ニューオーリンズへの道
October in upsets
パッツ、49ナーズSBへの苦闘

SF&NE、完敗!
WEEK 3 (9月20日、23日、24日)

  早くも大混戦、3週終了時点で全勝はAFCはテキサンズ(南)、NFCはファルコンズ(南)、カージナルズ(西)と昨年同様の3チームだけ。予想外のカー ジナルズは、今週も人気のイーグルスを27対6とほぼ完封、試合平均13失点とリーグ2位の記録を残す守備力が原動力である。一番の安定感があるのは、攻 撃7位、守備2位のテキサンズ、RBフォスターのラッシング、期待のDEワッツが颯爽の5・5サックで、失点も14点と少ない。

 AFC優勝候補にあげたペイトリオッツ(西)が試合最終プレーで新人Kタッカーに31ヤードのFGを許し、30対31でレイブンズに逆転負け、早くも2 敗目を喫した。レイブンズでは、前日弟を交通事故で亡くしたWRトリー・スミスが鬼気迫るキャッチを連発、QBフラッコも冷静な追い上げを指揮した。
 代替審判の影響か、両チーム合わせて24反則がコールされる荒れた展開、逆転のキックも右アップライト上部をぎりぎりで通過、リプレー判定の適用外とい うことで、後味は悪かった。アップライトの上では、アップライトの最も外側のエッジ(端)の間をボールのすべてが通過しないとFG不成功となる。試合終了 直後、ベルチックHCが審判をつかみ抗議するシーンがあり、リーグから制裁がありそう。去年のNFC選手権ではKカンディフが時間切れでの32ヤードFG を外して、レイブンズが敗れていた。
 パッツはWRウエルカーが8捕球142ヤードと復活、QBブレイディも41投28成功、335ヤードでインターセプト0。スミスの集中力がレイブンズに 勝をもたらした。パッツは1勝2敗となり、勝率5割を切ったのは2003年第1週以来初めて。集中力を欠くパッツは並のチームに落ち込んだ。TEエルナン デスの負傷欠場が大きくパッツの攻撃を狭めている気もする、12年版複数TE攻撃は、アラバマ大方式のラン重視なのだろうか。

 NFCの優勝候補にあげたフォーティナイナーズ(西)も、バイキングス(北)に13対24で、今季初敗戦を喫した。攻撃距離は280ヤード対344ヤー ド、攻撃時間は33分対26分とほぼ完敗状態、地力をつけたバイキングスの完璧な準備にやられた。2Q終盤に、名手エイカースの42ヤードトライをブロッ クされ、残り1分でチーム史上最長の52ヤードFGを新人Kウォルシュに決められ、得意なキッキングで圧倒されたナイナーズは意欲を失った。ランと組み合 わせたショートパスを重視するナイナーズだが、バイキングスの前陣強調の守備を破る中長距離パスが不通、課題が浮き上がった。スミスの飛距離20ヤード越 えのパス成功は僅かに1、しかもこれが今季初。ちなみに20ヤード以上今季最多はフラッコ(レイブンズ)の22回である。スミスの連続インターセプトなし のパス記録は249回で止まった。
 バイキングの立役者は、2年目のQBポンダーだった。開始直後の攻撃を16プレー、7分40秒かけて82ヤード進め、同期のTEルドルフのTDパスに結 びつけた。16プレーのうち半分は前進のないランだったが、織り込んだ8つのプレーアクションパスが距離を稼いだ。2つ目のドライブはパントに終わった が、バブルスクリーンアクションを有効に使った。2Qに入っての3つ目のドライブは、ポンダーが左右に走ってからのパスが主力、仕上げは中央部からの自身 の23ヤードのスクランブルTDだった。
 昨年は負傷もあり目立たなかったポンダーだが、的確な判断力を核に成長して、3週終了時で成功率70・1%、被インター0、パッサーレイティングは 104・9とフラッコ、イーライ、シュワブを抑えてリーグ5位。FSU時代に2年半で卒業資格(GPA=3・75)をとり、別の科目でMBA(修士)を とった秀才だが、QB技能もプロ仕様になってきたようだ。
(蛇足だが、NFLコンバインで行う知性テスト=ワンダーリック・テストは制限時間12分で50問出題されるが、NFL新人の平均は約20点。これまで 50点満点をとった選手は1人だけ。ポンダーは35点だった。私は現役QBで彼以上の点数をとった選手は1人しか知らない)
 月夜試合でも、最終プレーのへイルメリーパスがTDと判定され、シーホークス(NFC西)が、パッカーズ(NFC北)に14対12で逆転勝ちした。


まさかのARI全勝
WEEK 4 (9月27日、30日、10月1日)

 週明け早々に、レイブンズ戦で審判へのフィジカルコンタクトを犯したペイトリオッツのベルチックHCへの罰金5万ドルが発表され、翌26日、リーグは NFLRA(審判連盟)との紛争解決を発表した。第4週から公式審判が出場する。年金の増加、フルタイム審判の雇用などが盛り込んだ8年間の労働協定が結 ばれた。急遽のロックアウトでNCAA3部やNATAから集めた代替審判は、それぞれの持ち場に戻ることになる。27日(木)の復帰第1戦では、観衆は正 規審判入場を立ち上がって大歓声で迎えた。

 3チームが全勝を守った。NFCのカージナルス(西)は、4Qに14点入れて追いつき、延長で24対21と逆転勝ち。ファルコンズ(南)はパンサーズの QBニュートンなどのラッシングで逆転されたが、終了3分前のFGで30対28と再逆転した。AFCのテキサンズ(南)はQBシュワブのパスと安定した守 備力で38対14とタイタンズを圧倒した。

 AFCのペイトリオッツは、前半に3ファンブルロストと不振、QBフィッツパトリックのパスで7対14とビルズにリードを許す不安な展開だった。ハーフ タイムに「欠けてるのは勝負所の集中力」とQBブレイディがチームを鼓舞、後半に一気に45点をあげ、52対28で3連敗を免れた。ブレイディは340 ヤードを投げ、チーム獲得距離は580ヤード。一試合に2人(リドリー、ボールディン)の100ヤードラッシュと2人(グロンコウスキ、ウエルカー)の 100ヤードレシーブ、300ヤードを投げたQB(ブレイディ)が出たのは2008年以来初。ビルズは6奪取を許し、自滅した。しかし、パッツ守備にビッ グプレーを許す課題が浮き上がった。20ヤード以上進まれたが7プレーもあり、ビルズは総獲得距離438ヤードの56%をこれで稼いだ。
 NFCのフォーティナイナーズ(西)は、34対0とジェッツに完封勝利して3勝1敗.379ヤードの獲得距離のうち、245ヤードが44回行ったラッ シュによる前進だった。RBゴアはもちろん、ワイルドキャッツ体型に入った2年目の大型QBケイパニックも5回で50ヤードを稼ぎ、攻撃に厚みを加えた。 ディープパスが課題といわれたQBスミスは21投12成功、レーティングは78・1と並の下で、まだまだ万全でない。それ以上の不安は、ジェッツQBサン チェスで、成功率45%、レーティングは39・9と最悪。1プレーだけ登場したティーボウに先発を譲れの声がニューヨークでは高くなった。
 巻き返しが期待されたNFCのパッカーズ(北)は、連敗中のセインツに4Qにやっと28対27と逆転して2勝目をあげた。NFC東首位争いでは、反則を 誘うQBマニングのパスが逆に次軍の反則となり罰退、逆転FGを失敗したジャイアンツがカウボーイズに17対19で敗れた。


初期トラブル修理完了!
WEEK 5 (10月4日、7日、8日)
 ブレイディ対ペイトンの、2年振りのトップQB対決となったブロンコス@ペイトリオッツは、2Qからノーハドルで自在に試合のテンポをコントロールした パッツが31対21で逃げ切った。とくに3Q中盤自陣20ヤードから5分で16プレー(ダウン数20)を展開、ブレイディのTDランに結びつけたドライブ は圧巻だった。ただし、31対14で優位だった第4Q8分、敵陣37ヤードの第4ダウン5ヤードで、ギャンブルしかもファンブルロストしたプレーには、ベ ルチックHC独特の勝負勘とはいえ、非難する声も出た。パッツは今季のテーマであろう、バランス攻撃を展開、RBリドリーは28回で151ヤード。パッ サーレイティングはブレイディは104・6、マニングも116・2と遜色なく、2人共に本番仕様に上げてきた。
 ビルズを迎えたフォーティナイナーズは、45対3と完勝。投げられるのは短距離パスだけとの酷評が出始めたQBスミスは、みせつけるように好パスを連 発、24投18成功,303ヤード、3TDでこの試合でのレーティングは驚愕の156・3。今季通算でも108・7でリーグトップに立った。20ヤード以 上のターゲットに投げたディープパスは13回に急上昇、しかも8成功で、ディープパス成功率ではリーグ1位の61・5%となった。2人TEときにはFBま でつけた完璧なパスプロテクションを準備した、ジム・ハーボーHCのプライドがすけてみえる。

 全勝から、カーディナルスが抜けた。躍進の原動力だった守備は頑張ったが、QBコルブが散々の9サックを受け、3対17でラムスに敗れ4勝1敗へ。ファ ルコンズはレッドスキンズ相手に苦戦したが、4Qに17点を挙げ24対7で5勝。得点6位、失点8位とバランスが良い。レッドスキンズは人気の新人 QBRG三世が3Qに脳震盪で退場、以後自滅した。テキサンズが23対17でジェッツを下し、チーム史上初の開幕4連勝。RBフォスターが152ヤード 走ったが、原動力は守備。今一番NFLで生きの良いDEのJ・J・ワッツが8・5サックでリーグ1位で先頭に立つ。得点2位、失点4位と、ほぼパーフェク トなペース。翌週からのパッカーズ、レイブンズの連戦が今季の鍵をにぎる。
 パッカーズがコルツに7対30で敗れ、2勝3敗へ。HCパガーノを白血病入院で欠いたコルツは、新人QBラックが362ヤード2TD投げ、後半27点をあげて逆転勝ちした。

トラブル深刻化、立ちすくむブレイディ&スミス!
WEEK 6 (10月11日、14日、15日)
 立ち直りかけたペイトリオッツとナイナーズが深刻な敗戦を喫した。追い上げの激しさを思い知らされる完敗だった。AFCでは独走状態であったテキサンズ (南地区)がパッカーズに自慢の守備を破られ24対42と敗れ、それでも、1敗を守ったレイブンズ(北)と共にAFC優勝戦線のトップ。NFCのファルコ ンズ(南)は終了直前のFG失敗を相手タイムアウトで救われ、再キックに成功、辛くも唯一の全勝を守った。
 チーム格差は毎週縮まり、戦術次第で一気に逆転もある大混戦。昨年6週終了時点では3勝3敗は4チームだったが、今年はほぼその3倍の11チームが勝率 5割で並んでいる。AFC東地区は全チームが3勝3敗、最弱と言われたNFC西は3チームが4勝で並ぶ最強地区になった。

 シーホークス相手に残り9分で23対10と優位に立ったパッツの敗戦を予感した人はいないだろう。ところが、終了1分前に新人QBウイルソンからWRシドニー・ライスへの46ヤードのパスで、24対23の1点差の逆転を喫した。
 明らかな敗因は2つ。
 まず、連続追い上げTDパスを許したセカンダリーの不安定なパス守備。DE,LBの新人獲得で前陣の守備は向上したが、後陣守備の大ポカは減らない。 シーホークス新人QBラッセル・ウイルソンに293ヤード、3TDパス、133・7の高パスレーティングを与えたセカンダリーの罪は大きい。現代守備の、 そしてベルチックHCの最高のマントラ(奥義)は「守備はビッグゲインの阻止」だが、それをあっさり破られた。シーホークスの4回の得点ドライブには必ず 20ヤード以上のビッグプレーが含まれた。CBアーリントンがWRボールドウィンに50ヤードパスを許し、24ヤードパスでTDされた。次にCBマコー ティがWRテイトに50ヤードTDを許し、そして最後の逆転では新人のSテイバン・ウイルソンがライスに抜かれた。
 DCパトリシアのプレーコールにも疑問がある。6点差の残り1分27秒、NE陣46ヤードの守備で、策のない4人バックスの起用はおかしい。出場してい た選手も二軍混じり、プレーアクションに大きくつられた実践も未熟だった。この週終了して、パッツが20ヤード以上のパスを許したのは33回で、リーグ最 悪。昨季合計79回も最下位だったが、今年は最悪記録更新の破るペースだ。選手別ではアーリントン8、チャン7、マッコーティ6と主力が揃って大盤振る舞 いしている。
 二つ目は、天才QBブレイディの動揺。このゲームでは、望んだのではないだろうが、キャリア最高の58回のパスを投げ、今季最多の395ヤードを獲得し た。しかし、この前進は浪費され、最も避けるべき機会にブレイディ本人の失策が出た。被インターセプトは2回、一つは4Q敵陣10ヤードで得点差を17点 に広げるチャンスに、エンドゾーン内で奪われた。
加えて、ブレイディは2回のインテンショナルグラウンディングの反則を起こした。一つは前半終了直前。17対10とリード、シアトルの9ヤードラインで 19秒残っていた。パスで6ヤード進み、次はTEグロンコウスキへパス失敗、残り6秒で時計を止め、第3ダウン。ドロップバックしたが、誰もオープンに なっていない。ブレイディはパスをエンドゾーンの中央に投げ捨てた。残り1秒。しかし、パスの周辺にはパッツの選手がいない、審判はインテンショナルの反 則フラッグを投げ、(前後半終了1分前の不正な時間の節約の)罰則でゲームクロックは10秒間進められ、前半終了。パッツはFG3点の機会を失った。 「ボールに注意するのは私の役目、コーチはボールを持った私がスマートに行動すると信じていた。ただ私はバッドプレーをやってしまった」と試合後のブレイ ディの口数は少ない。
 不安定なパスカバレッジ、それをカバーしてきた主力QBの集中力の欠落、優勝を目指したペイトリオッツに不安が浮かんだ。

 前2試合を合計79対3で2連勝した49ナーズ(NFC西)は、熱狂する本拠にジャイアンツを迎えた。延長で敗れた昨年NFC選手権のアベンジ(雪辱)に自信たっぷり、予想も6・5点差で優位とされたが、結果は3対26の惨敗だった。
 プロI体型、ピストル(ダイアモンド)体型をみせた1Qは、ラン・パスのバランス攻撃で3対0と優位に立ったが、2Q以降は完全にジャイアンツのペー ス。QBイーライの複数のWRへのパスで逆転されると、試合巧者のジャイアンツ守備に攻撃が機能しない。スミスのパスも乱れ、切札RBゴアのランも出な い。決定的に流れを変えたのは、前週に話題となったディープパスへの固執した攻撃だろう。2Q中盤からRBゴアのランを放棄、プロテクションを増やして少 数レシーバーを奥に走らせたが、予期したジャイアンツ守備が対応、Sロールが連続インターセプトした。スミスのこの試合でのレーティングは43・1と再び 急降下した。ジィアンツのRBブラッドショーはナイナーズの強力ラッシュ守備を縦に突破、LBウイリス、ボウマンを引きずって、116ヤードの前進。ナイ ナーズが一試合149ヤードのラッシュを許したのは最近27試合で初だった。一方、昨年の選手権では6サックを浴びたイーライ・マニング(弟)は、サック 0、ヒットも僅か1と完璧なOLに守られた。
 ナイナーズのようにコーチ主導のチームは、ゲームプランが崩れると立ち直れない。試合終盤の攻守は、二軍QBケイパニックが出場したこともあり、席を立つ観客が多かった。
 ナイナーズでのホットな話題は、サンタクララに建設中で14年完成予定の49ナーズスタジアムが2016年のスーパーボウル開催の、最終2候補に残ったことだろう。実現すれば、サンフランシスコ地域での開催は85年スタンフォードスタジアム以来になる。
 (月)夜のブロンコスは0対24からの大逆転、35対24でチャージャーズを下し、3勝3敗へ。守備の奪取TDで流れを変え、QBマニング(兄)のノーハドル攻撃で仕上げた。確実にチーム総合力のアップしている。

 唯一全勝のファルコンズについては、「全勝だが、ベストチームではない」というのが、米国マスコミの共通認識のようだ。得点6位、失点6位とバランスの とれた攻守に見えるが、距離では攻撃15位、守備21位と昨年比では下降傾向、+10のターンオーバーレシオで危機を乗り切っている。第6週では、QBラ イアンが3奪取され、試合最終プレーで55ヤードFGを決めて、辛くも逃げ切った。新加入のCBサミュエル、ベテランDEエイブラハムが頑張っているうち に、全体のレベルをあげたい。最弱地区AFC西との対戦で守った全勝だが、中盤からは強豪が揃うNFC東との対戦が待っている。

バックトゥベーシック、戦線整備
WEEK 7 (10月18日、21日、22日)
 敗戦から4日後、ナイナーズが13対6のロースコア試合で、シーホークスを破り、5勝2敗とした。前半は、攻撃に精彩を欠き3対6。後半にラッシュに徹 し、ラン守備リーグ2位相手に、RBゴアがシーズン最多の131ヤードを走った。6週終了して、試合平均272ヤードの守備はリーグトップ。
 一方、パッツは地元にジェッツを迎えた、東地区のライバル対決。3勝同士だが、主力WRホームズ、DBレビスが負傷で今季欠場となったジェッツの方が、 課題が深刻なだけに必死だった。じりじりと差をつめて4QにはFGで26対23と逆転した。RBグリーンのランに、不調だったQBサンチェスが丁寧に要所 でパスを決めた。しかし、序盤のちぐはぐなチーム力から脱する姿勢はパッツも同じ。TE2人、WRウエルカーへのパス、RBリドリーのランと、QBブレイ ディが石橋を叩くドライブで、終了と同時に追い付き、延長へ。延長でも12プレー54ヤードの前進でFGで先制、その裏のジェッツ追撃はLBニンコビッチ のファンブルフォースで喰いとめ、29対26で4勝目をあげた。チーム攻撃46ヤード、WRウエルカーのレシーブ688ヤードはリーグ1位。
 全勝のファルコンズは休場週(バイウイーク)。テキサンズがレイブンズを176ヤードに抑え43対13で完勝、6勝目をあげ、AFC南地区トップに。 RBフォスターが98ヤード2TDをあげ、今季通算659ヤードで個人リーグ1位。守備が8位と健闘するバイキングス(NFC北)が21対14で序盤快調 だったカージナルズを下し、5勝目あげNFC北地区2位にあがった。
 もし明日スーパーボウル開催となれば、AFCは6勝1敗のテキサンズ、NFCは全勝のファルコンズが出場することになる。(10月23日)

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