日本、3連覇ならず

ダブル・オーバータイムを制し米国初優勝

後藤 完夫

試合終了後の握手を交わす日本と米国(2007年7月15日(日)、等々力陸上競技場)

 
 アメリカンフットボール第3回ワールドカップ川崎大会決勝は、2007年7月15日(日)午後3時15分より等々力陸上競技場で開催され、タイブレークの末、アメリカが日本を23対20で破り、初優勝をとげた。

 アメリカが、第4Q9分9秒にTDをあげて17対17と追いつき、勝負はタイブレーク(25ヤードからFD&10)に持ち込まれた。延長第1ラウンドは先攻の米国、後攻の日本共にFG。第2ラウンド、先攻に回った日本はFDを奪えず34ヤードFGを失敗、米国は慎重に連続6回のランで前進、最後はKコフィンが23ヤードFGを決め、死闘に幕を引いた。最終スコアは23対20となった。

 W杯決勝にふさわしい、緊迫した高品質のフットボールゲームだった。大型台風の影響で中止も検討されたが、キックオフの午後3時には雨もあがり、自然芝も絶好のコンディション。
 先攻(レシーブ)の日本は、富沢に代わって先発したQB高田が最初のプレーをインターセプトされ、あっさり米国の先制を許した。ロースコアに持ち込みたい日本には、最悪の出だしとなった。
 しかし、日本は平静心を維持した。1Q終盤に、交代出場した富沢がWR中島、古谷へのパスを通して敵陣2ヤードまで攻め込み、富沢がタイトI体型のWBに入ったDT紀平へ2ヤードのパスを成功させて追いついた。さらに、米国陣32ヤードでファンブルフォース、S三宅がリカバーしてつかんだ好機にK金親が49ヤードと長いFGを決め、10対7と逆転した。米国は2Q終了間際、8プレーのドライブの末、44ヤードFGを狙ったが失敗。前半は日米共に2ターンオーバー、米国の激しいコンタクトでしばしば負傷タイムアウトが入る壮絶な展開となった。
 後半は、切り札アウリーの40ヤードキックリターンで、米国が自陣45ヤードの好位置から攻撃を開始、各1回パントを蹴りあった後に、米国が35ヤードのFGに結び付けて、10対10と追いつき、勝負は第4Qにもつれこんだ。
 第4Q、幸運が日本に微笑みかけた。40ヤードのFGをブロックされたが、米国がリターンをファンブルして、黛がリカバーした。気落ちした米国守備に、富沢から長谷川昌、キャッチミスを再び長谷川昌とパスを通し、RB古谷のランを織り込んで、富沢―黛の6ヤードパスでTD、6分53秒、再び17対10とリードした。
 しかし、米国も底力を発揮、自陣20ヤードから10プレー3分35秒のドライブを展開した。体力を消耗した日本の反応がわずかに遅れだした。ラン7プレーとパス4プレーとをミックス、最後はRBカスパーバウワーがこの日2つ目のTD、9分9秒、勝負をタイブレークに持ち込んだ。
 レギュレーション(正規試合)の獲得距離は、日本258ヤード、米国199ヤード。攻撃時間は日本27分45秒、米国20分15秒。GA(喪失)日本2、米国4。富沢は成功率70%、140ヤード、2TD、0インターセプト。RB古谷61ヤード、平均4・7ヤード。

 試合後、マコビック米国コーチは「やりたいフットボールが出来たが、それでも大変難しい試合だった。日本は規律とスピードで穴がなかった。素晴らしいなチームだった」。
 日本代表の阿部監督はさすがに落胆の色は隠せない。「勝つつもりだった。もし負けるのだったらこんなカタチだとは思っていた。米国に勝つには緻密なゲームが出来なければならない」。3回連続出場の脇坂主将は、「悔しいの一言、もうちょっとで(打倒米国に)手が届きそうだった」。森攻撃コーディネーターはQBローテーション起用について「試合前からの予定通り、ただ高田の良さをもっと引き出してあげたかった」。

 日本は三連覇を逸したが、精度の高いスピードのあるチームプレー、気魄のこもったコンタクト、ダーティ反則のない理想的なフットボールで、阿部監督以下スタッフ、コーチ、選手は、日本フットボールの『ベスト』を発揮した。
 敗因は、体力差。攻撃ラインで約12キロの日米体重差は、打撃がダメージに直結する格闘競技では大きい。チームプレーつまり技術と運動量で対抗した日本だが、最後はわずかなダメージの積み重なりが3点差となった。
 大会前に日米決勝を16対17で米国の勝利と予想したが(7月6日、川崎大会予想)、ほぼ想定内の結果になった。私の1点差は、2ポイントトライの失敗だった。米国15分、日本12分の公式試合時間の差による心身のスタミナの差、そして、初出場で絶対に失うことが出来ない本場米国の誇りに与えたものだった。
 大会を振り返れば、ワールドカップと名がつくとはいえ、日米二強が突出していた。優勝した米国代表も、実力はアマチュア二軍といったレベルだ。日本にはアジアを中心に世界に呼びかけ、全体のレベルアップを図り、真の米国代表を引き出す役割が残された。その意味から、最終戦で仏を3対0で破った韓国には祝福を贈りたい。

 川崎市が全面的に後援した大会運営は順調だった。雨にたたられたが、会場周辺の丁寧なボランティア活動、決勝でのクラウドノイズの大声援は、日本アメフット界初の国際大会の成功を象徴していた。

日本 0 10 0 7 3 =20
米国 7 0 3 7 6 =23

W杯2007川崎大会 最終順位
1位 アメリカ(米大陸代表)、2位 日本(開催国)、3位 ドイツ(欧州第2代表)、
4位 スウェーデン(欧州第1代表)、5位 韓国(アジア代表)、6位 フランス(欧州第3代表) 

以上

 

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