の風格をつけてきた。QBペイトン・マニングが301ヤード、通算420TD目を記録して、ファーブに次ぐ史上2位へ。 今季絶好調のLBV・ミラーがサック、ファンブルフォースに活躍、ホリデイが76ヤードのパントリターンTDで、マニングを助けた。パンサーズを倒し、6 勝3敗。15年目を迎えて進化するペイトンには、ワインにたとえてビンテージ(優良)の肩書を贈りたい。
 AFC南のコルツはガンで入院したHCパガーノに捧げるように、情熱的な勝利を重ねて6勝3敗へ。新人QBラックの2つのラッシングTDで前半を17対 0として、試合の主導権を握った。WRウエインの8回96ヤードの活躍もあり、27対10でジャガーズを下した。翌週対戦するペイトリオッツのCBアーリ ントンは、ラックを「平静心、自信、WRとの一体感がある。年齢は関係ない。良い選手は良い選手だ」と警戒心を高めていた。 
 全米が注目したのは、7勝1敗同士の月夜試合。AFC南のテキサンズが豪雨のソルジャーフィールドに乗り込み、NFC北のベアーズと対戦した。堅守とバ ランス攻撃と同タイプの対戦は、ベアーズのお株を奪う積極守備をみせたテキサンズが前半に4回ボールを奪い、RBフォスターがランで102ヤード、パスで もTDをあげ、13対6で7勝目をあげた。注目のサック1位のJJワッツは目立つ記録なしも、「いかなる状況、いかなるフィールドでも、我々がベストであ るのを証明した」と胸を張った。
 ラムズと対戦したNFC西のフォーティナイナーズは24対24で、ここ4年で初めてという延長引き分けのまずい試合をした。フォーティナイナーズは、 2QにQBスニークを試みたQBスミスが激打を受けて脳震盪、交代出場したケイパニックが4Qに17点を入れ延長に持ち込んだが、そこで策が尽きた。攻撃 距離は341ヤード対458ヤード、最近4試合は平均16点、攻撃の鈍化が気になる。6勝2敗1分と微妙な成績になった。ラムズがフェイクパントを2回成 功させたのは、長年の地区内ライバルへの対抗心からだろう。翌週(木)にはジョン・ハーボーHCが心臓の不整脈で検査を受けた。サイドラインでの感情剥き 出しのアクションが持ち味のハーボーに不安視する声も出たが、チームはスミス、ハーボー共に大事に至らずと発表した。

 AFC東のペイトリオッツもまずい試合だった。17対3と優位に立ったが、対抗意識むき出しのビルズの反撃に34対31まで追い上げられ、残り2分の FGで37対31と逃げ切った。ビルズに481ヤードを許した守備には、酷評が集まったが、ビルズの14回148ヤードの反則に助けられた。QBブレイ ディは38投23成功、237ヤード、2TD。
 パッサーレーティングの100以上には、P・マニング(ブロンコス)、ロジャーズ(パッカーズ)、ライアン(ファルコンズ)、ブレイディ(パッツ)、ロスリスバーガー(スティーラーズ)の順に5人がいる。

 今秋終了時点で、AFCの地区首位は、東から西へ、ペイトリオッツ(6勝3敗)、レイブンズ(7勝2敗)、テキサンズ(8勝1敗)、ブロンコス(6勝3 敗)。ワイルドカードを選ぶなら、スティーラーズ(6勝3敗)、コルツ(6勝3敗)。一方、NFCは、ジャイアンツ(6勝4敗)、シカゴ(7勝2敗)、 ファルコンズ(8勝1敗)、フォーティナイナーズ(6勝2敗1分)。パッカーズ(6勝3敗)、バイキングス、シーホークス(以上6勝4敗)が次点で並んで いる。


スミス、ロスリス、主力負傷欠場で、上がる悲鳴
Week 11
11月15日、18日、19日
 まさしく、サバイバル戦。チームの中核選手が相次いで負傷、デプス(選手層の厚さ)が勝敗に直結するシーズン終盤に入った。夏の過酷なキャンプの成果が、寒風の吹く晩秋のフィールドを支配する。
 今週何人の主力選手が欠場しただろうか。QBではスティーラーズのロスリスバーガー、ジャガーズのガバート、ベアーズのカトラー、フォーティナイナーズ のアレックス・スミス、カーディナルスのコルブがいない。欠場した主力を順不同で並べれば、パッカーズのLBマシューズ、Sウッドソン、WRジェニング ス、ジャガーズのRBジョーンズ・ドリュー、セインツのRBスプロールズ、ジェッツのCBリービス、WRホームズ、セインツのRBスプロールズ、テキサン ズのLBクシング、スティーラーズのSポラマール、レイブンズのLBレイ・ルイス…。スタンドからは悲鳴が上がる、NFLの終盤となった。
 スプレッドの攻防がメインとなり、構造的な弱点を徹底的に突き合う攻防で、取られたら取り返す乱戦や、息がつけないロースコアの攻防が混在する終盤と なったが、いずれの場合も、伯仲の僅差で勝負が決まった。今週も波乱の展開が多かったが、勝ったのは、やはり安定した戦力が評価されたトップチームだっ た。
 AFC。東地区のトップのペイトリオッツは、新人QBラックが安定してきたコルツを、59対24で下し4連勝で7勝3敗、2位に3勝の差をつけた。しか し、代償も大きかった。137ヤード、2TDをあげたエースTEグロンコウスキが前腕を負傷して中途退場、4〜6週の欠場となった。プレーオフには間に合 うというが、昨年終盤にもグロンコウスキが負傷、不十分な状態でスーパーボウルに出場したが、パッツの決定力は大幅に下がった。今季前半にTEエルナンデ スが負傷欠場している。
 NFLを代表する守備チーム対決で、常に接戦を演じる北地区のレイブンズ対スティーラーズの第1戦も緊迫した。レイブンズのLBレイ・ルイス、スティー ラーズのSポラマールと両チームの守備の核が負傷欠場。さらに、今季は孤軍奮闘の感があるスティーラーズのQBロスリスバーガーも肩の負傷でサイドライン だったが、強い対抗意識が溢れた、充実した試合。2QにジョーンズがパントリターンTDをあげたレイブンズが、攻撃のTDなしの13対10で3連勝、8勝 目をあげた。スティーラーズは開始3プレー目に、代替QBレフトウイッチがスクランブルTDをあげたが、以後2インターセプトを喫した。
 今季好調の南地区のテキサンズは、対抗心剥き出しの同地区のジャガーズと猛烈な点の取り合いで延長に入ったが、WRジョンソンがスクリーンパスで48 ヤードを走りTD、43対37、4連勝で9勝目をあげた。QBシュワブはキャリア最高の43成功、527ヤード、ジャガーズの新人WRブラックモンも7捕 球で236ヤード走った。
 西の本命となったブロンコスは30対23でチャージャーズを下し5連勝、7勝目をあげたが、注目のQBペイトン・マニングは序盤にインターセプトリターンTDを許すなど並みの出来、3サックで通算数を13、リーグ1位としたLBボン・ミラーが光った。
 
 NFCで勝負強さを発揮しているのは、北地区のパッカーズ。24対20と4Qに逆転しライオンズを下したが、QBロジャーズは236ヤード、2TD、1 インターセプトと並み。スタッフォードから72ヤードインターセプトリターンTDをあげたCBジェニングスに救われた。5連勝で、7勝3敗とした。南地区 のファルコンズも課題を抱えながら、23対19でカージナルズを下し、9勝1敗。
 月夜には、北地区で7勝2敗のベアーズと西地区で6勝2敗1分のフォーティナイナーズ、NFCの地区トップが対戦した。主戦QBカトラーとスミスが負傷 欠場、二軍のキャンベル対ケイパニックに注目が集まったが、ナイナーズが32対7と圧勝した。初のNFLスタートとなったケイパニックは、いつものストー ンフェイス(冷静で表情を変えない)で、「やりたいと思っていたすべてを発揮できた」。TEデービス、WRクラブツリーにTDパスを投げ、RBハンターの 14ヤードTDランなどで3Q中盤まで奪い、27対0と勝負を決めた。一方レイダース時代の11年以来のスタートとなったキャンベルは5サックと2イン ターセプションを浴びた。この日5・5サックを上げたのは、ナイナースのDEアルドン・スミス、昨年のドラフト1位指名、長身をしなやかに使うラッシュで 昨年も14・5サックをあげたが、今季は早くも15サック、前日1位に立ったミラーを抜いてリーグトップに躍り出た。
 ケイパニックの成功は、ジョン・ハーボーHCにとっては想定内だろう。「どのポジションも2人で競うのが望ましい」。スタンフォード大HC時代から、最 良の結果は競争から生まれることを立証してきた。スミス(8年目)とケイパニック(2年目)、2人が五分の状態からスタートQBを奪い合うことになる。
 ナイナーズは7勝2敗1分で西地区1位、ベアーズは7勝3敗と同率ながら、パッカーズに北地区首位を譲った。(20121121)



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