ティーボウの奇跡、そしてワイルドカード全滅!

NFL2011ワイルドカード・プレーオフ(1月7日、8日)

 1月7日、AFCワイルドカード・プレーオフ第1戦。13対13で迎えた前半残り52秒に、新人DEワッツがパスブロックに伸ばした手でボールをわしづかみ、29ヤードのインターセプションリターンTDをあげ、試合の流れが一気にテキサンズ(南地区優勝)に傾いた。後半はWRジョンソンの40ヤード、RBフォスターの42ヤードと主力2人のビッグプレーTDが出て、守備はベンガルズ(北WC=ワイルドカード)を完封。加盟10年にして初のポストシーズンで、31対10と地元の大歓声に応えた。
 地区優勝を決めたあと3連敗して迎えたこの試合、ジョンソンは「初めての優勝で、地元も自分たちも浮かれていた。連敗で自分たちを取り戻した」。キュービアックHCはビッグプレーを連発した展開に、「本来の、自分たちのフットボールが出来た」。
 話題となった新人QB対決だったが、ライオンズのイェーツは20回のパスで11成功ながら、1TDでインターセプトなし。一方、ベンガルズのダルトンは3インターセプトを浴びた。

 AFC第2試合は、とてつもなく劇的だった。レギュラーシーズンに終了直前の逆転を連発、ブロンコス(西)を6年ぶりのプレーオフに導いた2年目QBティーボウが、初出場の大舞台で、渾身のビッグプレーをやってのけた。延長にもつれ込んだその第一プレーで、一撃必殺の80ヤードのTDパスをWRトーマスに通した。29対23、新方式で迎えた初の延長だったが、わずか11秒と延長史上最短でスティーラーズ(北WC)を下した。オレンジ一色のマイルハイスタジアムが、全米が狂喜した。往年の逆転男のエルウェイが両手を振りまわしながら、フィールドに走り込んだ。CBSTVは25・9%でシェア43%と、プレーオフ中継としては88年以来最高を記録した。
 1勝4敗と不振のブロンコスが、シーズン中盤に主力選手を放出する大改造、フォックスHCの英断で未知数のティーボウをスタートQBに起用、そこから奇跡が始まった。カレッジ界の人気者も、不安定なパス力でNFLでは第二RB扱いだったが、ひそかに磨いたパスも自慢の足もここ一番の精度をあげてきた。なによりも抜群の集中力がある。6連勝を含む7勝をあげ、うち4試合は第4Qのカムバック、3つの延長戦勝利をあげ、マジックと異名がついた。しかし、終盤には3連敗、転がり込んだプレーオフ出場にも、大きな疑問符をついていた。しかし、地元デンバーだけは彼を信じていた。それは、正しかった。
 逆転のプレーには、第2Qに大きな布石があった。ティーボウは20回投げ10成功、316ヤードと2TDを稼いだ。WRトーマス(ミスター・スティッフアームと異名がついた)と10年のドラフト1位コンビは千金の意思疎通がある。
 スティーラーズは大量の負傷欠場で戦力が半減していた。QBロスリスバーガーは足首負傷で動きを奪われ、5サックを浴びた。RBメンデンホール、DBクラークは欠場して、DEカイゼルも中途退場した。反則で61ヤード罰退も大きく響いた。AFC連覇を狙った王者が消えた。
 闘志をむき出しの形相だったティーボウも、試合が終われば「みんながステップアップした。選手を信じ、コーチを信じてプレーしているだけなのに、仲間たちのバックアアップで、僕には実際以上の評価が寄せられている」と穏やかな表情に戻った。
来週は、レギュラーシーズンに完敗したペイトリオッツの本拠に乗り込む。
 NFCは、ジャイアンツ(東)がファルコンズ(南WC)を24対2、セインツ(南)がライオンズ(北WC)を45対28で下した。

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